2006.7.14: リヨン研究会6

ここにきて初のちょい遅刻。Abundanceの人で、しってる話だからまあいいか。その後もしってる話ばかり・・・。コリン先生のまとめトークで、12時頃にセッション終了。

今日は午前中だけだし、パソコンを持ってこなくてもよかったのに、韓国人が「お前のトークはよかったが、聞きたいことがあるので、明日ラップトップを前にして話そう」といってきたので、断れなかった。ったく図々しいんだよ、こいつら。ひとしきり質問に答えた後に「お前のやろうとしていることは、自分はいいと思う、がんばれ」。あんたに言われてもね(爆)

本日の仕事終了。あとは他の人々にお別れのご挨拶。研究会ではこれがなにげに重要なイベントである。いくらさっさと観光にいきたくても、これを怠ってはならない。

1時、さーて、かんこーう。ホテルに行って荷物を置いて、今日は一眼レフのカメラも装備して、出発!

Bellcourで乗り換え、Vleux Lyonからケーブルカーに乗り、めざすは、いつも下界から見上げていた、あの美しき白き城、Fourviere大聖堂 (1872-1896)!

2時、駅を降りると、どーん。二本の円筒に、アーチの玄関。これは、、、何様式??

中に入ると、うひゃー。でかい!金ピカ!モザイク!ステンドグラス!!

Fourviere大聖堂

身廊は高く、ステンドグラスの色は薄めなので、結構明るい。至る所に彫刻が施され、非常に手が込んでいる。まさにリヨン市民の財力を結集した感じ。

内装はマリアづくし。祭壇(写真左)も絵もモザイクもステンドグラスもぜーんぶマリア。後部正面の絵(写真右)は、聖女がコレラから町を守る、の図。


後:キリストの母マリア

中央:聖霊の妻マリア

前:神の娘マリア

左後:太祖の女王マリア
左後:無原罪懐胎説の宣言

右後:預言者の女王マリア
右後:St.Pothinのリヨン到着

左中:殉教者の女王マリア
左中:レパントの戦い

右中:告白者の女王マリア
右中:ジャンヌ・ダルク

左前:天使の女王マリア
左前:エフェソスの宗教会議

右前:使徒の女王マリア
右前:ルイXIIIの誓い

右側廊の階段から大理石の踊り場をすぎて地下室におりる。天井が低く、ロマネスク風だが、柱が違って飾りまくり。天井が黄色いのはちょっと。祭壇の天井のモザイクもデザインがいまいち。

陶器のマリア像、聖人のモザイク画、などなど、周囲に新しめの美術作品が並んでいる。全体的になんかグロい、決してグロいデザインではないのだが。

地下室クリプト

すっげえなあ、と小一時間すわっていた。地下室と礼拝堂をみて、一旦、外に出て、展望台からの景色を眺めた。外壁を一周して、また中に戻って、堪能する。・・・

19世紀のだから、新しいのだな。豪華だが、神聖さはあまりない。

飾り立てられていなくても、古いロマネスクの修道院の回廊に宿る神聖さ。ゴシックのステンドグラスの深い色。ロココの天井画の淡い色。それに比べてしまうと。

最初は本当に驚いたのだがなあ。2時間もいるとボロが出る。だがすごいことはすごい。

展望台からの眺めもなかなか。ソーヌ川の表岸に、右から、St.Jean教会、なんか塔、Saint Nizier教会、オペラ座、などが見えている。まあ、フィレンツェなどには敵わないが。

4時、ケーブルカーで降りる。まだ教会を見られる時間なので急ごう。St. Jean教会は一瞬入って一眼レフで写真とっただけ。

そこから旧市街の北の方へ、St. Paul 教会までの、一番美しいといわれるあたりを歩く。いわゆる目抜き通りで、いい感じのレストランやブティックが立ち並び、人があふれ、華やかである。が、教会の時間があるので寄り道はできない。暑いのでカシスアイスを食べながら歩く。研究会の人に何人か会った。

ふいに道が途切れて駅に出た。バスのロータリーをつっきると、見えてきた尖塔がSt. Paul 教会。

ちょうど結婚式が終わったところのようで、出口にはまだ人がいたが、扉は開いていたのですすっと中に入れてもらう。

教会は古く、絵画もいい感じだが、ステンドグラスは新しい。主に宗教画で、いろいろなタッチのものが混在している。バラ窓も新しく、色がテラテラしている。教会としてはいまいちだった。

St. Paul 教会

ステンドグラス:後方正面、右翼、左翼、側廊

そこからまた旧市街を歩いてSt. Jean教会をすぎ、Vleux Lyon駅へ戻る。来たのよりも一本西側の、丘を背にした建物が立ち並ぶ、さらに狭い通りを歩く。

建物のすぐ後ろは丘で、建物の間の路地には急な階段がのび、建物の中にも、通路のようなものがあったり、これが観光名所らしい。

黄土色の古い建物がずっと続き、ルネサンスやゴシック風の装飾のついた建物も多い。しかしところどころ雰囲気が悪く、窓ガラスがなく配管がちらかって廃墟のようだったり、ジャンキーな落書きがあったり、大音響のテクノ音楽が流れてきたり、壊れた窓枠にまたがった若者がひやかしの声をかけてきたり。

これがなければいいのになあ。せっかくの世界遺産なのにもったいない。ドイツだったら法律で淘汰されているところだ。イタリアの小さな町や、ドイツの古都を歩いてる方が、楽しいな。

旧市街

5時、さっきとは違うケーブルカーに乗り、古代ローマ時代の劇場へ。紀元前43年に建設されたらしい。

そういえばローマ劇場ってまだ見たことないなあ。ローマの遺跡がそもそもない。たのしみたのしみ。

駅を降りて地上にあがる。とくに何もない。道の向こうに Fourviere大聖堂がみえる。左側は公園で、巨大な石がごろごろ転がっている。

左に現れた門をくぐり、敷地内に入る。道をがんがん進むと、階段に突き当たり、上がる。がんがん歩いて、登り切ったところで振り返る。ここからもリヨンの町並みが美しい。

ローマ劇場どれー?この階段?脇の石の壁?

階段の途中から壁の上をつたって歩き、行き当たって下をのぞき込む。

あ。円形劇場。いや、半円形劇場。ローマだから。

おおー。まさによく絵でみる形をしているなあ。かなりでかい。階段の一番下のあたりに舞台があった。そこから半円形に階段状の客席が広がる。

なぜそれまで気づかなかったかというと、今夜はここで何かイベントがあるらしく、テントが張られて舞台裏がすっかり隠されていたからである。舞台にも屋根と黒い幕が張られ、照明が吊されている。ピンクのジャンバーを着た係員が動き回っている。まだ準備中なので入れたみたいだ。

階段の客席にちょっと腰かけて思いをはせる。こんなとこでギリシャ劇とかやってたのかあ。そりゃ重厚だろうなあ。あ、いや、ローマ劇か。ギリシャ時代より演劇的になったので、参加型の円形ではなく、相対型の半円形になったらしい。

小雨がふってきたので移動する。ここには大小二つのローマ劇場があるので、右手にある小さい方もみておく。そこにはステージはセットされていなくて、観光客の若者がおどけて歌っていた。

ローマ劇場

6時になると、イベントが始まるからと追い出された。まだ明るいので、もう一度オペラ座の広場にいくか。

今日はフランスの祝日で、今夜は花火があるらしく、町にもお祭り気分が満ちている。広場では若者が、おそらくワールドカップの時に使えなかった爆竹を、ばんばん鳴らしていてこわい。いきなり足下でバン!とか鳴るからおちおち歩いていいられない。そこはあぶないので、市庁舎の方に回って、テロー広場を見に行く。

バルトルディの泉がある。地面に並んだ黒い正方形も全部小さな噴水でおしゃれだ。夜はライトアップされるらしい。市庁舎は工事中で残念。カフェでジャズのグループが演奏している。ここもなんかお祭り気分だ。

テロー広場

オペラ座横の広場に戻り、端をこそっと歩いて、ローヌ川に出る。こちらの眺めは特に何もない。

いったんホテルに戻り、8時集合で夕食。待ちあわせ場所がわからずうろうろしていたら和田さんが拾ってくれた。なんとなくフレンチ以外のものを食べようという雰囲気になってしまい、Bellcour 広場をすぎ、橋を渡って、また旧市街。選択肢はあまりなくて、入った店はハンガリー料理。野菜グラーシュ、ハンガリーワイン、チョコケーキ。味はいまいちだった。

10時、祝日イベントで、大聖堂のある丘の上に花火があがるというので、皆で見に行く。橋のあたりはすごい人だかり。人混みだったからか、韓国人は花火を見ずにさっさと帰ってしまった。もののあわれのわからん奴だ。

じきに花火がはじまり、大聖堂が真っ赤に染まる。花火は日本のものに勝るものはないのだが、予想以上に本数も多く(300本くらい?)、結構よかった。橋や観光船もライトアップされていて、夜景も綺麗だった。

人混みをかきわけて橋を渡り、ホテルに戻る。またイタリア人らが送ってくれる。

帰り道で、この研究会で初めて会って仲良くなったコリン先生が、

「バーにいって、いいフランス男を探そうか、そしてサイモン先生に、チアキは故あってミュンヘンには戻りません、と手紙を書こう」

初対面なのにもうそういうキャラですかわたしは。


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