2016.3.14, 21: Musorgsky "Boris Godunov"

今シーズンの目玉作品「ボリス・ゴドゥノフ」。Richard Jones次第なんだが。

幕にはカラフルな駒がでかでかと描かれている。幕があがると二階建てで、上階で面をつけた子供?が黒子達に刺殺される。宮廷の人たちが下手からあとずさって押し出される。ここまでスローモーション。

階下にはベンチに男が一人、双眼鏡でみるとBryn Terfel。赤いズボンと灰色の上着はロシアの宮廷服らしい。同じ衣装の別の男やってきて耳打ちすると困ったように立ち上がり、上手に去る。

階下に黒っぽい衣装の民衆がぞろぞろ出てきて三列に並ぶ(三段の黒い台座あった)。男(警吏ニキーティチ)がなんかあおって合唱。別の男(シチェルカーロフ)がきて、「ボリス・ゴドゥノフが帝位についてくれない」と。合唱団はそう願っていたらしい。

上階の宮廷ではTerfelが下手にひきこもって困っているもよう。宮廷では一人、水色の派手な服をきているのがいるが、歌手ではなかった。

2場、いったん引き上げた民衆がマトリョーシカみたいな衣装で再登場。場面はノヴォデヴィチ修道院の中庭からクレムリン大聖堂広場に代わってたらしい。黒子が黒い壁に肖像画を数枚かざってた。

上階ではようやくTerfelがでてきて承諾し、金ピカのガウンを着せられ戴冠し、歌う。民衆も大合唱。ここの歌すごくいいんだけど、鐘の音がたぶん録音で、演奏と微妙に合ってないのがちょっと気持ち悪かった。

3場、クレムリンチュードフ修道院。上階には鐘が三つ。三つの顔を描いた看板が下手からスライドイン。僧侶ピーメンが杖をついてでてきて、看板前に座り、ペンキを片手に歴史を語る。上階で寝ていた僧侶が起きて降りてくると、オレンジ髪のグリゴリー。ピーメン曰く、ボリスが王子ドミトリーの殺害した、事件の後よばれて言ったら犯人が自白したと。いつのことかとグレゴリーにきかれ、王子が生きていればお前と同じ年だと答える。

4場、リトアニア国境の酒場。上階では検問をやっている。女将がなんか歌う。Tomlinson(逃亡僧ヴァルラーム)と連れの僧侶が登場して飲んだくれ。オレンジの髪の男(グリゴリー)もやってくるが愛想ない。Tomlinsonはひとしきりからんだと、飲んだくれて寝る。グレゴリーはおもむろに女将に抜け道をきく。

検問やってた警吏がおりてきて、逃亡者を探していると。でも字が読めないと。とりあえずTomlinsonを疑う。グリゴリーは特徴をTomlinsonに変えて読み上げる。Tomlinsonは片言だが字がよめて、特徴はオレンジの髪の若い男であった。グレゴリーはナイフを振りかざして逃亡。

舞台中央に宮廷服の男が一人、三段の黒い段にのってスライドアウト。ボリスの首席顧問、ヴァシリー・シュイスキー公であった。

5場、さっきと同じ、ロシア周辺地図を描いた看板がスライドイン。ボリスの娘クセニヤが乳母とでてきて、急死した許婚の肖像画を見て泣いている。息子フョードルが地図を刺して勉強している。Terfelがでてきて(水色の服)、家族サービス。お父さんも大変なのね。

従者がヴァシリー・シュイスキー公の来訪を告げ、なんかニュースがあったと。シュイスキー公曰く、リトアニアに死んだはずのドミトリーが現れたと。Terfelがほんとに死んだのかと問いただすと、神々しかったので王子に間違いないと答える。

最初の殺害スローモーション繰り返し。Terfelは駒を投げ捨てる。

6場、三段の黒い台座に、三つのドクロが寝転ぶ。子供たちが金属のバケツをかぶった白痴を追ってくる。白痴が王子殺害を口にするが、ボリスは殺すなと言う。

7場、三段の黒い台座に椅子が並べられ、宮廷服をきた合唱隊が座り、中央でシチェルカーロフが会議を仕切る。シュイスキー公が遅れて来て、ボリスの精神状態を伝える。と、髪を振り乱したボリスがやってくる。

ボリスが中央で一人嘆いて歌う。さすがTerfel!

シュイスキー公が僧侶と話せとすすめ、やってきたのはピーメン。お前が殺したとトドメ刺す。

ボリスはフョードルを呼んで、お前は知らなくていい、正統な後継者だ、姉を守れと伝え、政治を一通り指南してだまる。フョードルが父の肩を押すともう死んでてばたっと倒れる。様式美すぎて興ざめ。

最後もまた上階で、面をつけた子供が刺殺されて、宮廷の人々が下手から押されるスローモーション。フョードルも押されてきて、オレンジ髪がナイフを持ってでてきて、幕。

途中、若干眠くなったが、歌手はよかった、演奏もよかった、演出もまずまずだった。二回みる価値はあった。三回はみないけど。

Richard Jones(1953英)演出は5回目:

最初は演劇的で面白いと思ったけど、説明臭くて、絵的にグロいので飽きた。ロンドンの「Il trittico」も行かなかったくらい(Holland Parkの名演出が消えると嫌だから)。

Dmitri Tcherniakov(1970露)():に似てる。どっちもイギリスでは受賞多数で評価高い。私的にはいまいちだけど。

形式化というか様式化というか、スローモーションとか、一列に並んだり、合唱隊に演技させなくていいから安上がりなのか、こんなの演劇じゃない!

Pappano先生の指揮はさすがにシャキシャキで、音も合唱もシャキシャキだったけど、アムスの方が泣けた。合唱団も演技すると気持ちがこもるんじゃなかろうか。

STAFF & CAST


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