2018.8.14, 17: Rossini "Ricciardo e Zoraide"

これぞROFクオリティ。他劇場ではありえない、三人のテノールがどれもよく、Florezがさらにその上をいく。雑なPretty Yendeも珍しく丁寧に歌っていて、歌手は全員素晴らしかった。有名アリアもないこの演目でこんな盛り上がるとは思わず、2回しかとらなかったー。

バレエを使った横道な舞台演出もいい。背景の幕にはアラブっぽい文字をあしらったマークが描かれている。たいして面白くもない前奏曲が終わると幕があがり、巨大な絵で描かれた赤いテントが現れる。遠近法を使って本物に見えるー。

王が出てきて経緯を説明。アジアの王IrcanoがNubiaの国境に小さな国を築いた。この地区の王Agoranteが彼の娘Zoraideを求めるが断られ、戦争を起こしてIrcanoを追い出した。その戦いでZoraideは十字軍の騎士Ricciardoと出会って駆け落ちをする。娘に裏切られたIrcanoは黒い甲冑に身を包み、嘆きの騎士として彷徨っていた。一方、AgoranteはZoraideを見つけ出し捕らえていて、彼の妻Zomiraが嫉妬に燃えている。

首都Duncala、テントの背後で管楽器が鳴り響き、5人ずつ男女のバレエダンサーが舞った後、テントの前でAgorantが勝利を宣言し、Ricciardoも十字軍も恐れないと。

人々が去って、テントの幕があがるとロマネスクなアーチの宮殿が現れる。二階はバルコニーで、両側に階段がある。奥から金のドレスのZoraideが召使いで友人のFatimaと出てきて、上手の端の台で歌う。Pretty Yendeは出だしが不安定で、淡い紫ドレスの召使いの方が可愛いしいい声している。

下手の階段から真っ黒なドレスのZomiraが出てきて、親しいふりをして彼女の本心を聞き出そうとする。小太りで顔もこわく見るからに悪役。

彼女らが去ると、水平の格好をしたダンサー♂が水色の大きな旗をひるめかして舞うと、アーチのカーテンが落ちて、海が見える。ダンサー♀はバルコニーを歩いて来てパラソルを広げる。一気に水辺の雰囲気。ダンサー♂は水色の長い布を二人ずつでもってはためかせ、波のイメージ。

十分盛り上がったところで下手から船!赤と青、きらびやかな衣装の男が二人のっていて、一人は望遠鏡を覗いている。そこにFlorezが!!と思う間もなく船は上手に消えてしまう。が、また戻ってきて、今度は青が手前にいてFlorezがばっちり見える。思わず「いよっ」と言いたくなる、さすがツボを押さえた登場。

船から降りた二人、赤はキリスト教国家の大使Ernestoで、Zoraideを救出するため身を捧げる決意のRicciardoを押さえる。青は上手に消えた後、服をポンポン脱いで投げ、頭に黒い布をかぶったアフリカのガイドに化ける。

ここで幕が下りたので席を立とうとする観客もいたが、すぐにZomiraが出てきて、ピンクのドレスの召使いElmiraにZoraideを探れと命じる。この召使いもいい声している。

幕があがると赤いテント、中央に絨毯がかかっていて、王座のイメージ。Agoranteがきて、大使と面会する。大使は巻紙を開いて、Zoraideとフランク王国の兵士の解放を要求するが、Agoranteは受けないと言った後、兵士は解放するがZoraideはだめー。横で地団駄を踏むRicciardoを大使が止めて、これは戦争になるぞと。

Zoraideが連れてこられてきて、Agoranteは彼女への愛をみなに宣言する。Zoraideは父と離ればなれにさせられたから嫌とごまかす。

去年に続きオケピの縁舞台があり(宝塚では銀橋というらしい)、みなそこに並んで重唱あつい。Agoranteが戦線布告して後半に続く!

休憩。一回目はあらすじ読まずに臨んだがだいたいわかった。イタリア語字幕しかなく、モバイル端末で各国語を閲覧できるシステムが導入されていた。二回目はイタリア語の字幕すらなし。

2幕、Agoranteの元へ青っぽい衣装のテノールがきて報告。4人目のテノールZamorreもいい。大使が連れてきたアフリカのガイド(実はRicciardo)は城に残ったと。Ricciardoがきて、AgoranteにRicciardoの悪口を言う。妻と別れていて、Agoranteに嫌がらせをするために彼の愛人を求めているんだよー。

Agoranteが去った後、Zoraideがきて、アフリカのガイドを最初は拒絶していたが、Ricciardoが頭の黒い布を取る(変装それだけ?)とわかって、再会を喜ぶ。二人の合唱は美しく、拍手が鳴り止まないので、ぶちゅーっとキスしたまま。二回目はさらに長くなって、Pretty Yendeが苦笑して逃げてしまった。ダメじゃん。

が、Elmiraがそれを見ていて、Zomiraに報告する。

Agoranteはアフリカのガイドにすっかり気をゆるして、Zoraide解放したら寛大って思われるかな?でもやっぱりIrcanoは敵だし、彼女の運命は十字軍の騎士とアフリカの英雄とのデュエルで決めることにしよう!

上手の客席から黒い甲冑の男が舞台にあがり、Zoraideの側に立つと。Agoranteは自分の側にアフリカのガイドことRicciardoを選ぶ。デュエルが始まる前にバレエダンサーが舞っていると、Zomiraがきて、真相をぶちまける!みんな捕まってしまったー。

幕が下りて、Zomiraが家来達に何か命令をしている。

幕が上がると囚われの部屋。飾り気のない木の部屋で、ベットが描かれ、天井に並んだ小さな丸窓から光が差し込んでいる。この絵も素晴らしい。ここの女合唱が美しいが、幕の裏なのでいまいちよく聞こえない。

Zoraideがデュエルの結果を待っている。Zomiraが来て、勝者はアフリカのガイドだ、二人で逃げなさいと下手のドアを開ける。が、Agoranteと家来達が入ってくる。Agoranteは黒い甲冑がIrcanoであることを気づいていた。

再びアーチの宮殿。バレエダンサーが舞った後、合唱団の民衆がずらりと並んでいる。RicciardoとZoraide、続いてIrcanoが捕らわれてくる。ZoraideはAgoranteに父の命乞いをすると、父は助けてやるがRicciardoはだめー。Zoraideはそれを受け入れる。

が、音楽が変わって、白地に赤十字と水色の旗がはためき、ダンサー6人が踊りながら戦う。二人は白地に赤十字の衣装で、三つどもえの戦いなのか?赤のテノールが久々にやってきて、声量のある声で歌うとストップモーション。十字軍の援軍が来たらしい。

次のシーンで舞台の中央にいたのはあまり活躍していないRicciardoで、Agorante夫婦を殺さないと、Zoraideも父に許され、またみんなでオケピの縁舞台で重唱して幕!

・・・このクオリティの舞台を音響の悪いAdriatic Arenaでやるのがもったいない!高騰を続けるチケット料金はB席で100EUR超えとなり、一回目は中央だがかなり後ろの方。二回目は前の方だが右橋で、反響板の外なので静かなシーンではエアコンがうるさい。。。

去年に続き、今年もオケ二つ体制。ArenaのRAIは音はすっきりしてて、指揮もまずまず。

こんなにクオリティ高いのに泣けなかったのはそのせいか、Pretty Yendeの棒演技のせいか。Pretty Yendeは一回目の方が力がいい感じに抜けていて、そうするとアジリタがばっちりでよかった。二回目は若干、張り気味だったかな。ROFで有名な自称・専門家は回を追う毎によくなったと言ってたらしい。わかってないなあ。

STAFF & CAST


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