2016.2.26: Gounod "Romeo et Juliette" @Wien

先月に続いてまたウィーン(爆)、王子が住んでるこの町。もう一日早くこられればDamrau@Manonが見られるのだが、授業が・・・

フレンチブームの王子が2014年にリマでロールデビューしたロミジュリ。相手役は「ウィリアム・テル」の時のMarina Rebeka。私は3月1日のチケットを確保していたのだが、授業と会議が入って行けなくなり、リターンをゲットしてぎりぎり。

幕があがると白い二つの遺体があり(白い布をかぶって裸足だけ見えてる)、奥でさまざまな赤いドレスでマスクをした男女が歌う。遺体が片付けられ、それを照らしていた白いライトがぎっしり並んだ厚板が上空にはけると、赤いドレスのダンサーが出てきて踊る。一人赤いヘンな着物のおばちゃんがいると思ったら、ジュリエットの乳母だった。襟が逆だし、頭に箸を刺してるし。。。

紗幕があがり、人々が道をつくると、ジュリエットが胸のざっくり開いた白いワンピースで登場。キャプレット家の主である父は韓国人、ティボルトも小太りのおっさんなので、どっちが父だかわからんかった。パリスはマッドなゲイっぽい。ジュリエットは最初から声でてて別次元。

でも有名アリア Je veux vivre「私は夢に生きたい」のコロラトゥーラがテキトーすぎ。。。OlgaちゃんのCDでききまくちゃったからなあ。まあこの人は「椿姫」の時もそうだったんで、全く期待はしてなかった。声量だけを堪能しないとダメ。

このあたりで天井から赤い紙吹雪がバラバラ−!続いて花火もバラバラーー!!!すごい綺麗でびっくらこいた。乳母とシェフみたいなのが逢い引きしたのはなんだったんだ・・・。花火は掃除係がおもむろにモップで片付ける。

赤い王子ジャケットに黒いマスクの男がロミオで(似合いすぎ)、マキューシオら数人と侵入してきて、ロザリンデ〜とか言ってたが、ジュリエットを見て心変わり。こちらもいい声出してます。

青い電球を複数つけた黒い柱が数本あり、それが前後することで城の空間を作り出す。柱に隠れていたジュリエットがロミオと出会いキス。ロマンチックだわ〜

ジュリエットのティボルト(グノー版では兄)が、その声をきいて敵対するモンタギュー家の息子だと気づき、ロミオ一行は暴れずに退散。

舞台中央に白色ライトを仕込んだ半円があり、それが少し持ち上がって丘をつくる。その上で、ネグリジェ風の白いワンピに着替えたジュリエットが、その名を捨ててと言っているところでまたロミオ登場。バルコニーもうまくやったね!背景は星空。

この後のロミオの有名アリア Ah, leve-toi soleil「ああ、太陽よ昇れ」さすがの出来だった。拍手が延々続く。でも本人は手をあげた決めポーズを動かさず、アンコール受ける気配なし。

その後、1幕の最後の歌は高音が出なくなっちゃってアレレ。珍しい、とばしすぎたか?実はあんまり調子よくないのか?

休憩のち2幕。

教会に黄緑っぽい服が多い民衆がたむろっている。中央に白い机。ロレンツォ神父が出てきて、茶色の革鞄から十字架を取り出し、キスして置いて、祈りを捧げる。

黒い革ジャンのロミオと黄緑のドレスのジュリエットが結婚。ああ、二人とも1幕の衣装の方が似合ってた。。。神父がなんか言ってる間、二人で下手にひざまずいて、ポケットから二人分の指輪を取り出してつけあい、彼女の手を握り軽くキスして微笑みいちゃいちゃするFlorezに萌え萌え。相変わらずMarina Rebekaは無反応だけどな。乳母と神父にひきはがされても何度も抱き合い、結婚式終了。民衆も二人に花束渡し、奥では手に持つ花火で祝福。

場面かわって、ロミオの小姓ステファノ(男役のソプラノ)が、自転車の空気を入れている。キャプレット家の人々が通りがかり、ちょっかいを出す。一人、女なのがグロいね。

ロミオたちが助けにやってくる。ティボルトに悪口言われても、むしろ愛していると言って、仲間を制止してたロミオであったが、ティボルトがマキューシオを刺してしまうと、キレて下手へ追いかける。また舞台に出てきてぐさー!ああ、やってしまった、の顔が秀逸だった。この人は、愛してる〜!とキメてるより、おどけてたり怒ったり絶望してたりする方が何倍も素敵。

町の偉い人が出てきて、ロミオ追放を言い渡す。天井からしんしんと雪がふる。

光の半円にピンクっぽい毛布がしかれ、ジュリエットが横たわる。ロミオも出てきて横たわる。ベットがなくくてもいける。背景は星空だったが、やがて明るくなり、ヒバリ?ナイチンゲールよのくだり。じゃオレの命を預けるとか言ってまた横になるロミオのテキトーっぷり・・・ジュリエットにやっぱり帰って!と言われるとさっさと帰る。半円の脇に水が置いてあって、Florezが飲んでた。やっぱり調子がいまいちなのか?そのあとはよく出てた。

父が出てきて、パリスと結婚しろと。乳母も白いドレスを持ってきて着せる。ロレンツォもいるがつかえねえ。背後で最初の赤いドレスの人々が結婚式の準備をしている。さっき降り積もった白いはずの雪が照明で赤くなっている。

みなが帰った後、ジュリエットがドレスを脱ぎ捨てて嘆いていると、ロレンツォが戻ってきて、茶色の革鞄から仮死の薬を取り出す。というか、漏斗で粉を瓶に入れてさっきの水を加え、その場で調合。。。

ジュリエットは舞台の中央でひとしきり大音量でアリアを歌い上げたあと、一気に飲んでバタッと倒れる。

ロミオがやってきて、ジュリエットを見つけ、すぐ毒薬をあおる。苦しそうに倒れたが、ジュリエットの声でまた起き上がり、抱き合う。でも毒がまわってきて、ジュリエットの膝枕でアリア。完全に寝てるのにさすが!声量で負けてるのもうまくごまかせた。情感はたっぷりで私も涙目。

人々が出てきて二人を見つけた絶望した後、光の半円が90度まであがって、黒い柱の照明もぐーっと前面にせり出してきて、ロミオとジュリエットが立ち上がり、抱き合ってキス・・・天国で結ばれたのね、のベタな演出だが、感動した!!!

 * * *

この演出家、誰!?光の使い方が秀逸なので、照明あがりの人なのかなと想像してたが、思いっきりベテランの舞台演出家Jurgen Flimm。去年のスカラ座の「オテロ」の人だった。。。あのいまいちの舞台のと同じとは意外。たしかに、大型セットを使わない、舞台中央に机とか舟とか配して乗り切る手法は通じるものがある。ただ今回は、照明が動くので躍動感があった。

イタリア人指揮者は、微妙にあってないところも多々あるのだが、盛り上げは上々。

このオペラを見るのは二回目。前回は思い出したくもないトンデモ演出だった。マルちゃんの歌はよかったけど。

ほとんど二人が歌うだけなので、歌手二人がよくないと成立しない。今日の出来以上のものにはなかなか出会えないと思う。

でもなあ、張り上げて延ばしまくりのこのロールは王子にはいまいち。王子はロッシーニのおもしろキャラなくせに超絶技巧で歌いまくるのがやっぱり最高だ。あとフランス語の発音がどうなんだろう・・・巻き巻きでイタリア語にしか聞こえないところが多し。

神父、ティボルト、乳母、小姓の歌はよかったけど、他はいまいち。とくにマキューシオと韓国人の父がだめだった。

Marina Rebekaの声量は、ポスト・ネトレプコにふさわしく素晴らしいが、短い音符がテキトーすぎるのと、芝居ができないのが惜しい。不細工だし。目の色が薄いのにアイライン濃いからいつも白目に見える。これじゃあなあ、と思ってたけど、出待ちしたらすごい愛想がよくてほだされた(爆)

帰宅してからネットでアラーニャのアリア聴いてしまって・・・Florezのがぶっとんだ。泣きの甘々フランスオペラでアラーニャに勝てる人はいないか。

STAFF & CAST


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