舞台は、ペットボトルが積まれて壁のようになっている。象徴的演出。爺テノールが二人出てきて歌う。細かい柄のアートっぽい衣装。イタリア語字幕では誰が誰だが全くわからない。
また客席から合唱団が水のボトルを担いで歌い、舞台にあがり、壁にさらに積み上げる。舞台の両脇はスロープになっていて客席とつながっている。客席脇にテレビがあり指揮者が映し出されていたのはこのためだった、指揮がアバドの甥のRoberto Abbadoだからではなく。
女が出てきて、なんか歌う。声はすごい出ている。アリア、合唱、アリア、合唱のルーチン。
舞台両脇の幕をはずすと、アートっぽい肖像画。半裸でゲイっぽく見えるのもある。似たような衣装に赤い半被を着たバリトンがなんか歌う。その下僕Omarもバリトン。
テノールチームとバリトンチームの戦いなのか?どっちがギリシャ?
女がバリトンと会い、なんか言い合い。全くわからないまま、客席脇にも肖像画が数枚飾られて、休憩。
手持ちのあらすじで人物確認。ロール表くらいは確認しておかないといかんかった。テノールはコリントの総督クレオメーヌ、女はその娘バミラで、もう一人の若干若いテノールがネオクレスが隊長で花婿候補。でもパミラはアテネで会った男を愛していて、その男は実は赤い半被のマオメ二世で、トルコ軍。マオメ二世はパミラとの結婚を条件に和平を提案したが、クレオメーヌは拒絶しパミラを罵倒する。
2幕。ペットボトルの壁の形が変わって、仮屋みたいになっている。下手よりに腕を組んで輪になった人々がいる。
軟禁状態のパミラがもう一人の女と嘆く。その背の高いメゾIsmeneは去年のザイダ、Cecilia Molinari。よかったと思ったが、あんまり声が出てない。他が出すぎているからか?オケも大きいし。
フランス仕様のグランドオペラなので、バレエ音楽あり。でもダンスもなにもない!へんなアートにお金かけるならバレエやってよー。
マオメ二世きてしばし合唱。終盤になってようやく若い方のテノールが救出にくるも、マオメ二世に見つかり、パミラは兄だと嘘をつく。結婚して和平を断り、テノールと逃げてしまった。
休憩のち3幕。上手よりに舞台の下から数人分の足だけが出ている。中央に枯れ花をはりつけた絵画パネル・・・墓地?テノールが嘆いて歌う。もう一人、家来のテノールAdrasteがいて、若く、声がいい(去年の新人公演のBelfiore、よくないって書いてあるけど)。
突如、舞台後方にバスHierosが現れ、神官か何かか、鼓舞して歌う。トルコ軍との全面戦争?
マオメ二世と家来がやってくると、ペットボトルの壁がガラガラと崩れ落ちる。驚いている間にパミラと再会するが、パミラは剣を胸に突きつけて自害!!
人物確認する時に誤って最後の行に自害の字をみてしまったのだが、誰がやるのかは見なかったので、最後までドキドキして見ることができた。
カーテンコールで合唱団はオケの前に並んでいた。舞台に急な斜面がついていて実は場所が狭いから?昨日と同じオケ縁も舞台の一部になっていたが、あまり活用されていなかった。
歌手はみなすごい声でてる。パミラは「泥棒かささぎ」でもミュンヘンのトルコでも嫌いだった。声量あるが張り上げてばかりでロッシーニに聞こえない。他の歌手もみんなそんな感じ。
男はみんな初見。Luca Pisaroni (1975 伊)、ザルツとかで歌ってる。John Irvin (米)、爺じゃなかった、シカゴとかメトとか。Sergey Romanovsky (露)、ロンドンデビュー済み。
元々イタリアで評判よくなかった「マホメ二世」をフランス化しただけの駄作に、アートばかりの無駄使い演出だと思っていたが、、、最後のボトル崩れ落ちが衝撃で一気にぶっとんだ。コリントが火に包まれる場面だったのだが。ギリシャは水の国、それが崩れ落ちるのには、カタルシスがあった!!!
その後、気になってフランスのオペラの歴史を調べてしまった。イタリアで生まれたオペラがフランスにやってきて、似たようなバロックやってたが、18世紀終盤にドイツ人(Gluck)がグランドオペラを提唱。その後もイタリア、ドイツ(Meyerbeer)からの移民が活躍していたが、19世に入ってBerliozの誕生となる。同時期にドイツはナショナリズムからワーグナーに至るんだよなあ。