2018.7.27: Wagner "Goetterdaammerung"

すばらしかった・・・

冒頭、多数の液晶画面に世界各地の災害の映像がたくさん流れた時はやばいと思ったが、そんなに長く続かず、すぐ音楽が始まってほっとする。

舞台は災害の避難所か、小さなスーツケースをもった人々が集まっている。係員が書類を確認したり、奥のビニールシートで囲まれた一角で身体検査をしている。ラインの乙女たち(ノルンだが、初日と同じ衣装)が災害にあった人々に赤い紐を渡していく。この三人の歌は相変わらずいい。

場面かわって、木の板に囲まれた細長い部屋(岩屋?)。ジークフリートが大の字になって寝ていて、ブリュンヒルデが筆で体(肌色の肌着)に文字をかく。叡智を与えているのか?背中には文字は書かれていない。

よくみると木の板は多数の人間が手で支えている。隙間から手が見える。奥の数枚が裏返しになると馬の絵が現れ、それをジークフリートに与える。

ここの二人の合唱がすごくて涙ボロボロ。

木の板が一気にはけて、黒い服をきた人々が舞台面に居並ぶ。人数多いと思ったら合唱団がやってたらしい。上着をひっくりかえすと黒い波になり、別の木の板2枚で形作った船に乗ってジークフリートが世界に旅立った!

音楽もすごくて、とくに最後の15秒くらいが鳥肌でた。いったん止まった後がものすごいテンションだった。

ここまでプロローグ。休憩は劇団員用のカンティーヌで魚料理をいただき、1幕。

ギービヒの館はガラス張りのオフィス!周囲をぐるっとガラスが囲んで、中空の渡り廊下が上下する。うーむ、このセットは素晴らしいと言わざるを得ない。ずっと人間だけで表現してたのにここにきてこれか!

大勢のサラリーマンが携帯を片手に大合唱。リングにはずっと合唱がなかったのだが、ここにきてついに、テンションあがりまくり。合唱の後、サラリーマンたちは素早くぐるぐる歩いてはけた。そこはダンサーだったのか。

下手にソファー、上手にはバーカウンターがある。周囲のガラス張りでも仕事してる人とか、花が置いてあったり、人も行き来するので、見ていて飽きない。やっぱり大型セット最高!

グンターはちょっとキャラが弱いが、グートルーネはユーロマークの木馬を持ってきて、そこにゆらゆら乗っていた。お金大好きなの?

ジークフリートがきて、ハーゲンに薬を飲まされると、記憶をなくし、グートルーネに惚れてしまう。半神はやっぱ弱いなオイ。

再び岩屋。一人でいるブリュンヒルデの元に太っちょの妹がきて、父ちゃんたち大変なのよ〜、ラインの乙女に指輪返してくれないかしら?これはジークフリートとの愛の証だからダメッ(キリッ) が、その直後に変身袋(ここで役に立つ)をかぶったジークフリートがきて、指輪を奪い、ブリュンヒルデを押し倒して、あれ〜。

再び、ギービヒ家。木の机が運び込まれて並ぶと巨大なユーロマークになった。

黒の小汚い男アルベリッヒがきて、息子ハーゲンに指輪奪え〜。

ブリュンヒルデが連れてこられてきて、グンターを見て、こいつに指輪奪われた!でも奪ったのはグンターに化けていたジークフリートで、そのことを知らされるとブリュンヒルデがさらに絶望。ジークフリートの方は全く記憶がなく、グートルーネにメロメロ。グートルーネの方がむしろ、ブリュンヒルデってあなたの前妻?どんな関係?と問い質し、現実的なのであった。

ユーロマークに乗りながら、絶望のブリュンヒルデをハーゲンが追い込んでジークフリートの欠点を聞き出し、グンターも合わせて三人でジークフリート殺害で一致するのだが、このシーンはちょっと弱かった。男二人の歌手が弱かったのと、Nina Stemmeが悪に落ち切れてなかったような。

また休憩はカンティーヌでデザートにチョコケーキをいただき(一人フルコース)、2幕。

そこでネタバレきいてしまったのだが、せっかくのガラスのオフィスが荒廃している。。。ユーロマークの机が崩れ、ぼろぼろになった男女が床に寝ている。ラインの乙女たちが机に散らばった下着を蹴り落としつつ歌う。やってきたジークフリートに、あら素敵なおにーさん、呪いがかかってるから指輪を諦めなさいと言うが、そんな脅しにはのらん!

寝てきた人々とラインの乙女が退場したのち、ジークフリートはハーゲンと立ったままお茶を飲んでいる(食事ではなかった)。小鳥の声を聞き分けられるんだって?と話しかけ、背中を槍でぐさ!あっさり倒れる英雄弱すぎ〜。

板に乗せられたジークフリートの死体が運ばれてきて、ブリュンヒルデが嘆く。弱点教えたのあんただってば。私が妻よ、あんたは妾とグートルーネに言い放つ。グートルーネはいつの間にか死んでた兄グンターの遺体をかかえて嘆く。

舞台後方にあった白い愛馬(の人形)が奥に消えると、舞台奥で火がついた。周囲にも火の映像が映し出され、ギービヒ家は全焼・・・ヴァルハラ城は?

三幕の最後は音楽的には普通だが、四日間、積み重ねたものがあるので、ものすごい満足感だった。何度も聞いたのに、気づかなかった楽器の音を気づかせてくれるKirill Petrenkoの指揮に尽きる。技術以上に感情的なNina Stemmeもよかった。

ロンドンでもStemme & Vinkeなんだよなあ。Wotanが今回アルベリッヒのJohn Lundgren。前回のロンドン・リングのTerfel&Tomlinsonが出てくれるとドラマとして重厚になるんだけどなあ。なぜ出てくれないの(涙)。HundingとHagenが同じ歌手なのも運命を感じてよい。

やっぱり「神々の黄昏」なんで、神々が出てなくても神々の気配を感じていたい。少なくともヴァルハラの炎上はみたい。神に刃向かったユダヤ人=アルベリッヒ→ミーメ→ハーゲン(金融)が滅びるだけじゃ、ちがうんじゃ・・・

STAFF & CAST


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