2018.10.13: Prokofiev "War and Peace" @Oxford

今期初オペラ。有名なのに滅多に上演されないプロコフィエフの「戦争と平和」。チェックし忘れてたがWNOの旅公演でOxfordに来てた。ほぼソールドアウトだったがぎりぎり入手。

しかも演出はDavid Pountney。2016年の「In Parenthesis」、2017年の「From the House of the Dead」に続く戦争三部作であった。どれも円弧状の舞台でポテンシャルの底のイメージ。

開演前から舞台中央で白髪の爺が机に向かって書いている。トルストイか?

今回の円弧は木っぽい壁で、背後の幕に映る映像で各場面が演出される。映像作家はDavid Haneke、その名から思った通り、私の一番好きな映画監督Michael Hanekeの息子であった。

OxfordのNew Theatreは音が非常に悪いので冒頭の序曲と合唱はアレレであったが。音響が調整したのか、すぐよくなった。狭い舞台に合唱団がぎっしり並び、少しずつ体を動かして踊りながら歌う。

木の家の壁が降りてくる。中央に窓が二つ。上手で恋人と思って歌うロングブーツの男がAndrei。歌はまあまあ。カーテンが開いて、白いドレスのNatashaが窓枠に腰掛けて歌う。黒人でいい声している。高音がちょっと出ないのが惜しい。

場面かわって舞踏会。ダンサーもまじって踊る。背景にはシャンデリアがきらびやかに映し出される。円弧の壁の向こうにAndreiと眼鏡のPierreが来てなんか言う。

地味なRostov家にAndreiが挨拶をする。Natashaの従姉妹Sonyaは赤のベルトをしていて、その子の方がかわいい。Pierreの嫁である赤いドレスのHeleneらも来て踊る。

背景に古いが立派な部屋が映し出される。Natashaと父がBolkonsky家にAndreiとの結婚の挨拶に行く。家長は認めないと会ってもくれない。姉のMarieが申し訳なさそうに相手をする。父は途中でどこかにでかけてしまい、その間に家長が出てきてNatashaに悪態をつく。Natashaは戻ってきた父と退散する。Andreiは僻地に飛ばされてしまった。

赤い人のまじったサイコな背景。アンティークのソファーが運ばれてくる。熊の着ぐるみきた!と思ったら、熊の頭つき絨毯を運んできただけだった。Heleneの遊びに連れ出されたNatashaか、赤い王子衣装のAnatoleにそそのかされて駆け落ちの約束をする。

Sonyaが告げ口したのか、未遂に終わって、Natashaは父と姉に怒られている。Pierreがきて、Anatoleには妻がいると言っても信じられずに泣く。

PierreがNatashaのこと好きだけど自分は結婚してるから会わないようにしてたと独り言。Anatoleの胸ぐらを掴んで罵り外国へ行けと言うも逆ギレされる。しぶしぶ上手の机に向かってAndreiに事に子細を伝える手紙を書く。そこへナポレオン軍がVilniusを超えたと知らせが入る。

休憩。1幕の後半はちょっと退屈した。BBCドラマではBorisがイケメンなので熱かったのだが、Anatoleはキャラが薄い。

背景に戦場が映し出され、人々が集まる。Andreiは将校でPierreと遭遇した、はず。音楽と合唱がいきなりすごい。

Kutuzov将軍のもと、緑のロシア軍が歌う。頭に花つけてる二人は使えなさそうで、帽子に赤丸つけたコサック隊が4人。爆圧音の後、背景にも白い煙が広がり、戦争が始まった。

紺の軍隊の要塞で、でかい黒帽子のナポレオンが戦況をみる。

窓のある家が降りてきて、その前でKutuzovらが作戦会議。軍を失えばロシアを失うと訴え、モスクワ放棄が決定される。

背後に木組みの民家が移り、火がつけられる。フランス兵がきて、シャンデリアとか燭台とか絵画を奪って行く。

Pierreがナポレオンを殺す!とか言ったあと、下っ端の将校に捕まり、捕虜になって引き立てられていく。次の場面で、Pierreが捕虜仲間に芋をもらい、何かを悟る。

窓の家が降りてきて、カーテンが開くとベットに傷ついたAndreiが横になっている、というか俯瞰なのでベットに縛り付けられて立っている。ナース姿のNatashaに愛しているといってご臨終。イタリアオペラみたいに張り上げたりはしなかった。

背景に雪の積もった森。やってきたフランス軍の軍服にも白い粉がついている。円弧の壁の向こうでロシア兵たちが銃を構えている。

背景に雪の中を歩く人々。Pierreたちがまた引き立てられてきて、芋くれた仲間が倒れ、助けようとするが何もできない。その仲間に銃でとどめを刺そうとしていたフランスの将校が、ロシアの民兵に斧で襲われる。鍬もった民衆が集まってくる。

Pierreが妻Heleneが死んだこと、Andreiを看取ったNatashaがモスクワにいることをきく。

背景は真っ赤になり、ベージュ色の兵士が銃もって踊る。旗が次々と現れはためく。ロシアの人々が集まり合唱。かっちょえー。Mikhail Kutuzov将軍を讃えまくる。

人混みに紛れて、NatashaがPierreの手をとって机につかせ、何かを書き始める。冒頭に戻る!

カーテンコールのち、またなんか合唱があった。

Prokofievのオペラは「The Gambler」「L'amore des trois oranges」に続いて三本目。この作品の音楽はところどころ素晴らしいのだが、退屈なところもあったので、それが滅多に上演されない理由かな。物語は大変素晴らしいのだが。

でももう一度みたい。来年、ロンドンでも再演するぽいので楽しみ。演奏ももうちょっとよくなるといいな。今日の指揮はTomas Hanus、2016年から音楽監督(Carlo Rizziは名誉指揮者)でまあまあ。

STAFF & CAST


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