いくら群像劇のうまいLoyとはいえ、「ドン・ジョバンニ」なんて何度もみたからつまらないかと思っていたが、面白かった!
なんと主役はDon Ottavio!!!そうきたか〜。しかも超イケメン・テノールMartin Mitterrutzner。いやー、Loyさんイケメン好きだとは思ってたけど(「Roberto Devereux」にも謎な美青年が出てくるし)。こんなのどこで見つけてきたの〜。私の双眼鏡はずっと追尾モードになってましたわ。
フランクフルトは劇場がよくない。壁が無駄にふくらんでいるから、サイドの席だと最前列で乗り出しても舞台が半分隠れてしまう。立ってもダメ。いい席でもう一度みたい。
Loy演出は舞台を壁で囲って閉塞感を出すのが多いのだが(「Jenufa」「Alceste」)、今回は全幕通じてずっと開いてた。去年の「Falstaff」以来はまってるのか、舞台脇で役者が待機してたり着替えたりするシェイクスピア演劇仕様。舞台セットもほとんどない。たぶん安上がり〜。ロンドンのKasper Holten演出と真逆。ミュンヘン、ロンドン、WNOとみたけど、どれも作り込んであって、素舞台なんて斬新だ。
幕があがるとオペラ座の深紅のカーテンが落ちてて、Don Giovanniが倒れている。Donna Annaが抱きあげると物語が始まる。
Leporelloも似たような格好の小太りの中年男だからどっちがどっちかわからんかった。Don Giovanniはイケメンじゃないあの・・・?と思ったら、真っ赤な王子服のおにーさんが剣を振りかざしてます。これがDon Ottavioだと気づくのにしばらくかかった。
逆にDonna Elviraは黒の男装。後半、恋をするとドレスに着替えるのだが。
歌手のレベルは総じて低く、Zerlinaがまあまあ良い声してた。
素舞台もいいけど、いつも突然開いたりするセットの仕掛けもみたいなあと思っていたところで、ドンナ・アンナ邸は茶色の壁に覆われている。上部の窓からDonna Annaが顔を出したり。そして中央の壁が一部すーっと開くと、その奥が墓地で、木の根元と銅像の下部がみえていて、絶妙にスモークがたかれている。この瞬間のためだけに入念にスモークたかせるんだろうなあ。
最後はまた舞台奥中央に高めに窓があるだけのドン・ジョバンニ邸。あとは死ぬだけかあと思っていたら、いきなり剣もった男達が数人でてきて、カンカンカンと決闘を始めて、ズブッと刺されて倒れ込んだ。足下には深紅のカーテンがあり、最初のシーンに戻る。
「Falstaff」は期待外れだったけど、これは斬新でよかった!