舞台は白い箱の中のみ、上も横も真っ暗。背後の壁はスライドして、扉が現れたり、背景がみえたり、窓が現れたりする。舞台セットは下手寄りに置かれた白い机と椅子のみ。
扉からスーツ姿で黒い鞄をもった女が入ってくる。取調室のイメージ。その女が何かやらかしたのをふりかえる演出か。
背景が開いて鮮やかな麦畑が見える。水色のロングスカートの女が洗面器もってやってくる。ブリヤ家のおばあちゃん、三人の孫がいる。
続いて胸元の開いた真っ赤なワンピースに真っ赤なヒールの女、イェヌーファ(ブリヤ家の次男の前妻の娘)。タンクトップ姿の若者ラツァ(長男の後妻の連れ子)が気をひこうとするが無視。彼女が机に座っているのを少年が横でじっとみている。上手側でラツァは他の男に渡されたナイフを研いでいる。
背後の扉が全部開くと麦畑に、電信柱が三本、遠近法で長さが違うので、麦畑が広々と見える。若者と音楽隊がわらわら入ってきて、スーツの男シュテヴァ(長男と後妻の息子)が机にあがって金をまく。イェヌーファのスカートをめくる。こいつがイェヌーファを妊娠させた。
若者たちが去った後、イェヌーファがシュテヴァに結婚してくれと言うが逃げられ、ラツァは慰めようとするが相手にされず、うっかりナイフをかざすとシュテヴァの顔から血が!
休憩のち2幕。最初の女が机につっぷしている。ブリヤ家の教会のおばさん、イェヌーファの継母である。机には太い蝋燭が一本。この白い箱は教会のイメージでもあったのだ。
イェヌーファは白いネグリジェっぽいワンピースで出てきて、水筒からお茶を入れて飲みつ話すが、疲れていて、奥に行って休む。
教会のおばさんはシュテヴァを呼びつけてイェヌーファと結婚しろと言うが、シュテヴァは村長の娘カロルカと婚約したと言って去る。ラツァが来て、イェヌーファと結婚したいと言うが、イェヌーファがシュテヴァの子を産んだと知って悩む。教会のおばさんはその子は死んだと嘘をつく。
背後の扉が少しずつ開いて、すっかり雪景色とかすんだ電柱が浮かび上がる。おばさんはしばらく悩み、鞄を持って外で出て行く!すごい緊張感、鞄には何が!?
壁はまたスライドして窓が現れる。イェヌーファが出てきて、窓の外を眺めてなんか歌う。
休憩のち3幕。机には花がのっている。下は黒いスカートで上は臙脂や深緑などの色とりどりのブラウスを着た女たちがイェヌーファを囲んで歌う。今日はラツァとの結婚式。
祖母などみな参列。スーツ姿のシュテヴァは黄色のミニワンピースを着た村長の娘の尻にしかれている。
ドアから人がかけこんできて、氷の下から赤ん坊の死体がみつかったと!イェヌーファは取り乱し、シュテヴァの子だと叫ぶと、村長の娘はそんなの聞いてない、破談よ!と父とともに出て行く。シュテヴァは壁際で体育座りで小さくなっている。
教会のおばさんは自分が殺したと自白。イェヌーファはラツァに別れようと言うが、ラツァは別れないと言い、イェヌーファは真実の愛に感謝する。
久々のChristof Loy傑作。シンプルでアクセントの効いた舞台で物語を見せきる。ストレートプレイをみたみたい。歌手はみな悪くない、音楽もまあまあだが、物語ががつんときた。オペラはこういうのもあるから面白くてやめられない。
村長夫人が代役出てたがだいぶ前に変わったのかホームページにも記録なし。
主演Michaela Kauneはミュンヘンで何度かみてる。あまりいい印象ないが、今日はよかった。