2018.11.2: Wagner "Goetterdaammerung"

四夜は最初が長いので最初にコーヒーを注入。

三夜と同じ黒板の幕。下手前にErdaの骸骨がソファーに座っている。ノルンもみな黒っぽいボロ衣装に身をつつみ、光る赤い紐をたぐりつつ歌う。歌がいまいち。ラインの三人娘はうまかったのに・・・紐がきれて消えていった。

幕があがるとまた白い壁、Bruennhildeが下手、Siegfriedが上手に座って対峙して歌い、Siegfriedは馬の頭の骸骨をもらい、ニーベルングの指環を渡して旅立つ。Bruennhildeは普通の女になっているのだが、まだまだ歌が力強い。

壁が横倒しになって動き、その上でバランスを取りながら歩くSiegfried。大海原を旅するイメージ。ミュンヘンではこの音楽で泣いたんだよなあ。

休憩なしで1幕。

暗い舞台に回転するキュービックの映像が映された後、幕があがると白い縁のガラス張りの部屋。中央に白い細長いソファー。中央にHagenがふてぶてしく座って歌う。二夜のHundingと同じ歌手のことが多いが、今回は別。バイロイトと同じStephen Milling。

下手の赤スーツの男Guntherは初見の歌手。上手の白ドレスの金髪女Gutruneが貫禄あって歌うまいと思ったら、Emily Magee、二夜のSieglindeと同じなのは珍しい。このロールの方が高音が多いので合っている。HagenがGuntherにBruennhildeと結婚しろ、そのためにGutruneにSiegfriedを誘惑しろと。男二人はネクタイの元にキュービック野飾りをつけている。ソファーの後ろに黒地に白のサイコロがたくさん積んである。

三人が地図などいているとSiegfriedがやってくる。まだえらい脳天気なにーちゃんだな。馬の骸骨をGutruneに渡す。Hagenに薬をもられ、剣で手から血をとりGuntherと兄弟の杯をとる。Hagenがソファーに横たわりながら顔にかぶせてウハウハしてたのはその兄弟の誓いで使った血のついたハンカチであった。

ソファーとサイコロが片付けられ、奈落から椅子に座ったBruennhildeと、続いて妹Waltrauteが出てくる。妹が神々の凋落がひどいので、ニーベルングの指環をラインの乙女たちに返してくれと懇願するも、Siegfriedとの愛の証だからイヤー。この妹の歌はいまいち。妹はまた奈落から帰る。

ガラスの向こうに移った後、中央のドアからGuntherがやってくる。上手前方の椅子にキュービックの魔法のかぶり物をかぶったSiegfriedが客に背を向けて座る。GuntherはBruennhildeを押し倒し、指輪を奪う。

休憩のち2幕。またBlackcurrant Cheesecakeを食べてたら、エンジニアのおじさんとその息子に話しかけられて、うちの大学のexternal examinerだったとか、世界狭い。Renzo Pianoと関空作ったとか。

中空にぼろ船が浮いていて腕が赤黒くなったAlberichが息子Hagenに復讐しろと歌う。Hagenは茶色のアタッシュケースから思い出の品々を取り出す。母が犯された時の青のかつらとか、金色の人形とか。

再びHagenの家、金色の神々の像が運び込まれる。下手からDonner, Froh, Fricka, Freiaと書いてある。Siegfriedが一足先に帰宅する。

白い壁が横倒しになった舞台(前回は角が前とあるが、辺が前)。角に椅子が置かれている。その横に家来たちと、前に女中たちがわらわら並ぶ。両袖からSiegfriedとGutruneがそれぞれ出てきて、人の列をくぐって合流し、けこーん。連れてこられたBruennhildeは抵抗するが、Siegfriedのはめている指輪をみて裏切りに気づく。

みなが退場し、BruennhildeとHagenとGuntherだけが残る。そそのかされて、Siegfriedの欠点が背中であることを教えてしまう。裏切られた女の怒りが炸裂。本日のベストはここだった。

休憩のち3幕。

砂の舞台、奥に桟橋があり、上手に壊れた木の船がある。ラインの乙女たちが歌う。うまい。Siegfriedがやってきたので、指輪を返すよう説得するが、大蛇を倒して取ったんだからイヤー。最後の最後だからStefan Vinkeもとばしてて非常によい。ラインの乙女たちは一人ずつ水しぶきをあげて背後の川に帰る。

桟橋からHagenとGuntherと家来たちがきて、Siegfriedに飲み物を渡すが捨てられる。鳥の声がきけるんだってと話をむけ、振り返ったところでHagenがSiegfriedの背中をぐさっと刺す。Hagenはその場で指輪を奪おうとするが、Guntherと家来たちに睨みつけられて退散。みなも退散。

下手寄りに倒れたSiegfriedは上手の船に向かって歌いながら這うが、力つきて中央で倒れる。それを乗せたまま砂の舞台は後方に後退。

中央は暗く低い舞台で、四角い穴が四つある。

白いドレスのGutruneが帰りが遅いので心配して花びらをまき散らして祈る。Bruennhildeがきて、お前は正式な妻ではなかったと追い打ちをかけ、泣き崩れたのを放置して、奥の砂浜へ。HagenがGuntherに中央の穴に突き落とされる。家来達がSiegfriedの亡骸に白い布をまき、前方に運んでくる。Bruennhildeがその指から指輪を取る。

家来達は神々の黄金の像も運んできて、中央の四角い穴に入れ、火をつける!まだ生きてたGuntherもなんか言って去っていった。低い舞台にはラインの乙女たちがいて、服を脱いで全裸になって歌う。彼女たちの髪は青色で、だからAlberichは青いカツラを使ってたのだと気づいた。

序夜からあったリングが天井から降りてきて、人間の女の子がのった。神々の時代が終わり、人間の時代になったという解釈。

カーテンコール、ロンドンでは珍しい、全員総立ちのスタンディングオベーション。最終サイクルの最終日ってこともあるが。Nina Stemmeも驚いていた。

Keith Warner、2012年に見た時はダメだと思ったけど、近くでみると演劇的で割とよい。舞台が暗いから遠くじゃダメなんだな。あとミュンヘンの肉体演出と比較するとよい、ということなのかも。

TerfelとTomlinson不在だと、Nina Stemmeが余裕で物語を支配していた。完全に、Bruennhildeが勇者を守り、愛し、裏切られ、自らの世界ごと滅ぶという悲劇であった。たまに音をはずすのはご愛敬、それより感情表現が圧倒的。John Lundgrenも悪くなかったし、Stefan Vinkeとの相性もいい。

すごいよくて、ブラビだったけど、泣かなかったなあ。もうKirill Petrenko以外のワーグナーは聞けない体になってしまっていた。

STAFF & CAST


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