そこへ王冠をかぶった王子がやってきて、その「湖上の美人エレナ」に一目惚れをしたのか、王冠と高そうなオーバーを脱ぎ捨てて、ウベルトと名乗り、話しかける。二人して、帆船の入ったガラスケースに座ったまま退場。なんのこっちゃ。
召使い達が木の扉を開けると大きな螺旋階段。Pesaroの「Matilde Di Shabran」の演出のパクリか?二人がゆっくり上りながら会話をする。Pesaroとは違って、取り立てて面白い使われ方はしなかった。
父がエレナに反乱軍の首領マルコムと結婚しろと。階段の下で女中たちがエレナを丸く囲んでドレスを着せる。いじめっぽい。エレナは嫌そう。
エレナの恋人マルコムがやってきて一人で歌ったのち、エレナとも合唱。アルトの男役で太め、ややくぐもった声、Daniela Barcellonaはパリでも聞いた。拍手大喝采だったが、私的にはまあまあ。
反乱軍の兵士達がわらわらとやってくる。螺旋階段を下りながら、女たちを犯している。嫌な演出だ。マルコムがエレナとロドリーゴの婚約を知って決闘になりそうになるが、王の軍隊が攻めてきて二人とも戦場へ。
休憩のち2幕。
舞台には太めの白い柱がランダムに並んでいる。これもバルセロナの「Linda di Chamounix」の1幕の演出にかぶる。
王子が一人、Florezの十八番のアリアを歌う。エレナに声をかけると、悲鳴をあげられて、家に招待してくれたじゃん!と。。。覚えられてないし。この王子のマヌケっぷりが演出の鍵なんだけどなあ。
愛を告白するも、気づいてなかった!臭わせたじゃん!親切だと思ってた!とか。王子は速効でふられたにもかかわらず、指輪を渡し、困ったときはこれで王が救ってくれるヨ。どこまでイタイ王子なんだ。でも歌だけはめちゃうめいから憎めない〜
反乱軍が、イノシシ?を切り裂いて血を塗りたくって決起している。グロい。王子に気づいて、捕らえようとするが、王子がひかないので、エレナもおろおろ。王子は気の強さを発揮して、決闘だ!とロドリーゴ二人で去る。ここは二人のテノールの壮絶な歌合戦、二回目のはともかく、27日のテノールはColin Leeでうまかったが、それでもFlorezがぶちまかしていた。
舞台の下手で執事が王冠をいじっている。エレナが、反乱軍が負けたときき、父を心配しつつ執事と逃げて、舞台の下手へ。マルコムがエレナを探しにくるが、秘書の女性にはばまれる。
暗転のち、壁があがると、タータンチェック!王の軍隊の衣装だけでなく、天井から下がった大きな布まで。しつこい。管楽器隊も王の軍隊の一部となって、舞台の上で演奏する。
指輪をもってエレナがやってきて、ウベルトに、王に会わせて、王はここだよ!あなたなの!みたいな。王子は寛大な心で、ロドリーゴは死んだ、王もマルコムも助ける、エレナに父の土地を与える、と。喜んだエレナがコロラトゥーラを歌いまくって、終了。Joyce Didonatoもパリできいた。ソフトな歌い方で高音は出てて、拍手大喝采だったが、私はあまり好きじゃない。
ここで終わればまだいいのに、エレナも王もマルコムもみんなガラスケースに入れられて、紳士たちがグラス片手に堪能してから、幕。
意味不明で無駄にグロい演出が敗因。ロッシーニの「湖上の美人」は駄作だと言われるが、駄作にしているのは演出家。このオペラは喜劇でなければならない。マヌケな王子が歌だけはうまくて、これまた歌だけはうまい女性を救うという、コロラトゥーラ万歳!の喜劇なんです。パリ演出の方が断然よかった。ロイヤルは何を考えているんだ。キャストもパリとほぼ同じだし。
27日は出待ちせず、11日はディナー直行。。。Florezにサインもらうのは大変す。