中肉中背の中年男(Stéphane Degout)が何か歌う、うまい。黒ドレスの巨体ソプラノ(Catherine Hunold)が何か歌う、さらにうまい。この劇場は仏独字幕なのだった。。。話がわからん。
王が死んでまって、元妻(ピンクワンピ)と元部下(ベージュスーツ)がくっついた。とかいう説明がなされてるはず。
休憩!これだけ?微妙な拍手が流れる。
上手側は真っ黒な世界。回転舞台がまわると美しい風景画が現れ、実際の乙女が後ろ向きで佇んでいる!
でもそれは路地のような細い空間で王も入ったがすぐ出てきた。
そのまま回転すると裏側は真っ白な世界。白い下着姿の元彼と背の高い黒スーツ元部下が抱き合う。
回転して黒の世界、床いっぱいの花を女たちが拾う。
白の世界、彼女の元に王がやってきて驚く。語るうちにキスしそうになるが、彼女は受け入れず。このソプラノ(Antoinette Dennefeld)!美人で深く伸びる声、どこで探してくるんだ。
黒の世界、黒い椅子がずらりと並び、女の合唱団が歌う。最後に数人がばたりと倒れた。
裏では男の合唱団が王を責めて、部下に感謝する。王はまた殺された。
すごいテンションで幕。すごいブラボーいってるおじさんがいた。終わりかと思ったら休憩。
三幕、王は下手前面で倒れていて、四人の女神、合唱団、俳優陣がずらりと並ぶ。色とりどりの衣装。元妻と元部下のソリストはいない、代わりの俳優がいるから。女神は、Suffering王を抱き抱えるパンツ姿の黒人、Kindness黒膝丈ドレスの太め、Truth黒ロングドレスの巨体、Beaufy花もった女。
合唱団ははけて王が起き上がり、上手前面に移動してまた死亡。花の女が赤いバラをたむける。背後の真っ黒な壁は満点の星空になっていた。
仏作曲家アルベリク・マニャール(1865-1914)、ワーグナーも入った、でもそれより優雅な、ドラマチックな音楽。第一次世界大戦時にドイツ兵に殺され家から焼死体が発見されたと。このオペラも出版前で原稿が焼失。後の人が記憶を頼りに再現した。
あとであらすじ読むと、なんて哲学的な物語。死後、世界は変わっているから、生き返って何かしようとしても、また死ぬだけ。
Loy作品は芸術の域に達した。
「Francesca da Rimini」で味をしめたのかクロード・ロラン的な巨大な風景画を、でも回転舞台でちら見せしかしない、これで天国と現実世界の境界が明確になり、ものすごい緊張感がでる。美しい風景は地上であっても天上のように美しいもの。
歌手は聞いたことない人ばかりだが、どこで見つけてくるんだってくらい、みなキャラも合って歌も素晴らしい。どこも完璧。
カーテンコールで指揮者は赤い楽譜を掲げてLoyと並び、この難しい演目を二人で作り上げたことが想像される。見られてよかった。