2016.12.17, 17.1.14: Strauss "Der Rosenkavalier"

最近、仕事ばっかりでオペラ久々。2週間以上ぶり。ロンドンの演目がつまらないんだもの。が、この新作は期待できる・・・

久々にパーフェクトな新作!素舞台に近いドラマチックな舞台が、最近はいつもいいカナダ人Robert Carsen(Ariadne, Carmelites, Capriccio)。Stage Magicってどこかに書いてあって、そんな感じ。大して何もやってないのにものすごく引き込まれる。

幕があがるとどでかいドアに絵画がかかった壁、赤いソファー。ドアから寝間着のRenee様が男と出てきて床に横になりあれよあれよ。そのうちに壁があがると、上手に赤いベットどーん。家来達がぞろぞろでてきてソファーを配置転換。最初のドアは下手寄りにある。まさに視覚のマジックだわ。奥の壁にもハプスブルグぽい絵画が数枚。って舞台はウィーンなのだった。

そのベッドの上で、女主人Marschallinが若いメゾといちゃついている。出だしはちょっと声の出が悪かったRenee様であるが、1幕の後半から銀色ボイスが光る。コンサートの時ほどのキラキラ感はないが、ちょっと疲れたMarschallinのオーラは抜群。Renne様がコンサート形式でなく演技してくれるだけでありがたいす。

お相手のメゾが、、、小太りにオヤジ顔。ここでテンションを落としてはいけない。全く覚えてないが、ミュンヘンでもOctavianで見てた。その時の感想「見た目が悪い」・・・。なのに一丁前に男前演技するんだ、こいつが。

この作品には三人のソプラノがいるのだが、最後の一人Sophieも小太り。。。これはReneeをすらっとみせる視覚マジックだな。Sophieは歌は悪くないけど声が太め。あとの歌手はみなよかった。Ochsはすらっと背か高く。

1幕の続き。人がきたのでRenee様はガウンを羽織り、Octavianは女装してくる。やってきたOchsがそれに一目惚れ。他にも訪問客がぞろぞろ出てくる。ファッションショーみたいな女たち。白タキのイタリアンテノールが妙にいい声してる。Valzacchi & Anninaもキャラが立っている。

みなを退け一人になると、Renee様は老いた身を嘆く。このあたりの表現はもうこれ以上ない。Octavianと言い合いになり、キスしないで別れたことを後悔。これもすごいリアル。Ochsに頼まれた銀バラ配達係をOctavianにする。ダメだよ!若い女の元に行かせちゃ〜

休憩のち2幕。幕があがると大砲が二つどーーーん。何、予算いっぱいあったの?後で考えると分かるのだが、舞台は第一次世界大戦が始まる直前で、ファーニナル家は武器商人、Ochsは将軍。

兵隊たちが大砲にのって歌う。なんか壮観。大砲がかたされたのち(床は市松模様だった)、ファーニナルがもったいぶって出して来た娘は小太りだったが、やってきたOctavianは一目惚れ。下手の二脚のソファーに座って語り合う。

戻ってきたOchsがそれを見つけてSophieを侮辱するので、Octavianが剣をぬいたら、家来の剣を自分に刺してまた大騒ぎ。担架でてきたり。松葉杖ついたり。面白いんだけど、ちょっと物足りないなあと思ったら、前に何度もみたのがTomlinsonだからか。あの爺には勝てん。

みな去った後、Anninaが女装したOctavianことMariandelからの逢い引きの手紙をOchsに渡す。

休憩のち3幕。幕があがるとドアが数枚。照明はピンク。ここはもう料亭じゃなくて売春宿なのね。思いっきり半裸の女が電話かけてるし、男女数人がドアの向こうに消える・・・

壁があがると広めの部屋。奥の壁には裸体の絵が数枚かかっている。Octavianが女たちに囲まれ、女の一人が脱いだ服をきて女装する。指示をとばしている赤いドレスにおかっぱ頭の女はAnninaだと思ったら途中からValzacchiに変わってた。Ochsがきて、Mariandelと二人きりになる、はずが、家来が一人残ってベッドの下に隠れたり。

Ochsが食事を始めようとすると、男のしたいことはわかるとMariandelは壁のスイッチを押し、壁からでかいベットがどーん。二人がそこにあがると、背後の絵画が透明になって半裸の女が真っ赤な照明の下で踊る!

・・・やりたい放題だな、「仕掛けの化け物」か。

警察がきて、Ochsは尋問されると、MariandelのことをSophieだと嘘をつく。そこへSophieの父がやってきて、ふざけんな!Sophieもやってきて、Octavianの女装に気づいて目配せ。

そこへRenee様、再登場。事態を颯爽と裁いてみなを引き上がらせ、若い二人が恋していることにも気づいて身をひく。

残った二人はベットの上でいちゃいちゃ。人々が通り過ぎるのにも気づかずずーっといちゃいちゃ・・・ジャン!あれ、ハンカチなかった?なくて正解。ハンカチ出てくると物語がぶち壊しだもの。

その代わり、最後に舞台の奥が開いて、Ochsと兵隊が出陣してた。。。全然、静かに幕が閉じてねえ。

初日なのでカーテンコールで舞台チームも出てきた。Robert CarsenはRenee様と仲良さそうに並ぶ。

シュトラウスがMarschallinに着目したのがまさに正解で、ばら騎士はやりやすい演目なのか、今までみた演出どれもよく、甲乙つけがたい。ロココ調のOtto Schenk、銀が印象的なMcVicar、天井が動くMarco Arturo Marelli

今日の唯一の難点は指揮者。まず紫のシャツが、汗かいてすごいシミになっててだらしない。すべてそれに象徴される。全体的に細かい音まで響かせるのはいいが、各幕の出だしとか前のめりになりすぎでオケがついていけてない。

STAFF & CAST


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