冒頭、リゴレットが段ボール箱もって出てきて、中から血の付いた白いドレスを取り出すと、物語が始まる。舞台はその段ボール箱。一部開いたりしつつも、側面のジグザグまでご丁寧に、徹底的に段ボール箱。。。絵的に美しくないしびみょーなんだが。
Olgaちゃんのジルダは素晴らしかった。会場と席がよかったせいもあるかもしれないが、ウィーンよりもさらに声が通って響き渡る。高音はほとんど完璧に声量をあげてた(まだ1,2箇所落ちるところはあったけど)。本人もウィーンよりいい出来だと言っていた。
そのジルダのおかげか、ずんぐりの良くも悪くもないリゴレットであったが、段々と悲哀がでてきて、最後にまた同じ段ボールを抱えた時は切なかった。この演出、リゴレットがもう一人いて、背後で箱をあけたり、他の人に語りかけたりしている。
惜しいのはマントバ、とくに前半は力が入りすぎてて、これじゃ「女心の歌」はでないだろうと思ったが、後半は少し力が抜けて、予想外に歌えてた。見た目もかなりいまいち。ま、前回がFlorezだったからな。AキャストはFabianoくんだったが、昨日のリアと合わせるために断念。
舞台は段ボール以外はジルダの家も、殺し屋の家も変わりなし。マントバの屋敷で段ボールの大階段が作られてたくらい。そこで白いワンピースのジルダと黒い服の男達が数人ポーズとってた。
ジルダは基本的にその白いワンピースのみ。ショールをはおることはあったが。子供と若いジルダもあと二人でてきて、リゴレットへの親しみを示す。
段ボールの背後には映像が多用され(最近のパリ演出はこの映像が多い気が)、麦わら畑を走る白いワンピースの少女とか、灰色っぽい象徴的な模様とか。
合唱隊にちょいイケメン細身発見。デコで年取ってみえるが、出待ちして出てきた時はもっよよく見えた。サインもらわなかったけど。貴族の一人としてソロもやってた。
さて、終盤。「乾杯の歌」のシーンで、段ボールの奥に劇中劇の舞台が用意されている。リゴレットがジルダを連れてきて、あいつの本性を見せてやるというと、マントバがでてきて、舞台の下からのぞき見。そこへ現れたのは、白鳥ビキニのフレンチカンカン・・・思いっきりブー出てたし、した。
そのカンカンと、黒いチューブトップのパンツ姿に帽子と杖で踊るのが殺し屋の妹マッダレーナが・・・Vesselina Kasarova!なにげにとうか、むしろノリノリ。この演出だから出てきたのね。。。でも声が・・・かつて「真珠のコロラトゥーラ」と称され、ミュンヘンのロジーナで涙した美声は、完全に消えていた。この簡単なロールの声も出ていない。そうか、あのKasarovaはもうこの世にいないのか・・・もっと聞いておけばよかった。最後にきいたのは2011年。それでも、こういう演技で出てきてくれるのは、ありがたい。
強烈なインパクトでジルダの失望がぶっとんだが、それでも愛は消えず、段ボールの扉をノックして舞台奥に消えていった。青い幕がばさっと床に落ちる。やってきたリゴレットが幕の中から何かを拾い上げる。死体が隠れてるのかと思いきや、ジルダは上手からふつーに出てきて、下手にゆっくり歩きながら最後のアリア。完璧に美しかった。新旧交代を印象づける。
Olgaちゃんジルダツアー、あとはベルリンの2公演のみ。KeenlysideとのNYを見たかったが、それはいつかまたの機会に。