2018.7.25: Verdi "La traviata"

完売でSucheも競争率高かったが、日本人が立ち見席を売ってくれた。そのそばの座席が空いてて、結局、ずっと座ってみられた。ラッキー!

リングの合間に軽くヴェルディのつもりが・・・最近、歌ってないので代役の噂もあったのだが、Diana Damrauがやってくれた!ノーマークだったが、イケメン髭テノールもパパジェルモンもよい出来で。合唱も演奏も、この演目なら練習なしでいけるのね。

1幕後半こそ高音をごまかしているところがあって、ああ、ルチアやらない宣言も高音でなくなったからか、と思っていたのだが。若造をたぶらかすおばちゃんの貫禄は最初から十分で、パリの家、再びの社交界とどんどんよくなる。

3幕は布団の寝たきりで完唱。この動かない演出が彼女に合っている。最近とみに、演技に入り込むと歌が馬になる傾向があるので。

死ぬ直前にハイになってまた素晴らしく歌い、紗幕の向こうの豪華なシャンデリアの真下でご臨終。冒頭から敷き詰められた秋の落ち葉が片付けられていたのはそのためだったね、と呆然と思っていた。

私は泣かなかったけどね!Damrau本人の素直な性格もあり、自信たっぷりのおばちゃんには泣けまへん。いやそういう物語でDamrauは理想通りに演じていたわけだけれども。

テノールは太めの声で私の好みではないが普通にうまかった。ただの髭面かと思ってたが、出待ちしたらすごいイケメンで思わす写真撮影。パパジェルモンも2幕は感情表現がいまいちだと思ったが、プロヴァンスの歌はうまかった。

2003年に人生で最初に能動的にみたオペラがこの「椿姫」でこの演出だった。きらびやかで圧倒されたが、いま見ると暗く物足りなく感じる。演出が崩れてきているからか?冒頭の緑のグラスも鮮やかには感じられないし、落ち葉もブランコも暗く、2幕後半のトランプのマジックもつまらない。

あとはロンドンのRichard Eyre演出が好きすぎて。この演出では最後のヴィオレッタの歌の時にアルフレードが紗幕の向こうで父と泣いているので、実際はもう死んでいるという解釈なのであろう。ロンドンでひらひら舞いながら歌うのはまだ死んでない、その奇跡をアルフレードも見ている。それはきっとその後の彼の人生に重くのしかかるであろう。そういう残酷さが大好き。

STAFF & CAST


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