舞台上には木の壁、30センチ角くらいの大きさで5センチくらいの厚みの木箱が、縦と横に不規則に並べてある。それが中心ではないところから左右に開いて幕の代わりになっている。
幕が開くとベット。シーツの中で男女が寝ている。男トゥリッドが、女をひきとめて仰向けに寝そべりながら歌うアリア。あー、このオペラ、Jose Curaの十八番らしいのだが、なんかわかる。今日のテノールは小太りで全くエロくはなかったが、歌はまずまず。女ローラ、は臙脂のスーツを着て後悔しながら帰っていった。不倫ぽい。
場面かわって、さまざまな服を着た若者たちが木箱にオレンジを詰めている。そのあと、衣装を着た男女が現れ、キリストの復活の儀式を行う。
場面かわって、老婆ルチーアが壁にオレンジを飾り付ける「オレンジの花香り」。小太りの黒人女サントゥッツァが来て、昨夜あんたの息子を村でみた者がいると、出張中のはずなのに。
クラシックカーにのって金持ちそうなアルフィオが登場。黒のスーツで背が高い。村人たちが車から箱をおろす。トゥリッドが村にいたらしいということは、言わないでくれとサントゥッツァが頼む。
嫁サントゥッツァが義母ルチーアに、夫が昔の女とよりを戻したらしいと訴える「ママも知るとおり」。ルチーアは教会へ、サントゥッツァは婚前交渉してしまったので教会に入れないらしい。
トゥリッドが帰ってきたので、サントゥッツァが問いただすと、逆ギレ。サントゥッツァも噛みついたりしてたし。
サントゥッツァはアルフィオにちくる。最初は信じなかったアルフィオも、信じるやいなやめっちゃ激高して、サントゥッツァもびびってた。
間奏。
トゥリッドが酒瓶を片手に泥酔していて、村人達に酒を勧めるがみんな嫌そう。ローラの態度もめちゃそっけない。
家に帰ってからトゥリッドは、ままんに不倫ばれたよーと嘆く「母さん、あの酒は強いね」。自分が帰らなかったらサントゥッツァをよろしく頼むと。
家を出たトゥリッドはアルフィオとその家来に囲まれて、幕が閉じる。
殺害場面は描かれないが、幕が開くと刺殺されたトゥリッドが横たわっていて、出てきたサントゥッツァとルチーアが悲嘆にくれる。
いやー、宗教っぽい音楽もあって、荘厳で、物語もテンポよく、濃密。このオペラは名作だ!
紫シャツにオレンジのネクタイはトニオ、ついっさき間男をざっくり殺しちゃった黒スーツと同じ歌手。ウクレレみたいなの弾きながら歌う。
ソプラノは違う歌手で毛皮のコートにミニスカートでエロダンス、足の太いおばさんでエロくはみえないんだが。座長の妻ネッダ。
座長カニオが道化師で、さっきと同じ小太りテノール。さっきとは違って陰気で嫉妬深いジジイを演じている。
あとさっきはただの村の若者だった背の高い男が残りの座員ペッペを演じる。テキトーな若者。
カニオたちが飲みに行くと、残ったトニオがネッダに告白する。いきなり。ネッダにざっくり振られて、復讐を誓う。おいおい。
ネッダは別の浮気相手を待っていたのだ。村の若者のシルヴィオ、アジア人歌手。よくみると顔はかなりいまいちだが、立ち姿と雰囲気は悪くない。逢い引きにきたシルヴィオはネッダに駆け落ちしようと言うが、ネッダは即答できない。
それをトニオが陰からみていて、カニオに密告する。カニオが怒ってネッダに浮気相手の名前を言えと怒鳴るが、ネッダは口を割らない。そのうちに開演時間になり、村人たちがやってくる。「衣装をつけろ」
間奏。
ネッダがエロダンスをしながら客から金をあつめる。下手でカニオがメイクをしているが、その衣装は一幕のアルフィオと同じ黒のスーツ。サイズ違うけど。もう事件が起こる予感ありあり。
劇中劇「夫の帰宅」が始まる。コロンビーナ(ネッダ)が夫(カニオ)の留守中に愛人を待っている。タデオ(トニオ)が来て、コロンビーナ(ネッダ)に言い寄る。タデオ(トニオ)が追い返されると、愛人のアルレッキーノ(ペッペ)がやって来て、二人はテーブルで食事を始め、駆け落ちの相談をする。そこに夫(カニオ)が帰ってきて、アルレッキーノ(ペッペ)が窓から逃走する。
現実に起こったことと全く同じなので、カニオは錯乱し、「もうパリアッチョではないぞ」と叫んで、ネッダにナイフを突き立てる。
村人は拍手喝采するが、シルヴィオは駆け寄り、カニオに刺されてしまう。血まみれの二人を舞台にカニオが「喜劇は終わった」とつぶやく。
こっちの物語はやや浅いが、一幕とリンクすることで、劇的に仕上げていた。音楽はまあまあ。演出Stephen Barlowの勝利。