2012.7.18: Verdi "Otello"

これぞロイヤルというような、王道の舞台演出であったなあ。

幕があがると、戦場、大きな砲台にまたがる兵士、それを囲む多くの兵士。オテロ率いるヴェネツィア艦隊がトルコを打ち破って帰還する。すごい迫力。

それが一通り収まると、砲台がすっと上手に移動して、その前に傷心のロデリーゴがしゃがみ込んで愚痴り、旗手イアーゴが策略を巡らす。。。

このイアーゴの演技!Lucio Galloはミュンヘンの「ファルスタッフ」でめっちゃキリキリ怒ってたのが印象に残っている。悪人バリトンがはまる。Scarpiaもいけるかも。高音はあまり出ないのだが、表情から仕草、舞台にいる時はずっと完璧にイアーゴだった。

イアーゴは副官カッシオを飲ませてそそのかし、カッシオが剣を抜いたところでオテロ登場。まー歌手は悪くない。続いてデズデーモナ登場。これはミュンヘンの若手スター Anja Harteros でさすがの貫禄。アンティークな水色のドレスも似合ってる。

オテロカッシオをクビにしてみなを下がらせる。残ったデズデーモナにキス三回。

明転のち2幕、仕事部屋、上手に大きなデスク。カッシオデズデーモナにクビになったと愚痴る。イアーゴがそれを超もったいぶって逢い引きしてたとオテロに報告。嫉妬を募らせていくオテロ。。。さらにイアーゴはデズデーモナの侍女をやってる妻エミーリアからデズデーモナのハンカチを奪う。

休憩。昨日は徹夜してしまい今日はコンディションが悪いので、開演前と休憩にコーヒー注入。

3幕。空気の読めないデズデーモナ、渋めのピンクのドレスに着替えてきた、がまたオテロカッシオの復職を願い出て、オテロに怒鳴られて逃げていった。俺のやったハンカチはどうしたとネチネチ聞いて、今はないけど見つける、きっと見つけろよ!とか。

カッシオがやってきたので、イアーゴオテロを下手の階段脇に隠し、情婦の話を立ち聞きさせる。ついにはカッシオは自宅に落ちていたとハンカチを取り出す。これでオテロはデズデーモナを殺すことを決意。

場面かわって、ヴェネツィアの大使ロドヴィーコ一行がやってくる。オテロはヴェネツィアに帰り、カッシオは残ることに。デズデーモナが性懲りもなく嘆くと、オテロはまた罵倒し、みはどん引き。イアーゴは勝ち誇ったように歌う。この場面、舞台脇に深く柱が何本も並んでてなにげに壮観。

明転のち4幕、寝室、下手にベット。白のネグリジェ姿のデズデーモナがやってくる。ベットに座ると死角になって顔がみえないー。オテロに待ってろと言われたと。侍女に、私が先に死んだらウエディングドレスを着せてくれと。

オテロがきて、カッシオとのことを白状しろと言われて、ようやく状況を理解したデズデーモナ(遅)でも Harteros ならまさにそんな感じ。オテロに首を閉められて死んでしまった。

侍女に続いて人々が駆け込んできて、イアーゴは「俺は彼女はやってないと思ってた」と堂々と暴露。オテロはおもむろに刀を手に取り、自分の腹を刺して倒れ込む。デズデーモナに手を伸ばしても届かず、三度キスと歌ってご臨終。

音楽が高らかに鳴って幕!有名なアリアはないが、全体的に迫力あった。割といつももっさりしてるPappanoさんも今日は早めでよかった。

このオペラは物語が大して進まない、オテロが愛妻を殺すというだけなので、とっとと殺せよ!という気分にならないように、いかにネチネチを見せるかにかかっていると思う。今日はイアーゴがそれをやってくれた。オテロがやってくれる場合もある。Jose Cura の時がそうだった。

STAFF & CAST


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