先日のニューヨークでの「ハムレット」も大好評だったようで、「普通の演劇の俳優も見習うべき」などと評されたそうな。いやいや、すっかり演技派バリトンですなあ。
ウェルシュ・オペラの制作。主役以外の歌手は無名。装置は動かず、舞台設定のみ。1幕はクラシカルなパーティ会場、2幕はリゴレット&美娘の家、3幕はなぜか大統領府を模したマントバ公爵の家、4幕は殺し屋の家。家が二階建てになってる以外は空中を使わず、ごく平凡。人もあまり動かない演出だが、Simon Keenlyside様の顔だけは動きまくっていた。
殺し屋に渡された死体の布袋を抱きながら、復讐が達成されたと喜びすらうかべる狂気の表情から一転、袋から公爵の身代わりに瀕死となった娘を見つけた時の顔!!!
驚きと絶望のあの顔だけで、ごちそうさまでした、来たかいがありました。(えー、歌はー)
歌も一人だけものすごくよかったのです。3幕の「娘を返してくれ!唯一の宝物なんだ!」と叫び歌うところで既に号泣。片足が悪い設定で、1幕から人々にいびられ、いつもの美しい涼しい顔が恨みで歪んで嫌らしく笑って、、、ってまた顔か。
ジルダは声は綺麗だが、声量がなくて高音もあやしげなのが残念。
開演前のプレ・トークをきいたら、演出家?の人が「リゴレット」と「椿姫」の類似性を指摘していた。「椿姫」の父と娘の愛をフィーチャーしたのが「リゴレット」なのかー。Simon Keenlyside様の父ジェルモン@ミュンヘンもよかった。
自業自得にもなりがちなリゴレットの悲劇だが、かたわの設定を生かして、きっちりかわいそうと思わせてくれたのはお見事でした。ジルダとマントバのキャラがあんな薄かったのに。
終演後にサインをいただいた時は、ちょっとご機嫌斜めで・・・次はドン・カルロ拝見します、とだけお伝えいたしました。まだ覚えられてないこばやしちあきさん(泣)
「リゴレット」は4回目。2回のサル演出@ミュンヘンと、ロンドンの裸体演出。今回のが一番よかった。