客電が落ち、着くと指揮者がもうピットにいて、いきなり始まるのは伝統通り。幕には絵が描いてあり、白い人が横たわっているだけ。死体っぽい。ミイラになったタンホイザーがパルジファルとして蘇るのか〜(違)
幕があがるとおっさんたちがいっぱい。舞台奥に黒い木の枝っぽいオブジェがある(がよくみえない)。上手に大きな馬の骨があり、クンドリが寝ている。出だしはおっさんたちがなんか話してるだけなのでつまらない。あの顔はRene Pape。もう一人男がきて、衣装も似てるし、バリトンばかりでどれがどれやら。
って「テノール」のKaufmannがパルジファルとしてそこにいたのでした。まじしばらく気づかなかった。席がまたギャラリーで遠いこともあるが。
と、そこまで集中してなかったのに、一場が終わっていったん幕が下り、音楽が盛り上がったところで、だーーーっと泣いてしまった!うわ音楽すごいと思った瞬間泣いてて、その後数分、涙が止まらなかった。2場が始まってようやく落ち着く。
馬の骨は片付けられて大勢の男たちが横になってねている。合唱隊の一部か。上着を脱いで胸のある中年おやじの裸体を全員がさらず。着ぐるみだけど。ひたすら醜い。Kaufmannだけ脱がずにただ立っている。
血を流すアンフォルタス王が奥に行くと木のところに先王が現れて、王は新たな鮮血を手につけて戻ってきた。
休憩のち2幕。最終日なので、pcで仕事とかはせず、キラキラな部屋でシャンデリアを眺めつつ心静かに過ごす。
幕の絵が変わっていて、白い男が3人逆さまになっている。さらに死体っぽい。それが上がると、張りぼてみたいな白い壁があるだけで、魔王の城どこー?花畑どこー?後ろの方が照明でちょっとピンクになっただけだった。お金ないの?最安の座席なのに35EURもしてるんだが、すべてKaufmannのギャラ?
その白い壁の前でクンドリことNina StemmeとJonas Kaufmannがコンサート。演技もちょっと身振りするくらいで、ほんとコンサート。
ここはクンドリが情熱的にマザコンであるパルジファルを奮起させるのだが、、、Ninaの歌は普通によかったけど、Brunnhildeが素晴らしすぎたのでいまいち物足りない。キャラも、Meierみたいな黒い方がいいんだよなあ、Ninaは白すぎる。
キスされて痛みがわかった時の「アンフォーーールタス」だけは「ノーーートング」みたいに張り上げてキタキタキタって感じでよかった。その後あんまり続かないんだけど。
終盤、女合唱隊も出てきて、これも着ぐるみで脱いでいたような。
休憩のち3幕。
再び森、黒の枝。長老騎士グルネマンツの歌がいい、Rene Pape。茶色の甲冑をすっぽりかぶりロボットみたいになった男が槍もってきて、甲冑を脱ぐとパルジファル。衣装のせいか、Kaufmannの股間がみょーに強調されていて気になってしかたがない。。。
舞台面に小さな水たまりがあり、クンドリがはいつくばってパルジファルの足を洗う。全く神聖な感じなし。クンドリの歌はもうなしか〜。
いったん幕が下りてあがると、白装束の血を流したおっさんが盛り土がされたプロンプターのとこに王冠を置く。先王ティトゥレルの墓?
1幕とはうってかわって、痛いのイヤーとかなり感情的に歌う。こんなオペラっぽく歌えるようにもなったのね、Christian Gerhaher。でもやっぱり苦手。1幕で集中できなかったのはこいつのもやっとした声のせいだ。
パルジファルがきて、傷口に槍をちょこんと当てると、アンフォルタス王は盛り土のとこにばたっと倒れてそのまま動かず。あれ、傷を癒すのじゃなくて殺しちゃった?後ろの方でクンドリも倒れていて、そのまま幕。最後の音楽も素晴らしく、うるっときた。もうちょっと長かったら号泣してたな。
semi-stage operaでも大満足。タンホイザー新演出ほど邪魔をしないので、ましといえばまし。ベルリンのDmitri Tcherniakov演出が結構よかったのだと再認識。
でもオペラが見たいのだ!音楽と舞台演出が融合してさらに素晴らしい物語を描き出すという・・・退屈させないように奇抜な演出でつなぐのでもなく。
そういうのできないんだったら、ペトレンコにはベルリンに行ってもらった方がいい。ベルリン・フィルなら、ここのもやっとした管楽器でなく、シャッキリきっかり、ペトレンコの理想通りの音を実現させてくれるであろう。
音楽はライブだと言い、録音を拒んできたペトレンコ。本番の出来は練習できまる、本番はすることが少ない方がいいと言っていたペトレンコ。
カーテンコールで、オーケストラピットから一輪の花が大量に投げ込まれ、マエストロ最後のオペラフェストを締めくくった。楽譜を研究し、何度も聞いた曲なのに全く違うように聞こえる。それに熱狂したのは観客だけでなくオーケストラも同じ。