2018.4.29, 5.6: Arrigo Boito "Mefistofele"

舞台の両脇に金属の櫓がある黒い舞台。手前の中央下手寄りに「OPEN」の赤い電飾。よく見ると、数人の悪魔?たちがソファーに座っている。サングラスをした紫のスーツの男が中央にいる。Schrottか?

指揮者がでてくると、音楽が始まる前に悪魔たちが動き出す。DEATH NOTEみたいだ、ミサミサみたいなのがいる!紫スーツのメフィストフェレが舞台手前にある蓄音機にレコードを置くと音楽が始まる。

悪魔たちは光る緑のグラスで乾杯。悪魔たちが倒れていたスクリーンを持ち上げると乗っていた石がごろごろと落ちる。スクリーンには眼鏡の男が写った後、高層ビルと航空機・・・いやーな感じ。

中央の奈落から白いシャツの男が発掘される。ファウスト博士であった。舞台上のカメラがそれをスクリーンに映し出す。ちょっとCastorfリングみたい。

メフィストフェレが魂を奪うと言って、神にやってみろとか言われた、はず。英語字幕あるのだが、詩が単純じゃないのでよくわからん。音楽も微妙。悪魔たちがファウストの胸に血で「REVE」と書いた。夢?ファウストがスクリーンを倒す。

小休止のち1幕。ビール片手に色とりどりの衣装をきた合唱団が奥からわらわら出てきて、奥で回転ブランコがダンサー乗せてぐるぐる回る!Oktoberfestらしい。Schrottがハートチョコもってきて、ファウストの半ズボンの友達ワーグナーの首にかける。・・・ロザリオ!?

ワーグナー去り、合唱団も退場。Schrottがソファーでファウストを説得する。悪魔たちが舞台手前上手寄りにあったカバーをはずすとバイクがあり、わざわざ扇風機も持ってくる。ファウストに黒いロングコートを着せ、Schrottがヒャッホーと運転するバイクに乗り、どこかへ移動。映像ではビルがぐるぐるまわる。

小休止のち2幕。舞台はがらんと開いて中央にダイニングテーブルがあるのみ。桜みたいな電飾が天井から降りてきて、ファウストがマルゲリータと食事をする。上手手前でSchrottが別の女をバイクに横たわらせ、下着を脱がせて燃やして捨てたり。。。これ母マルタ!?

二人の会話から信心深いマルゲリータに対し、真理を追究するファウストの対比が明らかになったところで、Schrottがテーブルに火をつけて倒す。マルゲリータは床に転がされ、人々に囲まれ、下腹部が血に染まっていた。。。

奥から松明を持ったダンサーがうごめいている。続いて黒い悪魔風の合唱団も出てくる。舞台は三段に分かれていて、両脇の金属櫓で上下に動くのだ!予想外の展開をする音楽にもだいぶ慣れて、なんだかすごいテンションあがる!!山の頂での悪魔の狂宴「ワルプルギスの夜」であった。ファウストは中央の椅子に座らせられシートベルト着用。Schrottは舞台手前の動かないソファーでそれを眺めている。ガラスの地球儀どこ?

休憩のち3幕。髪をおろしたマルゲリータが一人、上手奥に墓がある。子供を溺死させた、母を毒殺したと、投獄されたらしい。。。片足のない熊のぬいぐるみを抱いている。ファウストが来て助けようとするが、神に身を委ねると。Schrottが茶茶を入れる。ファウストは奈落に落ちるマルゲリータに手を伸ばすだけ。

ここのアリアは普通によかった。Carmen Giannattasio、ロンドンで聞くといつも物足りないのだが、ミュンヘンで聞くと普通にうまい。それより華奢な体に不釣り合いな巨大な胸が気になって仕方がない。

小休止のち4幕。舞台では発掘作業が行われている。茶色の石みたいなのを取り出し白衣の男たちに渡す。。。Ralph Fiennes主演の「Richard III」みたいだ。

続いて出てきた合唱団はみな白っぽい寝間着をきていて、、、老人ホーム?介護士の女が助手の女と重唱、この歌はいい。二人の男の医者とも合唱。老人メイクのファウストがその介護士の女と恋に落ち、両思いになって、女は介護服を脱ぎ捨てる。Schrottがお前待てよと言っていて、私も言いたい。エピローグとの切れ目わからず、これで終わり?

老人たちがオレンジのゴムボールで遊んでいて、Schrottも床にはじいていたので、これがガラスの地球儀か?と二回みて気づいた。

最後にファウストがハープを抱えているのが、悪魔の蓄音機と対になっている。悪魔はレコードを叩き壊した。生演奏が勝ったということで。

えーっと、介護士は、原作の第二部にあるところのトロイアのヘレナだったのね。まじですか。その後の冒険談は削られた5幕にあったのかな?

2015年の極端な読み替え演出。それでも2幕、3幕はよくて期待したのに4幕が。。。初演はRene Papeだったらしい。その方がよさそう。

悪魔のテーマ曲どこ?(それはグノー)ずっとSchrottて書いてるけどそんな感じだった。声量はもともとあるし、演技もいい。TerfelとかPapeのマッドな感じはないんだよなあ。

兄どこ?(それもグノー)4幕をやるためにマルゲリータの悲劇を削ったのね。冒頭の友達はなんだったんだろう。そういう名前の友達を出したかっただけだろうか。。。

Joseph Callejaは芝居できないとか高音が不安定とか不評だったけど、私はそんなに嫌いじゃない。声がキラキラしてるから。先日のマクダフの方がよかった。短いから全力投球できたのかな。この演出ではファウストが舞台の奈落に手を伸ばすシーンが二度あるのだが、彼自身が絶望してくれるときっと感動的なんだとなあ。

ヴェルディの台本作家アリゴ・ボイトの唯一の成功作。初演の5幕構成は不評だったが。ワグナリアンでヴェルディ批判してたのに、ワグナーから手紙もらって反抗して後にヴェルディの台本作家になるって、どんだけ節奏ないんだ。音楽がいちいち予想外の展開をするので気持ちよくなかった。もう一回みれば慣れるかな?

グノーとベルリオーズに比べて、ゲーテの2部までやろうとしたのが斬新らしい。後で話した音楽評論家の人が4幕は「オラトリオ的」だと言っていたのはどういう意味かな?叙事的ってことかしらん。

 * * *

二回目はSchrottがノリノリで、煙草くわえて不適にガハガハ笑う姿にやられた。Rene Papeの方がいいと言ったの撤回。この役のこの演出はあなたがやるためにあった。声量はあるけど早口が歌えないという難点があるが、このロールは彼にもあっている。

音楽も慣れたらよいではないか!私はCDはできるだけ聞かない主義なので、まだ一回しか聞いたことがないのだが、舞台で見ると脳裏に焼き付くんだよなあ、二回目では展開に驚くことは一度もなかった。

STAFF & CAST


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