2015.11.24: ベストオペラ20
見始めて12年、140作品のべ287回となり、繰り返し数が作品数を上回り平均2回以上みることになった。十年前に出したベストオペラ20の続き。
- Rossini "La Gazetta" 新聞 Pesaro
躍動的な演出(Marco Carniti)にスターなくても若手歌手が熱演で一体感がすごい。若い指揮Enrique Mazzolaもよい。4年連続で通ってるTeatro Rossini最高傑作。思い出すだけで泣けてしまう。
- Verdi "La traviata" 椿姫 London
このベストな作品にRichard Eyreのこれ以上ない舞台演出。何度も見てるが、珍しく丁寧なDamrau&いつも丁寧な父Keenlysideの回を。
- Donizetti "La Fille du regiment" 連隊の娘 London
これで初めてJuan Diego Florezを聞いてノックアウト。Natalie Dessay もまだ歌え、Laurent Pellyのコミカルな演出が見事にはまる。
- Bellini "I Capuleti e i Montecchi" カプレーティ家とモンテッキ家 Zurich
Christof Loyの象徴的演出はいつもよいのだが、珍しく動く大型舞台が冴えるこの作品を。イケメンの使い方もよい。
- Rossini "Matilde di Shabran" マティルデ・ディ・シャブラン Pesaro
ヘンな物語だけど歌手演奏完璧だと大変なことに。前半は超絶難しいが後半あまり歌わないJuan Diego Florez、それをくったOlga Peretyatkoにはまった。演出(Mario Martone)もいい。
- Verdi "Rigoletto" リゴレット Birmingham
Simon Keenlysideの一番いい時。歌・演技とも素晴らしく、最後の嘆きの叫びだけでごはん三杯いただけます。WNOは演劇的演出でよい。ロンドンのMcVicar演出もいいんだが。
- Donizetti "Lucrezia Borgia" ルクレツィア・ボルジア Munich
Christof Loyの演出は装置を最小限にして象徴だけで物語を紡ぐ。老いたEdita Gruberovaを生かした作品。
- Luigi Rossi "Orpheus" オルフェウス London
イギリスの演劇的演出もここまできたかという感じ。演出Keith Warner、シェイクスピア・グローブ座との共同制作。
- Rossini "Guillaume Tell" ウィリアム・テル Pesaro
このGraham Vick演出は残酷であまり好きでなかったが、他の演出(ロンドン)をみたら良さがわかった。指揮Michele Mariotti、丁寧で勢いがありいい。序曲でまず泣く。2幕の合唱も美しいはずなんだが。4幕、Juan Diego Florezのアーノルドが壮絶。
- Bellini "I puritani" 清教徒 Paris
Laurent Pelly最高傑作、斬新で美しい舞台。Michele Mariottiの指揮もよかった。歌手がおしい。トリノのPeretyatkoもよかったが、ミュンヘンでGruberovaきいちゃったからなあ。
- Donizetti "L'elisir d'amore" 愛の妙薬 London
Laurent Pellyのびっくり演出。この作品は王道演出が多いが(ウィーン、ハンブルグ、チューリッヒ)、そうきたかと度肝をぬかれた。歌手はFlorezのウィーンを。
- Massenet "Manon" マノン London
全盛期のAnna Netrebkoはさすがの貫禄に声量でどピンクドレスもはまる。若いVittorio Grigolo、Laurent Pellyの演出は立体的で、指揮はAntonio Pappano。いま思うと良い要素がつまってた。思えばこれがNetrebkoベスト。もうちょっと見たかったな……
- Rossini "Il barbiere di Siviglia" セビリアの理髪師 Munich
Florezが歌いまくるアルマヴィーヴァ伯爵がすごすぎ。他の歌手も悪くなかった。Kasarovaのロジーナは別格だけど。イケメン度はGatellくんに。演出(Ferruccio Soleri)も悪くない。
- Wagner "Tannhaeuser" タンホイザー Munich
前回2位のDavid Alden演出にKeenlyside,Meier,Harterosのベストキャスト。これでKurt Mollだとさらによいのだが。
- Poulenc "Dialogues des Carmelites" カルメル派修道女の対話 London
Simon Rattleが静かに振ると激しい旋律が頭に焼き付けられる。悲しみ倍増。Robert Carsenのシンプルな演出もいい。NYよりよかった。
- Italo Montemezzi "L’amore dei tre Re" 三人の王の愛 Holland Park
演出Martin Lloyd-Evansの演劇的演出。野外の小さな舞台なので演劇的にならざるをえず、それが面白い。この演出家はいつもいい(2012,2014,2015)がこれが最高傑作。
- Gounod "Faust" ファウスト London
ベストキャストのはずがNetrebko降板、それでもBryn Terfel & Simon Keenlyside@ヴァランタンは熱かった。主役は2011年のGrigoloがよい。イギリスでよくみるMcVicar演出、ちと暗いがエロ美しくよい。ミュンヘンのVillazonとPountney演出も好きだったんだが。
- Verdi "Les Vepres siciliennes" シチリアの晩鐘 London
あまり有名でないが音楽がいい。歌手はまあまあだが、Antonio Pappano指揮、演出(Stefan Herheim)もよかった。最近のROH新作ではベスト。
- Puccini "La boheme" ラ・ボエーム London
Julia Trevelyan Omanデザインの美しい舞台。演劇的でもある。他の劇場(ミュンヘン、バルセロナ)も似たような感じだが。何度もみてるが、離婚前のGheorghiu&Alagnaコンビの回を。
- Puccini "Il trittico" 三部作 Holland Park
Martin Lloyd-Evans演出に、珍しく主演(Anne Sophie Duprels)も素晴らしかった。ROHで別演出あるけど見る気がしない。ジャンニ・スキッキはこの作曲家で一番好き。
- Richard Strauss "Ariadne auf Naxos" ナクソス島のアリアドネ Munich
この作曲家嫌いなんだが。Robert Carsenの予想外な舞台@ミュンヘン(最近の新作ではベスト)と、Christof Loyの動く舞台@ロンドンと甲乙付けがたい。聞き所はZerbinettaでハンブルグのPeretyatkoがベスト。
- Marc-Antoine Charpentier "Medea" メデア ENO
ENOは舞台を細かく区切ったグロ演出が多くて食傷気味なのだが、このMcVicar演出は別格。イギリスの偉大なメゾSarah Connolly。
- Donizetti "Poliuto" 殉教者 Glyndebourne ★★☆
滅多に上演されないオペラだが、音楽がよくてびっくり。指揮(Enrique Mazzola)のおかげかも。歌手がおしい。演出シンプルでいまいち。
- Wagner "Siegfried" & "Goetterdaammerung" Bayreuth ★★☆
演出嫌いでバイロイト嫌いになったけど、若いキャストCatherine Foster & Stefan Vinkeよく、Kirill Petrenko指揮よく、音響は素晴らしかった。もったいない。
- Verdi "Nabucco" ナブッコ London ★★☆
まあいちおDomingoなんで。他の新作見逃してるからこれがベストかは不明。演出いまいち。
Rossini4作、Verdi4作、Donizetti4作、Bellini2作、Puccini2作、Wagner2作、他7作、Mozartなし。
London10作、Munich4作、Pesaro3作、Holland Park2作、他6作、Barcelona/Wienなし。
他の三つ星(時系列)
全オペラでのベスト30には、前回のが今回の15-24位に入る。
- Verdi「Aida アイーダ」
これまた装置を動かしまくるダイナミックな演出(David Pountney)。主役二人の歌はいまいちだったが、ヴェルディの楽曲の良さでカバー。恋敵のメゾ Nadja Michael に泣けた。
- Haendel「Saul サウル」
ヘンデルのオラトリオ、とにかく合唱がめちゃめちゃすごい。それだけで泣ける。聖書が題材なので本もしっかりしてるし、Christof Loy の演劇的演出もよかった。
- J.Strauss「Die Fledermaus こうもり」(1回目)
なんかいつもスペシャルバージョンに当たってやたら長くて疲れちゃうんだけど。はまり役揃いで歌もコントもいいし、バレエシーンはめちゃ楽しい。Zubin Mehta の指揮はハイテンション。
- Rossini「La Cenerentola シンデレラ」(2回目)
子供でも楽めるコミカルな演出(Jean-Pierre Ponnelle)に芸達者な役者たち、なんとはなしに優しげな王子(Juan Jose Lopera)。そしてロッシーニの重唱の美しさ。二度みたが、アルト Sonia Ganassi がよかった。
- Wagner「Die Meistersinger von Nuernberg ニュルンベルクのマイスタージンガー」
個々の歌手の出来はまあまあだったのだが、合唱と演奏と演出のハイテンションぶりが楽しかった。とくに3幕。
- Donizetti「Lucia di Lammermoor ランメルムーアのルチア」
ずっと見たかった Edita Gruberova のルチア。血まみれシーツひきずって歌いまくるシーンは素晴しいが、死んじゃってエンディングにいないのがもったいない。Robert Carsen演出。
Rossini5作、Verdi4作、Donizetti5作、Bellini2作、Puccini2作、Wagner3作、他9作、Mozartなし。
London9作、Munich10作、Pesaro3作、Holland Park2作、他6作、Barcelona/Wienなし。
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