2017.5.14, 17: Rossini "Guillaume Tell"

日曜にミュンヘン入りしたのはオペラがあるから。ロッシーニの最高にして最後の傑作「ウィリアム・テル」、来週もあるけど二度みてもいいので。有名な歌手いないけど。

と思ったら赤紙が!柱のプログラムに貼られた当日キャスト変更、テルがNicola Alaimo。ペサロによく出てるデブ。さんざん悪口書いたけど、それなりの質は保証されてるからよかった。

そういえば、噂で聞いた通り、ミュンヘン版にはあの有名な序曲がない。。。警官が男をボコっているシーンから物語がスタート。スイスの村の民は結婚式の姿で、テル一家は現代服で現れる。息子は現代的で拳銃を振り回している。冒頭のテノールがいい声してる。初日は見えなかったのでアーノルドと勘違いしたが、ただの村人の一人。

この舞台のメインは天井まで続く多数の黒い柱!それが音楽に合わせて上がったり下がったり斜めになったりして舞台を盛り上げる。歌手の演技は二の次。。。バレエがないから、その代わりに盛り上げるつもりなのか。

初日は端だけど一階だったので音楽にマッチして上下する柱にかっちょえーと思ったこともあった。二回目は上の方の席なので、柱の効果は皆無。

助けを求めて駆け込んできた羊飼いはChristian Rieger、相変わらずイケメンで血みどろで歌もいい、ちょい役だけど。

ハプスブルグ家の人々は警察で、ゲスレルの部下は小太りハゲで鞭を振り回していた。そのまま警官服の男達が村人に襲いかかるのリアル・・・

続いてアーノルドが姫と密会。ようやく姿が見えたら青いジャケットに、、、すんごい不細工。アジア系でももうちょっとましな顔はいっぱいいるが、これはひどい。まさに目も当てられない。がっしり体型、顔がでかい。が、声はいい。せっかく声はいいのに、この姿では全く萌えない。

王女の声はまあまあ。メゾなのか?そりゃMaria Rebekaの声量には叶わないけど、丁寧なのはいい。ロンドンよりももちろんいい。この二人のアリア、神がかって美しいはずなのだが。。。ここ2幕の山場よ?ペサロでは休憩の後だった。

すぐテルらが来て、父の死を知り、3幕で別れを告げる。休憩ないのでインパクトがない。

3幕後半でようやくゲスレルがお目見え。ペサロではずっと前から出てたはずだけど。ロングコートにマッドな歌がいい感じ、と思ったら同じ歌手Luca Tittoto。この演出ではあんまり活躍しないけど。

序曲のほかにもいろいろ削ってるはず。ここもバレエ音楽がもっとあるはず。あっさりテルが捕まり、リンゴのシーンに突入。なんかトリックで息子の頭のリンゴが割れて幕!

ってこれをやりたいがための構成変更なのね。。。これまだ3幕の途中よ?ここまで2時間、長い。30分休憩のあと1時間。4幕はアーノルドの名アリアなのに、まずリンゴの回収から。姫がきて息子だけ連れ帰る。

ようやく4幕。歌は素晴らしかった!Florezとは比べられないが、ほとんど完璧に音を拾っていた。最後はもうちょっと伸びてほしかったけど、難しいアリアなのでここまでできたら大金星。でも顔が・・・

心配する村の女たちの元に姫が息子を連れ帰り、でもテルは?ここは三人の重唱が美しかったはずだがカット。舌の根も乾かぬうちにテルが帰ってきて、ついでにゲスレルものこのこ来て、叩き殺されて奈落に落とされた。血みどろのアーノルドもきて、大団円。姫とは復縁できないような微妙な距離で立ち、やっぱり顔?

この編成は改悪だけど、元が素晴らしいので、それでも楽しめた。アリアだけじゃなく、重唱も聞いたこともないメロディの絡み合いで、天才。こんな作品できちゃったら引退するのわかる。

STAFF & CAST


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