三年連続のベリズモ・オペラ。フランチェスコ・チレアの「アドリアーナ・ルクヴルール」、さすが名作。バレエありの4幕で見応えあった。演出は一昨年と同じMartin Lloyd-Evans、去年のStephen Barlowと似た感じ。
1幕は劇団の楽屋、衣装や音響装置が雑多に並び、上手には紅茶テーブル、下手の黄色っぽい小屋に主演女優アドリアーナ・ルクヴルールの部屋がある。中央の野外劇場の通路の向こう側に舞台がある設定で、そこから劇団員たちが入ってきては出ていく。
舞台監督のハゲおやじ・ミショネ(歌はいい)がうろうろ。女優のパトロンのブイヨン公爵とシャズイユ僧院長(若くない)の相手をしたり。
舞台監督は女優に惚れていて、伯父が死んで遺産が手に入るから結婚しようかと思うと女優に言うと、私が結婚できるならいいと言われ、誤解していると、女優の恋人がやってくる。女優は紫の小さい花束(すみれらしい)を渡す。うーん、歌はどっちもいまいちだ。
ブイヨン公爵が愛人の手紙を入手したところ、マウリツィオ宛で、愛人宅で密会すると。同時刻同場所でパーティを催すことにして、その手紙を届けさせる。
手紙を受け取ったマウリツィオが、政治が入ったから今夜は会えないと女優に伝言を残す。伝言を受け取ったアドリアーナは、ブイヨン公爵のパーティに行くことにする。
2幕は愛人の別荘。上手の背景をひっくり返すと、白黒の横縞の小部屋と緑色の小さな納戸になる。下手の小屋がパカッと開くと同じ白黒の横縞の大部屋になり、その中に金髪のブイヨン公爵夫人がいて、キリキリ歌う。歌も存在感もこっちのが上だー。
ブイヨン公爵夫人はマウリツィオを愛しているがマウリツィオはつれない。そこへパーティで人々がきたので、隣の小部屋へ逃げ、公爵夫人はさらに納戸で布をかぶって隠れる。
恋敵だと判明したが、アドリアーナはブイヨン公爵夫人を小部屋の隠し扉から逃がし、ミショネは落としたブレスレットを拾ってアドリアーナに渡す。
休憩のち3幕、ブイヨン公爵の館。上手の部屋にルネサンスぽい絵画のパネルが三枚。家来が花飾りを運んできて、僧院長がいちゃもんをつけ、公爵夫人にはデレデレしている。
客人たちに続いてアドリアーナがやってくる。公爵夫人のマウリツィオが決闘で大怪我をしたとのかまかけに失神してしまう。
女3男2の劇中バレエののち、公爵夫人がアドリアーナに「捨てられたアリアドネ」の台詞をやれというと、「夫を裏切った淫らな女フェードラ」の台詞をいって、さらに恨みをかう。ここは歌でなく台詞、喋る声も低めでいまいち。
アドリアーナはマウリツィオに一緒に来てと言うが、「明日」と答えられ、ミショネに抱えられて逃げるように帰る。 間奏のち4幕、アドリアーナの家。絵画のパネルをどかすと上手の部屋はこじんまりした二部屋の家になる。左側のカーテンに覆われたベッドにアドリアーナがいて、右側はテーブルと食器棚があり女中がいる。
上手の空間は家の外で、ミショネがつっきって家にくる。劇団員たちもきて、アドリアーナの誕生日を祝い、元気になる。が、ミショネ名の小箱が届き、ミショネは「問題かも」とつぶやき、劇団員たちを先に飲みにいかせる。
アドリアーナが小箱を開けると紫の花が入っていて、ポケットからライターを出して燃やす。
マウリツィオが来て求婚すると、アドリアーナはさんざんじらしていたが、小箱に仕込んであった毒薬がきいてきて、あっけなく死んでしまった。悲劇としらなかったらハッピーエンドだと思ったかも。
音楽は全編通じていい。モチーフが日本でやってたアニメで頻繁に使われてた気がするのだが。。。でも歌手は主役二人がいまいち。ソプラノは大して高音でもないのに、Cheryl Barkerは初見。テノールはPeter Auty、去年の「道化師」とかはよかったんだが。