でもまあJonathan Millerの名演出の久々の再演ということで、ENOへ。ミュンヘンとかロンドンでも数作品見てる:Anna Bolena, I puritani, Don Pasquale, Cosi fan tutte。とくに最後のは白い舞台がお洒落で、嫌いなオペラなのに楽しめた。
舞台が開くとこれまた白!中央は天井の高い広間で上手よりに白い丸いソファ、下手の奥は別の部屋に続いてドアがあり、上手の奥も別の部屋で暖炉に松の盆栽がのっている。家具とかドアとか硝子窓とかどれも作り込んである。遠近法で舞台を大きく見せている。
白黒ストライプのスーツ姿の細いテノールがやってきて歌う。日本の皇太子という設定だが、メイクがちょっと派手なくらいで、日本ぽくはない。名はナンキ・プー。灰色スーツの男二人と話す。台詞の時は字幕が出ないからわからん。
男コーラス隊は黒タキシード、女コーラス隊はメイド服。男女6人ずつのダンサーもいて、コミカルだけどなんかオシャレに踊る。
黒いスーツの小太りのバリトンが出てきて、なんかスピーチする。死刑執行大臣らしい。灰色の男とも話す。その他すべての大臣らしい。時事ネタも入ってたらしい。
女学校の生徒たちがなんかスポーツやりにきたのか、ラケットみたいなのもって歌う。その中の三姉妹が丸ソファーに座って歌う「Three little maids from school are we」が一番有名らしい。確かに楽しいメロディだ。
ココが婚約者ヤムヤムにキスしようとするが、彼女たちはハンサムなナンキ・プーに夢中。ナンキ・プーもヤムヤムに恋してしまった。
ココは誰かを死刑にしなければならず、失恋して自殺を考えていたナンキ・プーを死刑にすることに。交換条件としてナンキ・プーは一ヶ月間ヤムヤムを花嫁にすることに。わからからん!
休憩のち二幕。
白いドレスのヤムヤムと姉妹たち、メイドコーラス隊(アジアぽい白黒の衣装)が輪になって並んで髪をセットしながら歌う。
ナンキ・プーとラブラブだったヤムヤムだが、彼が死刑になると彼女も生きたまま埋められるときき、どんびき。いつのまにか姉妹の一人は灰色のゴルフばっかりやってる人と仲良くなっている。
黒メラドレスのおばさんが出てきて、ナンキ・プーの婚約者だと。
ココはなぜか死刑をするのが嫌になり、したことにして、二人に町を去れと。
そこへ帝がやってくる。ばーんと開いたドアから家来たちに続いて現れた帝、真っ白なスーツの巨漢!やるなあ、この演出。
死刑はやったのか、やりました、ナンキ・プーを、それ息子じゃん、な展開。ココ、灰色の男、姉妹のもう一人が土下座。でも実は死刑になってなくて、ふらりと通りかかるナンキ・プーとヤムヤムに、大団円!
カーテンコールでThree little maidsのメロディをオケが奏でたのも盛り上がった。
いやあ、予想外に楽しめたなあ。でもこれ醜い和装だったら見たくない。「マダム・バタフライ」ですら不快なのに。Jonathan Millerは正解だった。誰も傷つけないけど面白い。当時はともかく、現代の演出家はこうでなくっちゃ。
歌手のレベルがかなりいまいちだったが(とくにテノールと三人娘の一部)、この作品を他の劇場でみることはないんだろうなあ。これ以上の舞台演出は想像できないもの。