Christopher Marlowによる中世の戯曲に基づく「エドワード2世」、歴史の教科書ではイギリスを統一した偉大な父の後を継いで、ロバート・ブルースに負けてスコットランドを手放したバカな二世。が、ゲイだった。。。
舞台には中央やや下手よりに古い壁だけの教会。上手からマントを羽織って王が登場。バリトンMichael Nagy、髭だが雰囲気ある。後で服をぬいだら腹がポテっとしてたのが惜しい。Loy版FalstaffのFord、て記憶なし。
上手に諸侯たちがぞろぞろ現れ、花嫁を与えられる。ピンクのドレスの花嫁は男だった。最初は戸惑う王だったが、花嫁が襲われてち血にまみれると抱いて嘆く。ここで愛に目覚めたのか?この花嫁が誰かわからず混乱したが寵臣Piers de Gaveston(テノール)であった。
その直後に出てきた銀ラメロングドレスの男はAngelという役名で、役割は不明だが、以後も黒子的に要所要所で活躍する。水色の孔雀羽根を後ろ手にひらひらさせて教会の中に消えていったり。
王はそのあとはノリノリで、王妃イザベラがさみしさを訴えにきても、オレのベットをじゃまするなと。王妃はDaphne, Sandmannで好演のAgneta Eichenholz、悲しみと怒りのまざった高音をやらせたらピカイチ。
対照的にカラフルな民衆がきて、ホモ反対、パパ・ママ・子供の家族万歳の看板を掲げる。そういう時代だったのね・・・ジューとホモとどっちが悪いか、ジューでホモが一番悪い、そんな歌詞あり?(前の方の客が一人帰っていったのはそのせいか?)
司教Walter Langton(テノール)がきて、これまたホモ反対と。でも衣装をはぎとられると下はネグリジェで、他の男達に襲われていた。。。
そのあとは人間関係が複雑で英語字幕みてたけどわからん。王の恋人が権力をもち、他の諸侯の反発をかうと。カップルがうじゃうじゃいて区別がつかない。
スコットランド?で戦争が起こるが王は何もしない。王は反対する者を処刑しまくり、上半身裸の男達が下手に積まれる。
息子エドワードもパパと歌う。王妃が連れ帰り、離婚するならパパとママとどっちがいい?無視され続けた王妃はフランスに愛人Roger Mortimerを作り、愛人はママ・伯父・義理の息子で家族万歳と。史実では愛人はここで登場するのだが、愛人役は敵役として最初から出てたもよう。ここも混乱。
史実では王は議会に追放されたのち、しばらく幽閉されてて、奪還計画もあったが、王妃に暗殺されたと。
王妃の送った一人の兵士により、倒れて長い槍を突き刺されそうになったところで時間が飛ぶ。教会に観光にきた人々にガイドが「18歳で王位をついだ王は寵臣を重用しすぎてために反感をかい」と淡々と説明するのが哀しい。色とりどりだが白っぽい衣装の観光客と、二人のガイドの臙脂のスーツのコントラストがお見事。
ぜんぜんついていけてなかったのに、このシーンだけで哀しくなってしまた。カーテンコールは最初は拍手もまばらで微妙だったけど。もう一度みたい。
この作曲家はSandmannと同じスイス人。脚本はThomas Jonigk、ってLoyさんの結婚相手だそうな。インタビュー読んでたらあっさり書いてあった。最近の新作オペラの脚本のほか、演出助手にも名前が多々ある。家では仕事の話はしないんだと、お互いプロフェッショナルで。
つかこの脚本、いまいちだぞ。イベントが連続するだけで起承転結がない。中盤だらけたのはそのせい。歌も演技もみなよかったのに。
で、最初から最後まで教会のあたりにずっと佇んでいる長髪ロン毛の黒子くん、クレジットを確認するとSpencer jr.、歌わない俳優Gieorgij PuchalskiはCapuletiの影武者くんではないかー!ちょっと大人ぽくなってキラキラ感は減ったけど、まだ素敵。エドワード2世の二番目の寵臣がずっと見つめていたと。