2013.11.17: Verdi "Falstaff" @Berlin

11月21日だとCuraの"Otello"、Keenlysideの"Macbeth"と合わせてみられると狙ってたのに、今学期は木金が授業でどうしても日程が合わず、ハンブルグのOlgaちゃんと合わせてこれだけ。

一番好きな演出家Christof Loy、最近の作品はウィーンスイスと遠征したけどびみょーだった。「サウル」を超えるのが見たいのだが。

ヴェルディの最後の作品にして喜劇「ファルスタッフ」はとくに好きな作品ではないが、人がごちゃごちゃ出てくるのがChristof Loy向きで、どう仕上げるのか見たくてベルリンまでやってきた。

ベルリンには東西のオペラ座が二つ(と小さいのがもうひとつ)あり、前回いったのは旧東ドイツの。西ドイツのはパンフレットが豪華。

で、幕があがるといきなり白黒映像。どこかのサロンに紳士夫人が集まり、ヴェルディぽい長髪ヒゲの太ったおやじがピアノに合わせて歌い出す。

幕があがると同じ舞台、下手にピアノ、上手にベッド。背後の本棚とかえらい細かい。でも実は舞台の下半分深紅のカーテンで上半分はただの白い壁、あまりお金かかってない。下手後方にずっと黄色い電話ボックスがあるのだが、その意味がいまいちわからん。

ヴェルディ役のファルスタッフが歌う。が、、、全く歌えてない。予定されてた歌手でなく、スカラーシップで勉強中の若手。声量がなくてほとんど聞こえない。従者より負けてる。

脇役たちがおもむろに家具を置き換えてフォード邸に変わる。おばちゃん三人はまあまあだった。やたら巨乳。ゴルフ場ぽい背景のパネルが動いて、杖をついた爺と、取り巻きの男たちが歌う。ロン毛に黒ブチ眼鏡のちょっと怪しい男フェントンもまざってる。ナンネッタは若く清楚なワンピースで歌もいい。

2幕、再びファルスタッフの家。巨乳のクイックリィ夫人がやってくる。変装したしたフォードもやってくる。このへんはファルスタッフの歌が下手すぎて全然面白くない。

フォード邸のベットルーム。ファルスタッフがやってきてアリーチェを押し倒すとメグがやってくる。衝立の影でナンネッタとフェントンがめっちゃ逢い引き中。。。そこへフォードを先頭に男達がやってきて見つかり、ファルスタッフは洗濯かごに隠れるも、かごごと川に捨てられた。

休憩のち3幕。白い壁に大きな窓があいていて、中で晩餐会が行われている。外のどぶ川にはファルスタッフやベッドが捨てられている。ドアからのぞく夫人たちは膝丈のドレス姿、ナンネッタやクイックリィ夫人は靴ぬいで外に出てきて、ファルスタッフを慰める。ここはセットもシーンも秀逸だった。

黒い幕がおりてきて、黒子たちが広げると夜になる。夫人たちは裾の広がったドレス姿。羽根つけたバレリーナたちが出てきて踊る。ナンネッタも歌いながらちゃんとトウついて踊ってた!男たちはタキシード、と思ったら、バレリーナにも男がいる。。。

ファルスタッフは囲まれて上着ぬがされて、従者の仮面がとれてばれて、フォードがナンネッタとフェントンの結婚を了承させられ、大団円。ここはあっという間でなんか感動してしまった。主役が全く歌えてないのによく感動できたなあ。

劇中、ファルスタッフはタキシードだったり、太ったお腹をつけて中世の格好をしたり、普通にガウンだったり、シェイクスピアの時代とヴェルディの時代と現代をいったりきたりの演出なのだろうが、いまいち意図がわからなかった。

現代への置き換えなんて他の演出でもやってるしなあ。Christof Loyならもっと斬新な置き換えをやってくれると思っていたのだが。洗濯物シーンが秀逸だったミュンヘン演出の方がよかった。

STAFF & CAST


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