2018.10.28: Wagner "Die Walkuere"

1幕。中央に赤く照らされた部屋が浮いているはずなのだが、見えない。その前に黒いダイニングテーブルと、下手に一人がけの足のばせる黒いソファー。その回りを木の枝のようなリングが螺旋を描いている、のも見えない。

Wotan とお揃いの、でもボロボロの獣コートを来た男 Siegmund (Stuart Skelton) がやってくる。巨体デブ・・・声は細めで悪くないが。淡い黄緑のワンピースの女 Sieglinde (Emily Magee) が出てきて驚く。こっちも太め、顔は綺麗だが、声は細め。女はバケツから水と、奥からハニー酒?を取って渡し、男に毒味させられる。おそるおそる話し始める。

Sieglinde の夫 Hunding が帰宅。黒のロングコートで、こっちのが背が高くイケメン。でもキャラは前回のSir Tomlinsonには遠く及ばない。Sieglinde を横暴に扱い、飲み物を持ってこさせたのに、あっさり薬をもられて寝てしまう。

白いドレスに着替えた Sieglinde と Siegmund は赤い部屋にあがって素性を明かし、愛をはぐくむ、のは全くみえない。Sieglinde が袋から取り出した獣コートがおそろいだったり、父の名前が同じだったりで、Siegmund は生き別れになった双子の兄だと判明。

木の枝のリングの一部が照らし出されると神の剣が!その後、木の枝のリングはLEDライトで緑色に照らし出され、徐々に青色に変わっていった。Sieglinde は訪れる男たちに剣を抜け抜けと言ってきたが誰も抜けなかったと。Siegmund は神の子なので剣を抜くことができる。

Kaufmanは「ノーーートング」に盛り上げポイントにしてたけど、今日はそこは普通に通りすぎて、最後のかけおちが焦点だった。最後に赤い部屋が上空にあがると、その下に序夜ででてきた捨てられた本の山があった。

休憩。改築で地上階に新しいカフェができて、まともなカプチーノが飲める。ケーキもおいしかったー。

舞台は1幕と同じで赤い部屋があがっただけ。序夜の神々の家が荒廃した姿。奥のガラスは割れ、柱とか棚とか倒れてる。木のリングと、中央に本の山は残り、序夜で金塊をぶら下げてた赤い紐が垂れ下がっている。

黒いドレスのワルキューレたちが本を投げ飛ばしながら歌う!下手の梯子から Bruennhilde が降りてくる。立ち止まってホヨトーホ!ミュンヘンよりははずしてなかった。

Wotan は獣コートきてる。 真っ赤なドレスの悪妻 Fricka がやってきて、夫が他の女と子供を作りまくりなことをネチネチ責め、人間の女との双子は殺してちょいだい。Dame Connolly、前回はすごい迫力だったけど、声量落ちたから普通。

Frickaと入れ替えに Bruennhilde が奥からやってくる。Wotan は序夜の復習。Bruennhilde が青のカツラを拾い上げたので、Alberich がレイプしてた女の子が四夜の Hagen なのだと気づいた。巨人の生き残りは大蛇に化けて指輪を守っている。自分は契約したので倒せないが、人間に生ませた子なら関係ないから倒してくれるかも、と思ったけど、結局自分で殺すはめになって、矛盾なんだよねえ。Wotan のダメ神ぶりが全開。声は渋いが。Bruennhilde が降りてきた梯子を剣でばっさり切り落としす。

Bruennhilde は父さん素直になってよ!と言ってもダメ。奥から赤い紐をもってきて、途中でひっかかっちゃったが、下手の倒れたソファーにつなぐ。これ、岩陰の表現。

赤い紐をつたって Sieglinde と Siegmund がやってくる。Sieglinde は今更ながら近親相姦なのを悩んでいる。二人が森の中で離ればなれになり、Sieglinde がソファーの陰で寝てしまうと、Bruennhilde がやってきて Siegmund と話をする。お前を天空に連れていく。妹もか。いや妹もだめ。なら行かない。Siegmund の歌は1幕より熱くなっている。

Hunding が上手の中空から出てきた、はず。Wotan が Siegmund の剣を叩き壊したところを斧で殺す。斧の血を拭いてたら Wotan から槍で突かれてあっけなく死亡。あれ、前回はここもっと熱かったような。。。

休憩、いつもの広いホールでローストビーフサンド。レストランの予約取れたのだが、100GBP4コースの均一価格しかないので、キャンセル。チケット代より高いて。。。

少し遅れて音楽が始まる。客席はすでに熱気に包まれている。

中央に白い大きい壁がある、なんか映像が映っている。ワルキューレたちはその前で馬の頭の骨を掲げながらちょっと踊る。歌手のレベルが高くてよい。みなで甲冑をつけ、奥から汚いマットレスを運び込み、壁に立てかけるとそこはドアになっていて、 Siegmund の遺体がのったマットレスがどさっと倒れる。続いて Sieglinde と Bruennhilde がやってくる。

死ぬ死ぬ言ってた Sieglinde だが、子が宿っていると聞かされると改心。Bruennhilde は折れた剣を渡し、大蛇のいる森に逃げろと、神々も近づけないからと。あー、だから Mime が育てることになるのかー。

茶っぽい柄コートに着替えた父Wotan がやってきて、壁が押してぐるぐる回す。壁に開いたドアからワルキューレが一人ずつ Wotan 側に抜けて、Bruennhilde は反対側に追いやられる。

前回は父Terfelの圧勝だったが、今回は娘Nina Stemmeがすごい。John Lundgren もがんばってたが、最後ちょーっと声がもたなかった。お前はクビ。なら名誉ある死を。岩山で眠って最初に見た男の馬となる刑。なら岩山を火で囲んで、すごい勇者しか辿り着けないようにして!

二人でドアの向こうに消えると、大道具さんがちょっと見切れている。。。Wotan は水を飲んだのか、また声が出るようになっていた。

壁が上空にあがると、Bruennhilde が黒いソファーに横たわっている。Wotan は縦と槍を備え付け、Loge を呼び出す。手の平に火が灯り、木のリングがぼーっと燃えた!!ここの仕掛け、前回とはちょっと違う気がするが。

Pappanoは一番いい旋律を劇的に聞かせる。見事だが、リング5回目(二夜だけ7回目)なので、驚きはない。Petrenkoは全く違う音を聞かせてくれて、何度も思わず泣いてしまった。。。今日はNina Stemmeの一人勝ち。Terfel&Tomlinson不在、Connolly声量落ち、1幕の弱い配役では、どうにもしようがない。ならばなぜPappanoで聞いているのだ?

本当はこの二夜の見所は1幕なのだ。Siegmundは、声的にはKaufmannはそれ程よくなかったが。SeiffertVogtがよかった。Sieglindeは何といってもMeier。今日に比べると Anja Kampe はうまかったんだなと。3幕で Bruennhilde と対等に歌ってたもの。John Lundgren は及第点。Wolfgang Koch よりいいかも。

STAFF & CAST


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