2017.3.25: Wagner "Die Meistersinger von Nuernberg"

契約延長せずにデンマークに帰るKasper Holtenのロンドン最後の作品。前演出もそんな悪くないけど、また自分のやりたいものだけやる芸術監督。

中央に扉と階段のある、濃い色の木材で囲われた部屋。ゴシックみたいに細い木が縦方向に並んでいる。

革ジャン姿の小太りでガタイのいい男が、ワンピース姿のエーファをみつけ、ロングストレートヘアに黒長ワンピの侍女マグダレーネから素性を聞く。その背後で数人の召使いたちがテーブルを並べ、食器を並べ、ディナーの準備をしている。

中央階段から親方たちが着飾った夫人とともに現れ、夫人たちは手をふって別室へ、親方たちは降りてきて席につく。ポーグナーが娘を歌合戦の賞品に出すことを宣言し、階段の上に現れた優勝杯を模した椅子にドレス姿のエーファが鎮座する。彼女を狙うベックメッサーが他の親方に取り入ろうとする。

ヴァルターが呼ばれてちょっと歌い、規則から外れていてひんしゅくをかうが、靴屋ザックスがかばい、騒然としたところで、背後の優勝杯の椅子が回ったよ!!

舞台はドイツのニュルンベルク市民でなく、イギリスぽい紳士クラブかぁ。椅子が回ったのは意外でよかった。あの装置にいくらお金かけたんだろ。。。優勝杯は冒頭で召使い達が丹念に雑巾がけしてて、大聖堂を雑巾がけしてたGraham Vick演出(1993)を踏襲する。

休憩で食事のち二幕。舞台は変わらず、家具が変わって、簡素なテーブルと椅子にザックスが座っている。靴屋の感じは机の上にのった金属の機械にわずかにあるだけ。さすがBryn Terfelの存在感。

マグダレーネが差し入れ持ってきてザックスの徒弟ダーヴィット(小太り)と話し、上手でエーファが父親と話したのち、エーファがザックスの元を訪れる。自分に気があるのをわかった演出で、小悪魔的にザックスにヴァルターのことを頼む。でも聞いてくれないので、作ってもらった靴を投げつけたり。

上手にあるエーファの家でベックメッサーがストーキングする間、上手の木枠の一部が中央にスライドして、下手から同様にスライドしてきた部分にいたヴァルターと合体。二人は駆け落ちしようとしたが、ザックスがヴァルターを連れ帰った。

同時に、明日のパーティのため仮装した人々がわらわら出てきて、ベックメッサーがおもむろにボコボコにされて、じゃん!

この「じゃん」がこのオペラの一番の聞き所だと思うのだが、Pappano先生はちょーっと早かったかな。ボコられるのは家の前で歌って近所迷惑だからかと思ってたが、単に不運なだけだったのね。

休憩で食事続きのち3幕。

木の家が回転して裏側、舞台衣装ラックや水タンクが並ぶ舞台裏。ザックスがヴァルターの夢を手帳に書き留める。

ベックメッサーが衣装を試着した後、手帳をみつけ、ザックスにみつかるが、持って行っていいというので持ち帰る。

エーファもきて、ヴァルターとザックスと歌合戦の会場へ。舞台が回るよ〜

表舞台は変わってるのかと思ったらそうでもない。中央階段を親方達が行進してくる。ドイツ色をなくしているので、派手ではあるが、やっぱり盛り上がらない。

中央に低めの台。ベックメッサーの失敗のあと、ヴァルターの歌はよかった。無名のウェールズ人Gwyn Hughes Jones。(WNOのリゴレットのマントバでみてた)

で、マイスターの称号を与えられることになり、最初は断ったが、説得されて受け取る。と、中央階段の上でそれを見守っていたエーファが、背を向けて去ろうとしたところで幕!

いや〜、Kasper Holten、またエグいのつけてきたね。名誉を求めない男だから好きになったのに、そうじゃなかったからもういらない。そういう解釈は正しいとは思うけど、別に観客は求めてないんだよなあ。

STAFF & CAST


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