椅子の並んだ体育館に町の女たちが食べ物や飲み物を持って集まる。上手脇に硝子戸、その左にバーみたいなカウンターがあり、その左にバスケットゴール、その左のドアは奥につながりトイレのマークが描いてある。下手の舞台にアボリジニーみたいな半裸の男が登場。みんなで歌を拝聴し、手に触れてありがたがる。メゾのおばちゃん(ラゴンド夫人)もありがたがって歌う。
えっと、舞台は1200年ごろのフランスの片田舎にあるフォルムティエの城、みんなは十字軍遠征に行ったのに、行かなかったオリー伯爵は、行者に化けて城門の外に住み、人々の心の悩みを聞いて助言を与え、礼を受け取っている。まあ、だいたいそんな感じだ!おばちゃんは、自分が仕えるアデル伯爵夫人も相談に乗ってもらえたらと歌っていたらしい。オリー伯爵は、全ての人の望みを叶えよう、娘たちには結婚相手を見つけてあげよう、とか歌ってたらしい。
みなが去った後、トレンチコートのおじさんとジャンバー姿の若い男が出てくる。刑事がカルトを追っているのかと思ったが、オリー伯爵の教育係と小姓イゾリエ。。。イゾリエは、主人の居所を探ろうと教育係を説得する(アリア「絶えず気配り」)、まあ、そんな感じだ!
女たちが出てきて椅子を脇に寄せ、靴をぬぎ、水色のマットをいとおしそうに抱いてから床にひいて、ヨガをする。
教育係は行者の素性を見破ったが、イゾリエは行者に心酔し、自分は伯爵夫人に恋をしていて、巡礼の尼僧に変装して城に忍び込むつもりだと打ち明けてしまう(二重唱「さる高貴な生まれの貴婦人が」)。行者は協力すると言って出し抜く気まんまん。
上手の硝子戸の向こうに車が乗りつける!アデル伯爵夫人登場。沈みがちな気持ちを訴えると(アリア「悲しみの餌食となり」)、行者は恋をしろと。アデル伯爵夫人が小姓にしようと言うと、行者は彼は女たらしのオリー伯爵に仕えているから危険だと言う。
そこへ教育係が入ってきて行者の化けの皮をはぐ。アデル伯爵夫人もイゾリエもびっくり。
バリトンの男が奥からズボンをあげながら出てきたのは、最初から会を仕切っていたオリー伯爵の仲間ランボーか。
オリー伯爵は、十字軍が二日後に帰還するが、その前に城に侵入しようと計画を立てる(フィナーレ「まさかのこと…ああ、恐ろしいこと、悲痛の極みよ」)。これ、「ランスへの旅」と同じ曲だ!
休憩のち2幕。
高い窓が四つ並んで、椅子が二脚あるだけの居間、がスライドして、右にはベッドルームとバスルーム、左にはキッチンが現れる!無駄に作り込んでるなあ。
ラゴンド夫人はは緑のカーデガンだが、アデル伯爵夫人もコーラスの女たちもピンクのカーデガンでおそろい。オリー伯爵の噂をし、縫い物で気持ちを静めようとしている。
嵐になり、窓を閉める。城の外から悲鳴が聞こえてくる(嵐の場面「気高い女城主様、私どもの難儀をご覧ください」)。悲鳴は女巡礼団、実は尼僧に扮したオリー伯爵とその部下たち。て尼僧コスプレは物語通りだったのか!!
尼僧に化けたオリー伯爵がきて、おもむろにベットルームに移動するが、アデル伯爵夫人はトイレで用を足しながらコロラトゥーラ。。。女巡礼たちは、オリー伯爵に追われているので匿ってほしいと訴えて中に入れてもらい、女巡礼の一人が、伯爵夫人に直接礼を述べたいと言って二人きりになったらしい(二重唱「ああなんという貴方様の高徳への」)。
アデル伯爵夫人がミルクと果物をふるまうよう命じたからか、オリー伯爵はキッチンに移動。ぞろぞろ出てきた他の尼僧たちは袋を担いでいて、シャンパンを出して酒盛りを始める。ランボーはアリア「この人里はなれた」。冷蔵庫にのって歌うオリー伯爵のスカートの中が見えてるし。。。
ラゴンド夫人がミルクとスプーンを取りにやってくると、祈るふりして聖歌を歌う。どピンクのガウンのアデル伯爵夫人がやってきて冷蔵庫に何もなかった時も、祈るふりをして聖歌を歌う。ベタだ。
イゾリエがやってきて、十字軍が真夜中に帰ってくると告げる。ラゴンド夫人から、客人の「徳の高い方々」にもそれを知らせようと言うと事情を見抜く。そしてなぜかそのままアデル伯爵夫人のベットルームに行き、ズボンを脱いでベットに入り、白いタオルで頭をまく。
尼僧がやってきて、スカートを脱ぎ、ベッドに入る。寝ていたイゾリエの手をとり、、、イゾリエの手前では伯爵夫人がシーツに潜り込む(三重唱「この暗い夜に乗じて」)。歌いながら伯爵夫人がイゾリエにまたがったり。。。
そこへラッパの音が鳴り響き、迷彩服の男たちが入ってくる。十字軍の帰還か!イゾリエは正体を明かし、窓を開けて、女巡礼たちを次々と窓の外に逃がす。オリー伯爵も。というか、窓から捨てられたのかと思ってた。
十字軍が人々に迎えられ、賛美の歌が歌われる(終曲「栄光あれ、勝利した子らに」)。
これ書きながら、行者コスプレも尼僧コスプレも、物語のまんまだったのに驚きだ。むしろよく表現したと言わねばならぬ。でも下品な表現が多すぎだった。
いや、それもこれもすべて、本日の代役がいけないのだ。ミラノ一泊でスカラ座デビューは、ニューヨークでやってたのを見逃したJuan Diego Florezのオリー伯爵をみるため。7日、10日は気管支炎で降板。今日はでないとは言ってなかったので、願っていたのだが、、、劇場でプログラムをもらってColin Leeの名を目にした時の落胆。チケット高いのに、110EUR。
Colin Lee、悪くないんだけどね、ちゃんと歌えてはいるんだけど、迫力が全くない。それより見た目が太めおじさんで、腕も足もぶっといから、半裸の行者も女装の尼僧も、醜すぎてギャグになってない。この演出にはFlorezの王子ビジュアルが不可欠!せめてYijie Shiにしてくれ。。。
ソプラノは、コロラトゥーラも歌えてなくもないんだが、声が太くて、巨乳で、キャラはいい。Aleksandra Kurzak、アディーナと同じ、Laurent Pellyのお気に入りなのかな。1977年生まれのポーランド人。
後の歌手もだいたいよかったんだが、ボックス席の奥だと音が全然届かない!一階の高い席なのに。スカラ座よくないなあ。もう来たくない。けど、来年はOlga&Florezの「Otello」が入ってる。。。