2024.4.11: Bizet "Carmen"

ちょっともっさりした前奏の後、幕があがる。警察署前の広場に、かなり大勢の男たちがばらばらにたたずみ、みなうちわのようなもので顔を扇いでいる。暑いのか?でも様式美でリアリティなし。黒メガネのダサい女が歩き回ってホセを探す。

舞台は回転して、警察署の横がみえると自販機がある。背景は草原のシルエット。上空には金属の枠に大量の照明がついている。

大人たちが去って、三人の小さい子供がレトロな回転ベンチで遊んでいると、他の子どもたちがやってきて拳銃で打つまねをするので、三人は悲鳴をあげて逃げる。残った子が爆竹をなげて警官を脅かす。

ホセも警官の一人。オーラなくてどれだかわからんかった。

ミカエラがきてホセと話す。彼の母親と教会いった、早く帰ってきて結婚しろと、ホセは警察署の中に入って答える。今回めあてのOlga Kulchynskaはさすが透明感と張りのあるいい声してる。

女工たちが大勢やってくる。カルメンはジャージにピンクのバンダナの女、これもオーラない。「ハバネラ」歌ったからそうだったのかと。その後ろにいる別の女性歌手の方が目立っていたり。ホセがどこで恋に落ちたのかもわからん。

カルメンは捕まって、ホセと警察署の中に入り、取り調べを受ける。そこで色仕掛け。上司スニガがきて、カルメンを口説く。

このカルメン、去年のウェルテルの相手役だったロシア人Aigul Akhmetshina。声量はあるが心がない、顔は濃いが演技は控えめ、あまり視線を客席に投げない、しかも小柄。ホセはPiotr Beczala、おじさん顔だからか、パリのローエングリンでも軍服、今日も似たようなもの。

小休止。子供たちが段ボールを持ってきて掲げると一時ずつ書いてあり、フランス語で1年後だと。

2幕は建物の中がカラオケバーみたいになっている。ソファーに鏡の床、ピンクの電飾。長身スレンダーな女二人とカルメンが男スニガを相手している。女たちはみなジャージから露出の多い服に着替えていた。赤髪、ショートパンツ、ロングブーツはGabrielė Kupšytė (Mercédès)、金髪、赤ミニワンピ、ハイヒールなのはSarah Dufresne (Frasquita)、どちらのソプラノもいい声してる。今日は音量控えめ指揮なので、ソリストの声が聞きやすだけかも。

黄色スーツの男エスカミーリョがきて、「闘牛士の歌」、まだ粗はあるがこのバリトンいい声してるわー、キャラも堂々として一気に物語を動かしてくれた。Kostas Smoriginas、たぶん初見。

彼が帰ると車きた!スマグラーのダンカイロで、次のとこ行こうぜと。二人の女は乗り気だが、カルメンはホセがくるから行かないと。ホセきたが、すぐラッパがなって、仕事にいかなきゃと。でもカルメンは上着を脱いで黒下着を見せると、二人は部屋に戻り抱き合う。

またスニガきて、ホセに仕事いけと、ホセが反抗しようとすると、スマグラーたちがスニガの頭に布袋をかけて車に乗せ、ホセは元の世界に戻れなくなってしまう。

休憩のち後半。また子供たちが段ボールもってきて、翌朝。一人の子がはけ遅れる小芝居あり。

3幕はスマグラーの倉庫に車が横付けされている。スニガで出てきて逃げる。ホセもとちょろちょろしてるがオーラないなあ。女三人がタロットをやり、赤髪は恋人ができる、金髪は金持ちの老人と結婚して遺産をもらう、カルメンは死に恋人も死ぬと。

みな退場のちミカエラがきて、怖いといいつつ、倉庫に隠れる。

また黄スーツのエスカミーリョが来てカルメンをくどく。ホセには昔の男かと言い、二人は一触即発になる。エスカミーリョが帰るとミカエラが出てくる。ホセは帰らないと言ってたが、母がもうすぐ死ぬから会って許したいと言っていると聞くと帰ると。密かにがっかりのカルメンにでも戻るから!と言って退場。

小休止。金ピカの闘牛士の衣装を縫ってる衣装係のおじさん。子どもたちがばらばらに出てきて文字列は意味をなさないが、並び直すと数年後。

市場なのか村人が集まり、ドレスの女が二人、金ピカ闘牛士が二人もいて、一気に華やぐ。きたきたきた。冒頭は暑いばかりで退屈というのを演出してたのか。。。

建物中には鏡がありエスカミーリョが衣装を来ていてカルメンといい感じになっている。ストーカーと化したホセは建物の周りをうろうろしている。女二人がきてカルメンに命が危ないと忠告するがカルメンは聞かないので、二人は諦めていなくなる。

カルメンが一人で出てくるとホセがいて、闘牛士のメロディが舞台裏から聞こえる。エスカミーリョは民衆の前にいる。気づくと照明の枠は傾いていて、二人を真っ黄色に照らす。カルメンの衣装は紫だったので、ここにきてすごい目立つ。ホセは愛しているといい、カルメンはもう愛してないといい、帰るか殺すかにしろと言うので、カルメンは首しめた!短剣でも拳銃でもなく素手!!!こわいよすごいよDamiano Michieletto。

べリズモ・カルメン。バレエなしの台詞版で普通の人の小さな不幸を描く。Oliver Mearsの演出だと勘違いしていた。ホセにつきまとってる黒子がいるので、Damiano Michielettoのパクリみたいだなと思って、休憩でプログラムみたら本人だった。回転舞台とか「Cavalleria rusticana」と同じやん。いやあ、彼ならどんなオペラでもべリズモにしちゃうよね。でも今日みたいに歌手本人がキラキラでないとつらい・・・と感想かいてたところでの4幕、Damianoマジックに完敗!「ルチア」がビルから飛び降りた以来の衝撃だった。

今まで台詞版であまり見てない気がする。あのトラウマになったフランクフルトを除いて。テンポが悪くなるので嫌だ、物語わからなくてもいいから台詞カットしてほしー。

カルメンは5回目、見ようとしたのは7回で、あまりついてない。まだガランシャで聴けてない。ロンドンでは妖艶なZambelloがよかったけど、2013年ガランシャ降板、2015年カウフマン降板返券、その後Kosky版になって行かず、新演出になってくれたのはいいが、ますますガランシャから遠ざかる・・・

ROHインタビュー、これ聞くとDamianoが好きになる。彼の話をさえぎるKasper Holtenがうざすぎる。

STAFF & CAST


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