2017.7.19: Andre Tchaikowsky "The Merchant of Venice"

WNO旅公演。あのロシア人ではなく、ユダヤ系ポーランド人の1982年作で、イギリス初演。

冒頭、巨大な月を背景に二人の男が会話。字幕みて驚いたのだが、アントニオがカウンターテナー。。。

その後は何もない舞台で両側に作り込んだ厚い壁がある。壁は場面ごとに回転し、ジェシカはその上から恋人と会話する。

小休止のち2幕。ポーシャの家。舞台を樹木迷路が占拠していて、奥に金と銀と鋼の箱が置いてあり、さらにその奥に映像で迷路の俯瞰が映っている。その手前のリクライニングチェアにポーシャと女中が横になっている。迷路は上階からみた方が綺麗かも。

どっかの王子が二人きて、金と銀の箱を選んでサヨナラ。続いてきたバッサーリオは迷路を通りながら鋼を選んで彼女の心をゲット。でも白の変な服の伝令がきて、アントニオの船が難破したので、シャイロックに借りた金が返せないー。

休憩のち3幕。壁を動かして閉ざされた裁判所ができる。上手にアントニオ、下手にシャイロックが座る。中央の公爵が若い裁判官を招き入れる。変装したポーシャと女中。

原作通りのプロットで、1ポンドの肉はやるが血は一滴もやらない、元金の二倍返しもさっき断ったからだめ、じゃあ元金だけでもと言ったがそれもだめ、判断は公爵に委ねられたが、じゃあ財産の半分はアントニオに、ってひでえな、お前ら。アントニオはアントニオで、いやお前は今日からクリスチャンね、てさらにひどい。ここはギャグにしないと。。。

全幕通じてジュージュー言いまくってたのも。。。オペラの方がダメージが大きい。最後シャイロックは自分でしいた白いシーツにくるまってうずくまる。それを無視してポーシャと女中がバッサーリオとその友人から指輪を奪う。

場面かわって、ポーシャの家。先の箱が横になって置かれている。巨大な月が降り、青く光る。ジェシカとロレンツォがおいかけっこ。背後でシャイロックがよろよろ歩き箱を除く。箱の一つには火が燃えていて、もう一つは水か?

ポーシャらが帰ってきて、ジェシカらにでかけていたことを口止めする。バッサーリオらが戻り、指輪はどうしたの、実は私たちでした〜、で幕。シャイロックはガン無視。。。

微妙な拍手だったなー。途中で帰った人もいた。シャイロックとジェシカが黒人歌手だったのも余計。。。

月は綺麗だし、セット少ないけどKeith Warnerの舞台はさすがだった。5本みてるが、やっぱりこの人は演劇的にするとうまい。オテロみたいに舞台にお金かけちゃうとダメだけど。

問題は音楽だ。途中で録音みたいな音もあった。ほとんど歌になってるが、重要な台詞だけ台詞になる。メリハリがなく、ずっと退屈。物語はこんなに面白いのに。

アントニオがカウンターテナーなのが、原作にない要素を足しているような。バサーリオに対する「I love you, do you love me?」が別の意味に聞こえる。だから自分の肉をかけてでもお金作ってあげたのね。ってそんなのいらない。

STAFF & CAST


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