2015.11.1: Luigi Rossi "Orpheus"

初ロンドンのグローブ座。ロイヤルオペラとの共同製作二本目。去年の L’Ormindoは評判よかったらしい。今年はオルフェオ祭りだが、珍しい演目なので。チケットは完売だったのを、毎日チェックしてリターンをゲット。

客席せまっ。オケピない。オケは少人数で二階にいるもよう。私は席はサイドなので全くみえない。

舞台の上には細長い机があるだけ。白いテーブルクロスがすっぽりかぶっている。客席の後方から10人の役者が出てきて、バロックのしらべに合わせて、赤いリンゴを片手にストップモーションをする。いかにもRSCぽい。

役者かと思ったら歌手達だった。三人の乙女たちが蝋燭をもって出てきて火をつける。オルフェオ(青い王子服)とエウリディーチェ(赤と緑のドレス)は結婚式の前らしい。エウリディーチェの父と侍女が見守る中、書類にサインをする。

場面かわって、男装の男がなんか歌い、私のいた上手の脇から、長い顎髭の男(半獣人サテュロス)がちゃちゃをいれる。近いから迫力がある。

二階から縄梯子がばんと降りてきてキューピッドが登場。続いて天井からブランコにのって母ヴィーナスが登場。赤いドレスがぱっくり開いて出してる足が細くてきれい。オーストラリア人らしい。

男装の男はアリスタイオス、オルフェオと同じくアポロの子、衣装も似てる。声と顔がだいぶ違うので見分けはつくが。で、エウリディーチェに横恋慕している!ロープ、ナイフ、毒薬を手に死ぬとか歌っていたが、ヴィーナスにそそのかされる。三人の乙女のアンサンブルもいい。

再びオルフェオとエウリディーチェの晩餐会。神々も参加してるし。新しい髭の男モモス、噂と嘲笑の神、も加わる。テーブルの中央のウェディングケーキの中から人が飛び出す(三人の乙女のうちの一人だった)。

天井のライト(蝋燭であることに気づいた!)が降りてきて、地震が起こったようだ。みなが逃げた後、オルフェオとエウリディーチェが机の上でいちゃいちゃ。

休憩のち二幕。二人は休憩が始まった後、演技しながら退場していた。席に戻ると三つの机が並んでいる。

エウリディーチェが侍女と寺にきて、ヴィーナスの命を受けた女装の男(Alkippe)とアリスタイオスに説得される。侍女まで加わって、黒いドレスを脱ぎ捨てて、チアリーダーみたいな格好になる。網タイツだ。が、エウリディーチェはドライフラワーを叩きつけて断って退場。サテュロスが彼女を誘拐するとアリスタイオスに告げる。

オルフェオの元にキューピッドが来て、ヴィーナスの企みをばらす。が、Alkippeにみつかって尻を叩かれる。

三つの机が中央に集められ、料理を運ぶ金属の釜が三つ置かれ、エウリディーチェが蓋を開けると予想通り、三人の乙女の頭が覗く。

神々が出てきて、エウリディーチェが料理の蓋を開けると、とぐろを巻いていた赤いヘビがにょーっと伸びて噛まれた!アリスタイオスが助けると抱きしめるが、エウリディーチェは断る。

エウリディーチェは机に横たわり、歌いながら、死んでしまったー。間に合わなかったオルフェオがやってきて、遺体を抱きしめて嘆く。1幕の終わりと同じ構図でうまい!

休憩のち三幕。また休憩が始まった後、三人の乙女たちが黒い布をかぶせて運んでいった。席に戻ると舞台には何もない。上手と下手の両脇に木の長椅子があるだけ。

オルフェオがエウリディーチェの死を嘆く。小さい琴を持っている。三人の乙女たち(シカの面をつけている)が赤いロープを持ってきて、輪にして死のうと思うがやめて、冥界に旅立つことにする。奈落がぱかっと開いてその中へ。その後、天井からロープを伝って降りてきて、冥界に着いたことを表現。

場面かわって、アリスタイオスがエウリディーチェにののしられる。狂って、隠れていたサテュロスとAlkippeを見つけて、彼女だと見間違える。皮の紐で長椅子にくくりつけられそうになり、逃れて、毒薬をもって自殺?グラスをばんと後方に投げて割っていた。

三途の川の渡し守がプルートに、オルフェオは歌うまいんだよね、とか言っている。長椅子をひっくりかえし、船にみたててこぐ。オルフェオがそこに座って、冥界に到着した。確かに歌がうまいので、プルートが、帰りにエウリディーチェを見なかったら返してやると告げる。

運ばれてきたエウリディーチェがオルフェオと逃げる。三人の乙女たち(黒い布をかぶっている)は長椅子を次々と移動して、二人の道をつくる。そこをつかって二人が逃げる。上手の客席まできた。

長椅子が中央に集められ、黒子が押さえる。プルートが踊れというので、二人は踊るが、エウリディーチェは足を踏み外して床に倒れ込む。思わずオルフェオは見てしまった。一気に気を失うエウリディーチェ。。。ここはあっというまで、ものすごくテンポがよかった!

場面かわって、バッカスが三人の女と戯れている。三人の乙女の一人はバッカスを演じているので、侍女が追加で加わっている。ヴィーナスが、赤いミニスカートで現れ激怒。衣装はなにげにキューピッドと揃い。ヴィーナスがアリスタイオスが死んだと告げると、バッカスは復讐を誓う。

場面かわって再びオルフェオがエウリディーチェの死を嘆いている。背後からバッカスと乙女達がナイフをもって迫る。そこへ王冠をかぶったゼウスが登場し、エウリディーチェとアリスタイオスを蘇らせたもよう。

カーテンコールはRSC式の全員で三方に礼を繰り返し。そのあとオケも降りてきた。最後に代役だったオルフェオが一人で礼をして幕!!!ものすごーーーくよくて涙。

ロンドンのリングはまあまあだったが、Keith Warnerやるじゃないか。大がかりなセットもなく、テンポ良く、丁寧に物語をつむいだ。演劇的というか、もはや完全に演劇。

この作品、オルフェオのライバルが出てくるのが面白い。ギリシア神話に元ネタがある。しかも動機がヴィーナスのアポロへの復讐になっているという。

Gluck版は最初からエウリディーチェが死んでるのでダンスばっかり。Monteverdi版のプルートの妻は出てこない。無名だが、たしかにこの作品が一番いいかも。Kasper Holtenのナイス選択だ。フランスで、イタリアから輸入して、最初に初演やった歴史的オペラらしい。

有名歌手はいないくて、声量もそんななさそうだが、狭い劇場なので問題なし。特にエウリディーチェとアリスタイオスがよかった。オルフェオが歌は悪くないんだが、声量と演技がちょっと弱いと思ったら、病気で代役。それにしてはよかったか。最初の6演目はこの人だったらしい。その後、元々の歌手に戻ったが、最終日はまた病気キャンセル。見られてよかった・・・

この指揮者、ENOで二回みてた。メデアとロデリンダ。

STAFF & CAST


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