2017.9.11: Puccini "La boheme" 新演出

あんなに美しいJohn Copleyの王道の舞台をやめてまで新演出を作る必要があるのかと。お金あるならもっと珍しいオペラやってよー。Richard Jonesじゃ、ごちゃごちゃした現代演出なんだろうなあ。と、全くテンションがあがらない。

幕があがる前から雪が一筋しんしんと降っている。まだ9月なのに。

シーズン初日。最初の音からPappano先生の音は完璧だった。深くてシャキっとした出だし。続くロドルフォとマルチェロも完璧だった。Mariusz Kwiecienなんて今では脇役では滅多に見られない。他の二人もまずまず。

舞台は木でできた天井裏。中央にドアがある。家具はなく、中央に小さなストーブがあるだけ。 ミミが・・・たしかアンナ・カレーニナで名をあげた人(Nicole Car)だが、くぐもった声でYonchevaに似てる。Pappanoの趣味なのか?これはKwiecienにもっていかれる可能性大。

ミミは最初から病弱押しで、思いっきり床に倒れたり。Fabianoくんはシャイっぽいくせに思いっきり蝋燭を吹き消したり落とした鍵を奪って隠したり隠れ狡猾なのが萌え。外で待つ友人たちに天窓から今行くと答える。

天井裏がずずずっと後ろに下がって、舞台係りが二人で回転すると裏側は真っ黒で背景に沈む。別の小さな箱が三つでてきて、中が見えると明るく、遠近法でパリの店が詰まっている。子供含む合唱団がわらわか出てきて歌う。ここは壮観だった!

続いて下手からカフェの箱も出てくる。テーブルがぎっしり詰まっていて、上手寄りにロドルフォらが客席を向いて並んで座る。後からきたムゼッタとパトロンはその下手寄りに。

真っ赤なベルベットのドレスのムゼッタが下手端のテーブルにあがって歌い、下着をぬいて、頭をかかえるマルチェロの上に落とす。Kwiecienの演技がいい。ムゼッタも代役の若手だが歌はまずまず。どこ?

休憩のち3幕。雪が全面にしんしんと降っている。下手寄りに小さな小屋。舞台側の外壁はマルチェロが描いている兵隊の壁画。下手端に煙草をふかす女。

小屋から黄色に黒の縁取りのドレスのムゼッタが出てきて、軽く付き合うと豪語してたのは裏腹に焼き餅やいてたマルチェロと別れた!

小屋からガードマンらが出てきた後、ミミもやってきて、マルチェロを呼び出し、ロドルフォとうまくいかなから助けてと。ちょうど中で寝てたロドルフォが目覚めて出てきて、マルチェロと話すのを立ち聞きし、割って入って春になったら別れましょう、というのも同時進行であった。

ロドルフォは歌い続けなので、Fabinanoくんちょっと声がもたないところもあって、盛り上がらない。このオペラは3幕で盛り上がると成功とに書いたが、、、

小屋が片付いて天井裏が再登場。客席向かってマイムで絵を描いていたKwiecien他3名が、黒いペンで家中に落書き!画家なのにヘタクソ!!

紺のシックなドレスの姿のムゼッタが駆け込んできて、ミミが瀕死だと。続けてきたミミは肩出しのドレスで、ああ、別の男に囲われていたのね・・・寒いとマフをねだる前に肩を覆えと。

ムゼッタがイヤリングを売ったり、コッリーネが真っ赤な外套を売ったりして、薬と医者とマフを調達するもミミご臨終。最後の「ミミー!ミミー!」はFabianoくんがんばった!

カーテンコールでもFabianくんは胸に手をあて珍しく喜びをあらわにしていた。ロールデビューだったのかも?声は綺麗だし、熱いだけのGrigoloより私は好きだ。最終回くらいにもう一回ききにきたいな、もっとうまくなるかもしれないから。

ミミのキャラは、誰にも好かれて嫉妬と、病気で死なれるのが怖いというのとが同居しないといけない。Gheorghiuの全盛期はよかったが、ロンドンでは何度も再演してるのにろくな歌手にあたらない。HarterosとFrittoliは降板、Netrebkoは声でない。新演出にするならミミにも目玉がほしかった。

男性陣は他にもゲスラー@ペサロ(Luca Tittoto)、セビリア@ペサロのフィガロ(Florian Sempey)とよく集めた。

STAFF & CAST


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