ラインの三人娘が裸体スーツで踊る。中央に光る玉(金塊?)、下手よりに梯子がある。船がきて、ステテコ姿の男・ニーベルング小人族の Alberich が降りてくる。乙女たちはスーツケースから服を出して着て、Alberich をボコる。歌はまずまず。見えなかったが、男は金塊を盗んで逃げたはず。
上空にあった舞台がぐわーっと降りてきて、神々のリビングが現れる。無造作に黒い椅子が数脚ととテーブルがあり、下手奥にはバーカウンターもあった。中央には穴があいていて、地下に梯子でつながっている。
片目で槍もって、毛皮のコートを着た男・神々の王 Wotan が出てきて、毛皮を脱いで床に敷き、寝る。赤い花をあしらった白いドレスの女・妻で結婚の神 Fricka がやってきて起こし、なんか文句を言っている。あれー、Sarah Connollyは声量落ちたなあ。。。
2004年の作で、2012年に再演でみた。その時の記録によると、奥まで広がった広い部屋で奥の壁がガラス張りになっている。今回は上手舞台そばの安い席なのでみえないが。それより問題は音。ロンドンはオケピが小さいので、左右の客席を潰して打楽器とかを置いている。私の席からは柱を隔てて同じ高さからシンバルとかの音が直に聞こえてくる。バランスが悪すぎ・・・
純白ドレスのソプラノが、ガラスの奥にFrickaの妹で美の女神 Freia が捕らわれている、はず。こっちは若く声量あっていい声してた。ヴェルディ・レクイエムで好演の。神々もあと二名。黄緑の幸福の神 Froh と紫の雷神 Donner、舞台脇に寝転んでいる。みなは火の神 Loge を探している。Freia はバーに行って、金色のリンゴをとってかじる。
テーマ曲にのって二つの巨大な人影が映し出された後、Freia を捕らえている巨人兄弟が登場。一人は巨大なハゲヅラをかぶっている。もう一人は巨大な足と指をもっている。Wotan に約束通り Freia をよこせと。頭頂のない赤髪のマッドな男 Loge がようやくきて、Alberich の指輪と引き替えに Freia を救出することを提案。
金属音にのってまた舞台がぐわーっとあがると、地下の国ニーベルハイム、実験室、ベットには解剖中の赤黒い死体が。。。ここまでずっと暗かったがやっと白い床と壁が出てきた。Alberich が科学者風の弟 Mime に魔法のかぶり物=光るキュービックを作らせる。舞台面の黒い机にキュービックが照明で描かれて、Alberich が消えるマジック。
小人族がわらわら出てきて金塊を運び込む。Alberich も青のかつらを持って出てきて軽く踊り、中央の手術台に縛り付けられていた女につけて犯す。Mime は死体の一部を下手の黒いドア(焼却炉?)にポイポイに投げ込んでいた。この二人はほんんといいキャラしている。
Alberich が去った後、Wotan と Loge が出てきて、手術台の女を解放。まず Mime から情報収集。飛行機のトロフィーをもらったり。Loge は魔法の本をガン読みしていた。Alberich がきて、大きな怪物に化けたのを Loge が褒めて持ち上げ、小さなカエルに変身させたところで捕獲。アタッシュケースに入れて神々の家に持ち帰る。怪物もカエルも体はグロいが頭はキュービックで、うまくできている。怪物の手にはちゃんと指輪もあった。
再び神々の家。Freiaの育てる黄金のリンゴを食べていないので、神々がぐったりしている。Wotan と Loge がアタッシュケースを床に置いて広げると、キュービックに続いて Alberich が出てきた。Mime が金塊の入ったケースをいくつも運び込み、そそくさと退散していった。Loge はキュービックをがっちり抱いているが、Wotan は自ら Alberich を縛り上げ、赤の指輪まで奪い、呪いをかけられる。やっと解放された Alberich 地下に帰って行く。
巨人兄弟がやってきて、舞台中央の穴の片側に Freia を入れ、反対側に金塊を投げ込めさせる。もっと詰めろとかいいつつ。Wotan の金の指輪に目を付けて、それも寄こせと。他の神々もみな渡してと言うのに Wotan が断ると、舞台下から智の女神 Erda がソファーに乗ったままあがってきて諭される。ソファーのあがりがいまいち低い。Wotan は Erda の砂時計を槍で刺して受け取る。Erda も若くうまかった。
Wotan が巨人兄弟に指輪を渡すと、ハゲヅラがもう一方をさっくり殺して去る(みえず)。指輪の呪いに神々は恐れおののく。
が、天井に虹がかかり、天井から七色の梯子が七本くらい降りてきて、照明も七色に照らされて、Frica は Wotan に剣を渡しスーツとマントを着せ、神々は新しい家に引っ越していく。梯子に登るのは見えず。Loge だけは神々の黄昏を予言し、金のリンゴの皮を剥いて鍋に入れ火をつけた。Wotan は途中で梯子を下りて、穴から地上に降りていった。
いい演出じゃないか!他にみたのがひどかったからかな?ちゃんと筋通り物語を追っている。川底、地下、山上と舞台が音楽に合わせて上下するのがテンションあがる。
Pappanoの指揮は、Petrenko聞いちゃった後だとかなり雑。帰り道、なぜか道化師が頭の中でリフレインしてて、そうかPappanoの振り方がプッチーニかベリズモ・オペラだったと思った。。。歌手はみな歌も演技もよかったけど、ドイツ語の発音が全体的に弱いので、ドイツ感がしない。
この演目のキモはWotanで、初演はJohn Tomlinson、2007年は降板したが、前回2012年はBryn Terfelが素晴らしかった。2017年のウィーンでも降板したので、もう歌ってくれないのかな・・・。今回はミュンヘンでAlberich を好演したJohn Lundgren。声がいいので及第点。今日は Alberich 役のJohannes Martin Kranzleがよかった。バイロイトでもBeckmesserとか、ずるい男をやらせたらピカイチ。前回から同じキャストなのはMimeとFrickaのみ。Donnerがミュンヘンと同じ。