2005.9.2: ウィーン!

9月2日(金)

午前9時起床。まず車を駐車許可な場所に移動。パンとかハムとかチーズとかの簡単な朝食をとる。

10時半に町に出る。電車の切符を一日券で買う(5EURO)。これでバスとかトラムも乗れるはず。15分ほど地下鉄に乗って町中へ。

まずオペラ座に行き、webで買ってクレジットカードで支払ったチケットを引き取る。Karlsplatzで降りて少し歩くと……すぐあったー!正面が修理中なのは残念だが、なかなかよさげな建物である。淡いベージュ色の、ヴェネチア式ルネサンス。切符はすぐに受け取れた。

オペラ座

次、靴を買う。服はもってきたのだが、靴は玄関先まで出して車に積むのを忘れてしまったのだ。Saltzburgあたりを走っている時に気づいたのだが、時すでに遅し。オペラ座から教会へ向かうケルントナー通りを物色。

イタリアブランドでお洒落な店が目に止まる。前にもパリに行った時に履いていたブーツしかなくて買ったり、アラスカではブーツ、海辺ではサンダル、と、旅行に行く度に買っている気がする。今回は思いっきりピンヒールにしちゃった。125EUROなり。

さて、晴れて観光。まずはこの町で一番有名なサン・シュテファン大聖堂。12c創建、正面入り口の門が最古で後期ロマネスク、他はゴシック、祭壇はバロック。モザイクみたいな色瓦の屋根がかわいい。

St. Stephansdom 大聖堂

昼はミサをやっていて中まで入れないので、137mの南塔へ階段343段をのぼって時間をつぶす(3EURO)。塔は修理中で上っても景色は北側しか見えなかった。ウィーンは広くて景観はいまいち。

1時に中に入る。正面までは有料で、ガイドなしの1EUROにした。建設家アントン・ピルグラムの説教壇。主祭壇は絵画で右側に彫刻の副祭壇、左側に皇帝フリードリヒ3世の棺。



副祭壇

皇帝フリードリヒ3世の棺

アントン・ピルグラムの説教壇

後陣に古いっぽいステンドグラス。教会内部の他のステンドグラスは壊れたのか、上部を除いて色ガラスが並べてあるだけ。正面のバラ窓は青と赤の配色。

他にもいくつか教会があるので、歩いて回る。

Peter 教会、中はバロックで壮麗

Kirche am Hof 王宮広場教会、中は入れず

Schotten 教会、いまいち

時間になったのでホテルに戻り、着替えてオペラ座。着たいドレスあって持ってきたのだが、タクるのも面倒で、電車でいくことにしたのでまた着られず。

「ドン・カルロ」をみた。キャスティングが最高で、思わずチケットをとってしまったのだ。でもPeter Konwitschnyのトンデモ演出で、1幕の後、中継キャスターの芝居が入ったりしてわけわからんかった。Nadja Michael と Bo Skovhus の歌はほんと素晴らしかった。

夕食はオペラ座のすぐそばでパスタを食べた。割とおいしかった。

STAFF & CAST

9月3日(金)

本日はお城の日。車で15分ほど走ってシェーンブルン宮殿に行く。道路が工事中で駐車場に入るのに手間取った。入り口まで少し歩く。どーん。

Schoenbrunn 宮殿

1569年、ハプスブルグ家の皇帝マクシミリアン2世が狩猟の館として入手。1605年、その子の皇帝マティーアスが再建。1683年、レオポルト1世の時代にトルコのウィーン包囲で破壊されるが、Fisher von Erlach に築城させる。ベルサイユ宮殿を意識したといわれる。その後、女帝マリア・テレジアがニコラウス・パッカシーに改築させる。末娘マリー・アントワネットもルイ16世に嫁ぐまでここで育った。

ガイドテープ聞きながらじっくり見た。でも中は撮影禁止で残念。パンフレット買って我慢しよう。

エリザベートの肖像画に、惚れた。美しい・・・半分ほど振り返った姿のをよくみるが、私は横顔で髪をおろしてるのが好き。あの星形の髪飾り、ほしーなー・・・

中庭、ネプチューンの泉、Gloriette

中庭をじっくり歩く時間はなさそうなので、バスに乗って、動物園をすぎ、もう一方の建物 Gloriette へ。戦で死んだ臣下のために建てた建物らしい。


温室

Gloriette

オベリスク

そこは小高くなっていて、屋上にあがると、Schoenbrunn 宮殿が見渡せる。

Schoenbrunn 宮殿

車に戻る。近くに有名な現代建築家の金ピカな教会があるらしいので見に行く。地図もないし人にきいてもわからないし、やっと見つけた。

Kirche am Steinhof 教会

でも工事中で中は入れずすごく残念。Otto Wagner (1841-1918) の作。うーん、グロテスク。

続いてウィーンの森をぬけてちょっと走る。地図にのってた Kahlenberg は地名だけで建物も何もなかった。

そして辿り着いたドナウ川沿いの町、クロスターノイブルグの修道院。緑色のバロックの丸屋根の隣に教会があった。二つの丸屋根は王冠の形になっていて、神聖ローマ皇帝とオーストリア皇帝の王冠を表しているらしい。

Klosterneuburg 修道院

高い二本の尖塔。ゴシックか。半分白いのは再建だからか。時間はだいぶ遅かったが、ちょうど夕方のミサの直前で、中に入れた。中の装飾がものすごかった。

淡い色彩の優美な天井画。内陣は重厚で黄金に輝く。両脇の礼拝堂にも絵画が並び、キリストの受難が描かれている。こんなとこ滅多に来られないだろうから写真撮りまくる。

12c初め、オストマルク辺境伯でバーベンベルク家のレオポルト3世がお告げにより建てたらしい。この家の断絶後にオーストリアを治めるのがハプスブルグ家。そんな歴史が古いのか。18c、カール6世の死後に大改築された。聖ペテロ礼拝堂のヴェルドゥンの祭壇はツアーでないと見られないらしい。

ああ、今日はいいもの見た。ここまで走ってきてよかった。町の教会より、田舎の修道院ってのはすごいな。

9月4日(土)

今夜もオペラが見られないかとチケットを買いにいったが、ガイドブックに載っていたチケット売り場が移転していて、移転先を探しあてたら、営業時間が終わっちゃって、買えなかった・・・ま、いっか。

最初はあまり興味はなかったのだが、昨日エリザベートにはまっちゃったので、今日は町中のお城を見に行こう。ハプスブルグ家が650年間も住んでいた王宮。

Albertina アルベルティーナ宮殿、中は美術館

Augstiner 宮廷教会 (14c ゴシック)

国会図書館 Prunksaal、ヨーゼフ2世像

図書館はFisher von Erlach親子の作で中はすごいらしいがちと疲れたので見なかった。


スイス門

王宮礼拝堂 Burgkapelle

このスイス宮が13c建築の最古の部分で、15-16cにルネサンス増改築。玄関のドームでかい。


宰相宮の玄関

フランツ2世像

ここから内部ツアーに入る。まず、鬼のように銀器コレクションを見せられる。ルイ14世がマリア・テレジアに贈った緑の二重リボンの陶器がほしーなー。

続いて、宰相宮とアマリア宮。早死にしたヨーゼフ1世の未亡人アマリアが住み、フランツ・ヨーゼフ1世の妻エリザベート (1837-98) もここに住んだ。

その愛称シシ・ミュージアムになっている。婚礼のドレスきれいだったー。バイエルン家から17歳で嫁ぐ。子供は4人、長女は2歳で死に、長男は無理心中。ジュネーブでイタリア人に暗殺された。

Helden 広場を横切って、環状のトラムの路線に出る。


カール大公騎馬像

ブルク門

あとはこのトラムに乗って、ウィーンの町中の観光ポイントを押さえよう、って写真とるだけ。まず右回りで北上。


美術史博物館

マリア・テレジア像

自然史博物館

国会議事堂

市庁舎

ブルク劇場

ウィーン大学

かっちょいい二本の尖塔の教会なのでトラムを降りて見に行く。中は閉まってて入れず。

ヴォティーフ教会 (1856-79 ネオゴシック)

おっと、南の方にも見なければいけない教会があったのだ。Fisher von Erlach親子の作。うーん、丸いバロックもかっちょえ〜。

カールス教会 (1716-1739 バロック)

走っていったら中はぎりぎり入れたけど、修理中で、ロットマイヤーの天井画みられず。祭壇はまあまあ。外側の装飾の方が断然いい。二本の円柱とかかっこえー。

このすぐそばに、昨日みられなかったOtto Wagnerの作品がある。丸屋根に淡い緑の骨組み、金の装飾、、、これくらないならあんまグロくなくてかわいい。

Karlsplatz駅(西側)

このそばに、金色のキャベツと呼ばれる分離派会館S ecession (19c末)、ヨーゼフ・マリア・オルブリヒ設計、があるのだが、見るの忘れた。

ウラニア天文台

トラムを左回りで北上。市立公園の金色のシュトラウス像、トラムからもちらっと見えた。ウラニア天文台の脇を通ると、ドナウ川に出た。

もう薄暗くなってしまった。それからトラムでもう半周したら、すっかり暗くなってしまった。夕食にしよう。

まだ見ていない郊外の宮殿もいくつかあるが、今回のウィーン滞在はこれくらいにして、明日にはミュンヘンに帰ろう。最後だから、オペラ座のすぐそばの、天満屋というよさげな和食屋で天満屋御前をいただく。ミュンヘンではありえないくらいおいしかった。

帰りにちょっと歩いて、まだ見てない教会をすぎる。町中にもまだ見てないものあるなあ。まあ、ウィーンはまた来る機会あるだろう。

Kapziner 教会

9月5日(日)

また5時間ほど運転してミュンヘンに帰る。ちょっと南の修道院に寄りつつ。

Baden の Rauhenstein 城、通り道で見えた

Mayerling 修道院、昼休みで中は入れず

Heiligenkreuz ハイリゲンクロイツ修道院に着いた。ツアーでドイツ語の解説を聞きながら中を見させてもらう。


 

修道院教会

聖十字教会

まず庭の説明。修道院教会のロマネスクのファザード、三つの窓は三位一体を表しているとか。


三位一体柱

St. Joseph の噴水

入り口を入って回廊に出る。ロマネスクとゴシックの過渡期。窓枠も美しい。ステンドグラスもちょっとある。片側に並んだ小部屋ものぞきつつ。彫刻家 Giovanni Giuliani の作品がいろいろあるらしいが、展覧会に出典中でなかった。


回廊

 

St. Anne 礼拝堂

Chapterhouse

 

Funeral 弔いの礼拝堂

噴水 Fountain House

 

 

Fraterie 中世の仕事場

Sacristy 聖具室

 

いよいよ修道院教会内部。ゴシックだ。祭壇は天蓋に木製の十字架。

はあ、またいいものみた。一昨日の修道院みたいな豪華さはないけれど、古い回廊ってのも美しいなあ。他の観光客も地元の老人たちで静かだし、解説の人もすごく丁寧で親切。写真も撮らせてもらえるし。いいことばかりだ。

標識に従って高速に出て、一時間ほど西に走り、メルクで降りる。この旅の最後は世界遺産、オーストリア・バロックの至宝、メルクの修道院でございます。さすが世界遺産で標識もばっちり出てるし迷わずに着けた。観光バスもいっぱい。あまり時間がないので、急ぎ足で。

うわー、おしゃれな建物!落ち着いた山吹色の縁取り。


東ファザード、バーベンベルグ塔

ベネディクトの間

高位聖職者の庭

階段を上り、チケットを渡す。数個の部屋に展示物が並ぶ。修道院の歴史と宝飾品。照明が現代的すぎていまいちだなあ・・・。


皇帝階段、カールIV世の碑文

皇帝回廊

そして大きな部屋に入る。うわっ!なんだこれ!!!

大理石の間

なな、なんだったんだ?あのゴージャスな大理石の広間。天井画もすごい綺麗だし。

その部屋を出るとバルコニーで、眼下にドナウ川どーん、振り返るとファザードがばーん。

頭がツーンとしてきた・・・なんなんだ、ここ。後ろから来る人にどんどん追い越され、気づけばぽつんと一人になっていた。

図書室

次の部屋は図書室。こっちもすごい重厚。天井画もすごい。そして最後は・・・付属教会。

付属教会


聖コロマンの祭壇(左側)

聖ベネディクトの祭壇(右翼)

副祭壇(左側)

もう何もいえません。これまで見た中で断然一番ゴージャス。そして美しい。こんなものが世の中にあったんですね。まいりました。

これでツアーは終わったらしい。階段をつたって下の町に下り、町の教会をのぞいた。

町の教会

この修道院、下の町から眺めても美しい。ドナウ川からの眺めもいいだろう。これはもう修道院というより、城だ。

メルク修道院

ほんとに城だった。バイエルンの伯爵シツォが所有。ハインリヒ・デア・ツェンカーについて皇帝オットー2世側に破れ、バーベンベルク家レオポルト1世が占領。1089年、レオポルト2世がベネディクト修道士を呼び寄せ、レオポルト3世が僧院に与えて、一昨日行ったクロスターノイブルグに移る。おお、今回の旅程は歴史的にもナイス。

1297年、大火で焼失。14c初めに再建。ハプスブルク家ルドルフ4世建設公から「メルクの十字架(1362)」寄贈。宗教改革でしばらく衰退。17c改築。

1700年、若き院長ベルトルド・ディートマイヤが新築にとりかかる。建築プランタウアー、内装アントニオ・ベドゥッチ、漆喰ヨハン・ペックー、彫刻ロレンツォ・マティエリ、そしてフレスコ画ミヒャエル・ロットマイヤー。約40年かかって完成。


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