2006.8.13: プラハIAU国際天文学会2

起きたら10時、昨日は2時間しか寝られなかった上に論文再投稿とか怒濤のように働いたので、目覚ましが聞こえなかった。朝食に行くと、ロビーでレジストレーション帰りのタディ先生にばったり会った。

朝食のあと、道路隔てて反対側の会場へ。見えるのに間は高速道路で渡れず、迂回して陸橋か、地下鉄の階段を通らねばならないのでちと面倒。会場に着いて無事にレジストレーション。

もうこのあとは用事がないので、プラハ城に行く!地下鉄でMalostranskaでおり、城壁に囲まれた、出店の出ている道を歩いてのぼる。やっと城に着き、振り返るとプラハの街並が美しい。ヴァルタヴァ川を狭んで広がる。屋根の色の統一感がいい。

じっと動かない二人の門番を横目に門をくぐる。通ったのは裏門で、ギリシャっぽい二体の彫刻に飾られた有名な正門(Matyasova brana / Matthias' Gate)は反対側にあった。西側の教会の方へ、石畳の通りをずんずん歩く。そこで高木さんにばったり会った。

プラハには観光客がめちゃめちゃ多くて、城の一角ではそこにいる99%が観光客。イタリア人、フランス人、それに日本人、韓国人。中庭もぎっしり人だかりで、チケット買うのもすごい行列、教会に入るのも行列、あまりに人の多さに、塔にのぼるのは断念した。

建物は古くていいけれど、外壁や柱も綺麗だけれど、中には装飾がほとんどない。壁画など傷む物は補修もされていないし、飾り物もない。城の中は見る価値はあまりなかった (350Kr)。


裏門

正門

大広間

礼拝堂

王座

家系図

ゴシックの Katedrala sv. Vita 聖ヴィート大聖堂 (1344-1929)、門の柱とか、もうちょっと細い方がいいんだよなあ、全体的にちょっと大味。南側の装飾は金ピカでよかった。

聖ヴィート大聖堂

内部、祭壇(写真右端)はちょっと手前にあって、奥にもぐるっと礼拝堂が続く。マリア像、三博士、受胎告知など、各祭壇の彫刻はなかなかよかったが、絵画やフレスコ画はいまいちで、ステンドグラスは新しかった。地下クリプトにはボヘミア王家の墓がある。

祭壇の右手、赤いカーテンの下にどーんと銀色の、聖人の彫刻(写真左から1番目)。目玉っぽいWenceslas礼拝堂?(2番目)もまあまあ。フレスコ画で埋めつくされているようだが。いかんせん中に入れてくれないからわからん。有名なミュシャのステンドグラス(5番目)は絵画的でたしかによかった。

ロマネスクの Klaster sv. Jiri 聖イジー教会 (920創建, 12c再建)、ファザードは思いっきりバロック(17c)。二本の尖塔が白いのがヘン。再建なんだろうなあ。

聖イジー教会

内部、木組みの天井、身廊は高めで、新しめのロマネスクだろう。三位一体を表す正面の三つの窓もでかく、明るい。空間全体の感じはなかなか美しくてよいではないか。

こういう、ロマネスクの教会にたまにある、後陣が二階建なのはなんだろう。手前の祭壇(や天蓋)の左右から階段がかかり、二階にまた祭壇があるという。この形式が私は最も美しいと思う。天井画の傷みが激しいのが残念。右奥の礼拝堂の天井フレスコは綺麗そうで目玉っぽいが、入れない。

入口付近の礼拝堂の装飾はめっちゃバロック。祭壇画にうねうね柱もかかってるし。ここにきてまともな天井画をようやくみた。

礼拝堂

隣の修道院はギャラリーになっていて、絵とか彫刻とかいっぱい見た。ステンドグラス一枚一枚、彫刻一つ一つ、写真とってた今までとはうって変わって、全く興味を示さずさくさく歩く私。

美術作品そのものにはいまだ興味がもてない。教会という空間に配置した総合芸術にははまっているが。だから私が見ているものは「空気」なんだと思う。美術館にはそれがない。海を離れた水槽の熱帯魚、高感度カメラのオーロラ映像、編集された演劇DVD、みたいなもの。それでも出来のいいものは形態を選ばないこともわかってはいるが。

今夜はこの教会でコンサートがあるらしく、入口でチケットを売っていた。どうしようかと立ち止まると、頼んでもいないのにチケットをどんどん値切られた。・・・コンサートのチケットってディスカウントするものなのか? そうするとクオリティが信用できなくなり、興味が全くなくなった。

資本主義社会では、金額が定まることによって価値が保証される気がするものなの、こいつらはその前提を全くわかっていない。きみたち、そんなんじゃユーロには入れないよー。

Golden Laneとかいう一角。黄金?? カラフルな二階建ての古い小さな家が立ち並ぶ。カフカの泊まった水色の家とか。でも、東京のラッシュアワー並の混雑で身動きがとれず、なにがなにやら。

Golden Lane

城のある高台からの急斜面、南側は庭になっていて、そこで休み休み降りる。人が少なくてほっとする。城壁が望めるし、果物がなってたり、噴水があったり、野外劇場があったり、なかなか楽しかった (50Kr)。

もう薄暗くなってきたが、有名なカレル橋だけ見に行こう。その前に、城から見えてたバロック屋根の sv. Mikulase 教会に行ったが、時間が遅くて、中には入れず。写真左側のもう一つの教会 Panny Marie Vitezne (Our Lady of Victory) も初期バロックでいいらしい。

sv. Mikulase 教会

カレル橋を渡る。西端の塔は低めでロマネスク(12c)、東端の塔は高くてゴシック(1380)。どちらも武骨。橋の上には装飾品の出店がでていたり、絵画が売られていたり。欄干には聖人の像が両側に15体ずつ並ぶ。日本にキリスト教を伝えたフランシスコ・ザビエルさんも東洋人に担がれている。ここも人が異常に多くて辟易。

西塔、東塔

振り返ると、西の高台にはプラハ城がそびえている。大聖堂部分はかっこいいが、かなり離れてこの二本の白い尖塔があるのがマヌケ。橋からの川岸の眺めはまあまあ。曇ってもう夕方だからかも。

南の黒く大きな建物は国民劇場。18cにチョコ語の劇場として寄付で建てられた。

国民劇場 (1868-81 ネオ・ルネサンス)

橋を渡り終えたところで、広場 (Krizovnicke namesti / the Knights of the Cross) に面した教会を二つほどのそく。ミサとかやってる現行の教会だからか、それなりに装飾もあったが、写真はとらせてもらえなかった。手前にある黒い像は sv. Vaclav (St. Wenceslas)。今日はこれでおしまい。

St. Francis 教会、Salvator 教会


目次に戻る  次の日記に行く