幕があがると白い蛍光灯の枠、左右はいっぱいに天井は低くとった、いつもの抑圧された長方形(「西部の娘」「Jenufa」)。その中は真っ暗だったが、ほんの少しずつ上手でうなだれる男が浮かび上がる。そのあと、下手にテーブルと椅子、中央には山積みの本。この三分でまた泣きそう。
黒いベンチでうなだれる男はナタナエル、「砂男」の私小説を書いている。白いワンピースの金髪女クララがやってきて、男の隣に座り、励ます。男が抱きついてくると、女は逃げる。
男は服をぬぐ。まだ全裸かと思いきや、白の下着までだった。
女の兄ロタールがきて、口論になり、機関銃を互いにぶっ放す。
白塗りの男が二人、頻繁に出てくる。傘もったロン毛は砂のようなものをまいたのでコッペリウス、杖ついて鞄もったハゲは死んだ父か。
黒いスーツの男女の合唱団がわらわら入ってきて、本を取る。ドイツ語字幕わからず脱落。父の死が語られていたのか?彼の家が火事で焼け落ちたのはあった?
合唱団が去った後、ナタナエルはばらまかれた本を拾い集め、下手の椅子に抱えて座り込む。
赤いワンピースで黒髪のクララが高音で歌いまくってから一気に引き込まれる。
彼女は自動人形で「イエス」としか言わない。テーブルに向かい合って赤ワインが注がれるが、クララがナタナエルにぶっかける。ナタナエルが怒って彼女を床に倒すと、白塗り男がきて、彼女の体からコードを引き抜き。ナタナエルも壁に押しつぶされコードを引き抜かれる。えー。
金髪のクララが出てくるが、女性合唱団も赤のワンピースでぞろぞろ出てきて、クララは金髪カツラをはずし、合唱団にまぎれる。ナタナエルが暴れ、ロタールが来て、ナタナエルが倒れる。
下手寄りにナタナエルが横たわり、クララは喪服で白いユリの花束を持っている。あれ、ナタナエル死んじゃった。白塗りがなんか言って、白い蛍光灯の枠が明るくなり、暗転。
・・・終わってからしばらく息ができなかった。なんだか全然わからないがものすごい衝撃。英語字幕でみたかった!
ベルクみたいな現代音楽だが、高音連発がよかった。「ダフネ」好演のソプラノAgneta Eichenholzがまたいい!
2009年、Loy演出のルルでロンドンデビュー。Kurzakの代役(ってそんなこともやらかしてるのか)。以来、Loy演出の常連。元々ミュージカルやってて、29歳でオペラに転向、演技派なのも納得。(参考)
バーゼル初演、彼女は続投、Nathanael (R. McKinny)、Lothar (M. Spehar)。