2015.7.10: Rossini "Guillaume Tell"

また後追い演目。このキャストで歌えるのか?でもパパーノ先生の指揮だからいいと思った。

期待通り、最初から最後まで指揮は完璧素晴らしかった。演奏ではチロルの山がみえたし!疾走の時は先生もう振ってないし。つったってタクトちょっと振るだけ。もうオケが勢いづいてるからいらないってか〜

さて、大不評で修正したとアナウンスのあった演出は、どんなもんでしょう。

前奏時に漫画で舞台を説明し、その上、小さい人形で遊んでいる子供を映し出すという、邪魔だ。

その子供はテルの息子ジェミィで、一人クラシカルな衣装の影のおじさんに励まされ助けてもらう。おじさんが誰だか自明ではないが、子供が呼んでた漫画にあった伝説のウィリアム・テルだと思う。

舞台には大きな倒木があるだけ。そこに現代風衣装の村人が集まり、兵隊がきて悪口を働く。あと地面は思いっきり土だった。彫ったりなんか埋めたりできる。でも大きな動きはなく、いろいろ小さい。

1幕の三組の結婚式とかわからんかった。弓矢の競技では、ジェミィが売った弓をおじさんが持って的にあてる。血のついた羊飼いが、娘を守るため兵士を殺したとやってくる。兵隊がきて、村長アルノルドの父を上手脇で殺してしまった。

てかアルノルドどこ?いいという評判をどこかで読んだカナダ人テノールだが、声はあまり出てない。Florezと比べてはいけないが。

2幕で王女マティルデ登場、普通の水色のスーツ姿。Malin Bystromの金髪には似合っているが。倒木の脇で、スーツの上着を脱いで、アルノルドに自国の軍服を渡す。一度はそれを来たアルノルドであったが、父が殺されたことをきき、脱いで土に埋める。

この2幕は二人の合唱がめちゃくちゃ美しいはずなのだが、全然。Malin Bystromは高音があまり出ないから、この役はさすがに無理。美人だけど。

3幕、軍人たちがテーブルに居並びシャンパンを開けて乾杯。本物?みんなかなり飲んでいた。そこへ村の女が一人連れてこられ、飲まされたり、小突かれたりしたのち、テーブルの上で布一枚にくるまってのたうちまわる。ものすごーく美しいバレエ音楽にのって・・・。初日はもっと露骨なレイプシーンが展開されたのであろう。やれやれ。

テルと息子も連れてこられて、テーブルに座る息子の頭の上のリンゴを撃てといわれたウィリアム・テル。息子の背後にはおじさん。弓を放つとバン!と音がしてリンゴ爆発。どういう仕掛けだったか不明、おじさんがなんかやったのか?

あわててやってきたマティルデが息子は助けたがテルは逮捕されてしまった。

4幕、アルノルドの長いアリアが見所。John Osbornは別人のようにちゃんと歌っててびっくり。なんだ歌えるんじゃん、セーブしてたのか。最初から最後まで全力で完璧なFlorezの偉大さを再確認。

倒木の脇で、テルの妻の元に、マティルデが息子を連れてきて、女三人で合唱。ここもワーグナーばりに美しいはずなんだがなあ。

嵐の中、逃げてきてテルに、息子が弓矢を渡して、悪代官ゲスレル死亡、アルノルドも城を落とす、のクライマックスは、ぜーーーんぶ「漫画」だった!ふざけんな。その後、倒木が空中につり上げられて村人が歓喜の歌を歌う。そんなんでごまかされるか。

ペサロのGraham Vick演出の素晴らしさがわかった。あの時はバレエシーンがグロくて嫌だと思ったが、そんなことないや!限られた舞台で場面を仕切って実にうまく構成していた・・・

STAFF & CAST


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