2019.8.11, 14: Rossini "Semiramide"

Michele Mariottiの指揮する「Semiramide」のプレミエ。現代最高のロッシーニ・マエストロ、かつロッシーニの2,3位を争う傑作。

ペサロに着いたのが6時で走れば間に合ったのだが15分の最終バスを逃し、タクシーでAdriatic Arena着。あれ名前がVitrifrigo Arenaに変わってる・・・去年のチケット料金がFlorez爆あげから据え置きなので、B席の両端にかなり空席がかなりあった。

音楽はかなり静かめに若干もやっと始まった。あれれ。下手に半裸で髪を無精に伸ばした男たちがぞろぞろ。これオローエの宗教軍団。

序曲は途中から力強くなり、細かい音までキラキラしだした。ロッシーニは基本がちゃがちゃした音をしているのだが、それを繊細にキラキラにしてしまうのがこのマエストロ!なんでOlgaちゃんと離婚しちゃったのー。

幕があがあると壁の人の両目が大写し、暗殺されたバビロン王か。下手のバルコニーに白いキラキラドレスの姫が現れて手をふる。男女の合唱団が足音を立てながらぞろぞろ出てくる。みな黒いタキシード&ドレスをきているが、男は顔をペンキで数色に塗り分けている。。。旗?

ピンクのマントっぽい服きたのがインドの王子イドレーノ、力のぬけた高音が美しい。Siragusaはこういうヌケキャラだとうまいわー。感情激しい役だけいまいちだけど。Lawrence Brownleeより断然うまい。

アッシリアの王子アッスールはただの黒タキだが顔塗り。これもいい声している。なので、男三人の重唱がのっけから熱かったー。次の王は誰だ!

女黒子がピンクのカーペットが敷き、女王セミラーミデが登場。銀髪パンクヘアだが、黒のパンツスーツで、小柄だし地味。。。声量小さく、とても女王とは思えない出だし。おいおい・・・上手に水色のベットがあり、いつのまにか子供が寝ていて、そのそばで歌う。行方不明の王子ニーニャ。子供はベットを飛び出していなくなる。

Salome Jicia、16&17年の主役。ポストJoyceかKasarovaとして育てようとしている気合いは感じるが、肩でアジリタしているし、無理なんじゃないか?

顔の壁の下手半分が回転すると裏側にチョークで、血のついたナイフを刺す女の子が描かれている。左右の壁の間から同じパンツルックだが革ジャンに黒ブラみせてピンヒールのおねーさんが登場!水色の箱をひきずってくる。こっちの方が主役感ある〜。スキタイ人の士官アルサーチェ、女王が片思いする役だから、レズ演出か・・・水色の箱をひきずってくる。

歌は最初から非常に素晴らしい。深い声に完璧なアジリタ、体も微動だにしない。Varduhi Abrahamyan、マルコムがものすごくよかった。

チョークでハートと矢を描きつつ、姫を思って歌う。オローエが来て、水色の箱を開けると手紙と王冠と刀が入っている。入れ替わりにアッスールが家来たちときて、ハートに冠とか顔とか髭とか描いて、姫は俺のものだぜと。アルサーチェは水色の布で拭き消した。

また壁が回転して元に戻る。前の方にせり出している。白ドレスの姫に、ピンクのインド王子がハイCで歌いまくる。Siragusaの歌がうますぎて、姫はインド王子を受け入れたもよう。

上から目玉をくりぬいた壁枠が降りてきて、背後に巨大な青のクマが半分顔を出す!!その枠の中で、幼子を抱いた白髪ボブの女性合唱団が並んで、空中庭園のシーン・・・・・・あの美しい合唱からのアリアだが全く集中できない。黒子が椅子を二脚並べると、アルサーチェきて座って重唱。Jiciaもまあまあちゃんと歌ってたような。高音はJoyceよりは出る。

目の枠とクマはなくなり、元の壁になるが、左右に開いて、中央に顔全体を描いた別の壁が現れる。目の部分はくりぬかれていて、後ろに台があり、セミラミーデがそこにあがる。群衆が歌って、照明で雷?とか演出、全身水色スーツのおっさんが出てきて歌った。王の亡霊を普通に出しちゃうんだ。。。

休憩。客席にFlorezいた!本人、めっちゃ気配を消していたのだが、トイレから出てきた所、私の目の前を通り過ぎたので気づいてしまった。その後は客席でずっと隣のおっさんと話してて、話しかけるなオーラを出しいた。

2幕は上手寄り白いソファーがどん。Alden演出のパクリと一瞬思ったが、あの時ソファーは空中庭園のシーンで使われていた。今日はセミラーミデがアッスールとソファーとその前の床でいちゃいちゃ。

傍らにドリンクの並んだカートがあり、最初にセミラーミデが一杯飲んで、アッスールがボトルを一本叩き割って、それを彼女の喉元にあてて脅したり、自分の手首を切ったりして、最後は上手のベットに二人で座って歌う。

上手の壁が回転すると、血を拭いた女の絵がチョークで描かれている。上手にはずっと水色のベットと水色のクマのぬいぐるみが置いてあるのだが、アルサーチェはそこに寝ていた。オローエに父暗殺の復讐をすすめられてのアリア、これもいい。

合唱団が丸い白い灯りをもってきて並び、ピンクのインド人が白いドレスにまた迫る。女黒子が天蓋みたいなの持ってきて。ここのアリアもおそらくフルで完璧。姫役のMartiniana Antonieは去年もチョイ役だがよかった。

舞台セットは目の壁以外ほとんどなく、ただの歌合戦と化していた。セミラーミデとアルサーチェの親子関係が発覚する重要なシーンなのだが。(二回目に違う角度でみたら、下手の端に巨大な水色のクマが旨に血をつけて覗いていた。)

霊廟、セット変わらないから全く臨場感がわかないのだが。二人とアッスールが三つ巴、三人とも上着を脱いでいる。アルサーチェがアッスールに小さいナイフを突き刺そうとしたが、間にいたのはセミラーミデで、刺されてばったり倒れる。

最後はアルサーチェが下手の椅子にふんぞり返り、オローエたちが足に口づけをしている・・・復讐を遂げ権力も手にした腹黒解釈か!(初日はふんぞり返っているように見えたのだが、二回目はずっと肩で激しく息をしていた。)

演出がつまらない上に解釈もひどい。空中庭園にクマとかふざけんな。Sir Graham Vickはもう引退した方がいい。カーテンコールでもすごいブーだった。Jiciaもなんだかんだいってちゃんと歌えてて、歌手はみんなよかったのに、残念。

あと大道具係りとしてアフロヘアの女黒子が4人、ところどころで出てくるのだが、その衣装・動きがDavide Livermoreのパクリだった。何故。

 * * *

二日目。初日の不評をきいて奮起したのか、歌手たちはみなさらによかった。

Salome Jiciaの声量を補うために、上手前方に席を確保。A席の後方もかなり空席があったので。そのせいでオケはシンバル強くていまいちバランス悪かったが。この会場はA席よりギャラリーの方が音がはるかにいい。

Siragusaは飛ばしても声がもつこと確認したのか、前回よりはるかに力が入っていて、気持ちも伝わった。いつも高音にあげる前に一段、階段を踏むのが難点といえば難点だが。

Varduhi Abrahamyanは最初から飛ばしてて、若干ためすぎでオケから遅れ気味のところもあったが、すぐに修正して、もう今日のタイトルは「アルサーチェ」に決定。

マエストロMichele Mariotti・・・うーむ。彼は若くして有名になりすぎたのか?前半最後の亡霊のシーンと、後半最後の三つ巴戦のシーンが、ためすぎで眠かった!!!長いし演出つまんないから巻きで、と誰か言ってやれよ〜。ためすぎの兆候は序曲にも既にあった。

ミュンヘンで最初に見た時はこの最後のシーンはずっと泣いてて、終わってほしくないと思ったくらいなのだが。Joyceの歌がよかったからかな?前回も今日も早く終わってくれと思ってしまった。。。

演出なのか、歌手が歌うだけで精一杯なのか、セミラーミデの感情が全く出てこないのが、この演出の最大の敗因。クマは二回目は慣れて、意外とかわいいなとか思ったりした。開演前から上手のベットに小さいのが鎮座してて、二回目は子供が起き上がった時に落ちちゃったから、誰か拾ってくれないかしらとずっと気になっていた。昨日たまたまピザ屋でしらん外人と話して、あのクマはTedなのだと、彼女を罪を見つめ毒づく存在なのだという解釈をきいたせいもあり。

そう、彼女には罪の自覚がある。愛人と組んで夫を暗殺した。息子も殺したかもしれない。それでも美しき若い勇者が帰ってくれば、自分は救われる・・・と歌うのが空中庭園。そこに神の神託があって舞い上がり、二人でも重唱した。ソプラノパートではロッシーニ最高傑作。なのにその勇者は実の子で、ならば自分はその子に殺されようと思った。Joyceにはその葛藤と覚悟が最初っからあったんだよー!だから涙が止まらなかったのだ。

まあ、Mariottiにも何か足りない自覚はあったんだろうなあ。それで自分の方でやたら丁寧にしちゃったのかも。

STAFF & CAST


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