Damiano Michielettoの演出は安上がりであるが面白い。幕があがると舞台には何もなく、背後に部屋の図面が描かれている。いやカメラか!不動産屋みたいなのがきて、工事のスタッフさんが家具を搬入し図面通りに並べる。人物も搬入されて、前奏曲が終わると動き出す。
下手のキッチンでおかっぱ頭のジェルマーノが家事をしている。かみてのベットルームではジューリアがドルヴィルとラブシーン、二人は密かに結婚している。ジューリアとジェルマーノは口論となる。Olgaちゃんは着替えたり、ヨガマットをひいてストレッチをしたり、両手にバンベルを振り上げたりしても、音が全くぶれることなく、超絶技巧のアリアを余裕で歌い上げる。お見事!対象的にジェルマーノはクマのぬいぐるみを持っている。
杖ついたドルモンが白スーツのブランザックを連れてたが、従兄弟のルチッラ(スーツ姿で金髪に眼鏡)が知らせ、ドルヴィルが中央の窓から絹のはしごで逃げる。ドアを開けしめするときにみなパントマイムになる。
休憩。ブランザックがやってくるが家には誰もいず、バラをばらまき、クマのぬいぐるみで革靴を磨く。イヤー!!!彼のいやなところをよく表現している。そして勝手にベットで眠る。ルッチラがきてバラを拾い、ブランザックに恋に落ちて誘惑し、ソファーの上で彼にまたがる。
ブランザックが結婚したいというので、ドルヴィルが銃を突きつけたが(って写真みたらドライヤーだった)、結婚したかったのはルッチラで、ドルモンも許してめでたし。スタッフさんが家具に白い布をかけ、彼女は引っ越しする?
Olgaちゃん、すべての音が余裕で完璧で美しい。前半は花柄のワンピ、後半は裾がレースになってる青のワンピで、衣装もかわいい。
彼女ありきの演出。2019年ROHデビューとなった「Don Pasquale」を彷彿させるが、Terfelがいない。おかっぱはがんばってたが、もうひとつ毒がほしかった。無名の黒人テノールLevy Sekgapaneもよかった、ギャング設定だし。ペサロ「Adina」で好演の彼か!
しかしDamianoは出すぎでお腹いっぱい。背後の図面映像がちと明るくてすぐ上の字幕が見づらかったのがちと残念。