舞台は紙でできた蓮の花と砂、木の枠の部屋が三つ、三人の男が枯山水をつくっている。開演前から始まっているその演技に、今回も期待大。これまで見てよかったMartin Lloyd-EvansやStephen Barlowではないのだが。
村人がわらわらでてきていきなり大合唱。和のテイストの入ったさまざまな藍色の衣装で、演技も入ってるので、気持ちも入ってて、みんないい顔して、いきなり泣きそうになった。
男二人+女一人のダンサーが踊る。美、死、吸血鬼らしい。三人とも袴で男は上半身裸、女は黒のタンクトップ。去年の「ラクメ」と似た、舞台狭いので、器械体操的な。音楽の雰囲気もかぶる。この小さな野外劇場には合っている。
イリスでてきて中央の木の枠にしかれた布団に眠る。上手には父。下手はあとで劇中劇の舞台となった。目覚めたイリスが盲目の父の手をひいて日向に座らせる。イリスは素足で砂の上の木の部分をひょいひょい伝って歩く。
マスカーニの「イリス」・・・滅多に上演されない理由がわかったわ。盲目の父と暮らす日本人の美人な娘が金持ちの「大阪」と芸者屋主人の「京都」に見初められ、赤の鯉のぼりをはためかせてやってきた劇中劇のどさくさに誘拐される。偽の手紙と現金が残されていて、娘が自ら吉原に行ったと思い込んだ父は娘を呪う。劇中劇では芸者が「大阪」演じる太陽の子ヨールに救われるが。
休憩のち2幕、木の枠に棒が足されて檻になっている。まわりの蓮がなくなって赤提灯になっている。下手の檻にベットがあり、またイリスが眠っている。「大阪」が服をぬぎレイプしようとするが、イリスは笑うばかり、宝石などプレゼント攻撃をするも、家に帰りたいと言うので、途中で断念。代わって「京都」がイリスの服を着替えさせ、吉原で見せ物にすると男達が大喜び。他の二つの檻にも女達が正座して並んでいた。
私の席は上手で下手ばかりで進行するので首が痛い。
のが問題なのではなくて、「大阪」役のアメリカ黒人テノール、さすがに声量はすごいが、音程が、、、声でかいのにびみょーにはずしまくるから、すごい気持ち悪かった!
見た目にも日本人娘が黒人にレイプされるのはグロいし。。。
キャラ的には「京都」の方が極悪で、「大阪」は綺麗な服をきたイリスに惚れ直してまた飛びついたり無邪気ではある。
そしてさらにグロいのは、最後に盲目の父がやってきて、吉原で見せ物になっている娘に泥を投げつける。イリスは速攻でナイフを取り出し、自害!!
休憩なしの3幕、村人たちが何かを囲んで合唱。生きてたイリスが起き上がり、太陽を讃える歌を熱唱して、ご臨終。。。何がいいたいんだ!!
とまあ、物語は「蝶々夫人」よりもさらにイタイ。でも、イリス役のAnne Sophie Duprelsが素晴らしかった。去年の「Il trittico」も素晴らしかったので期待通り。演技的にも、女の情念をはき出させたらいま一番だと思う。
彼女と合唱で大満足。演奏はもうひとつかな。
マイナーな演目だから残席ありありかと思いきや満員御礼。ここは老人と若者にタダ軒配布してるからか、オペラファンぽくない老人が目立った。