2016.8.12: Berlioz "Beatrice et Benedict" @Glyndebourne

さて、現代の名演出家Laurent Pellyの新作はいかに。

シェイクスピアの「空騒ぎ」が原作だが、あまり上演されないオペラ。

幕があがると三つの巨大な白い箱。コーラス隊が入っていて、凱旋をうたう、はず。

金髪の女がおりてきてなんか歌う。偉そうな軍服の男とスーツ姿の男たちがやってくる。

衣装はすべてモノトーン、アイライン濃いへんなメイク。Jonathan Millerのミカド演出にかぶる。。。

ここでがっかりして物語を追う気力が一気になくなったのだが。アラゴンの王子ドン・ペドロがムーア人を倒した帰路にメッシーナに寄る。部下バリトン(クラウディオ)とテノール(ベネディクト)と一緒。メッシーナの総督レオナートの娘エローはクラウディオと婚約中で、総督の姪ベアトリスが残りのベネディクトと、みなの計らいもあってくっつくと。

ベアトリスは黒髪ボブのロングスカートの冴えない女なのに生意気。ベネディクトも小太りで全く冴えない。お互いに悪口を言い合う。

上手寄りで黒服の男がコーラス隊をひきいて練習をしている。その傍らで、ベネディクトは自分は結婚しないと宣言する。レオナートがドン・ペドロに、ベアトリスがベネディクトを好きだとよ。それを聞いたベネディクトは、なら自分が愛そうと。

場面かわって、エローが出てきて、白い大きな箱を開けるとそこは鏡張りの衣装ルームで純白のウェディングドレスがおいてある。侍女ユルシュールと、クラウディオと結婚できて幸せ〜、とこえみよがしに合唱。

休憩のち2幕。結婚式の準備、下手の箱から白い長いテーブルが出てきて、黒服の男がその上で走って移動しないというコントをやる。帰りにはきっちり、箱に戻るテーブルで箱に頭をぶつけるというベタなギャグをかましてくれた。この黒服が一番目立ってたが、宮廷楽師ソマローネだったのか?役者かと思ってたら歌も歌った。

ベネディクトを好きなことを気づいたベアトリスが悶々としていると、エローと侍女がでてきて、クッションの入った白い箱がパカッと開いて、みなでそこに後ろ向きに落ちて歌う。プレゼントになるってことか。

エローとクラウディオの結婚式、ウェディングドレスの三角のシルエットは非常に美しい。この演出、よかったのはそれだけだった。

ここにもう一組カップルがいる、名乗れ!と言われて、ベネディクトが進み出るが、またベアトリスと悪口の言い合いになり、今日は休戦と結婚証明書にサインしておわる。

歌手はみな悪くない。音楽がもっさりしてて、フレンチオペラの華やかさがなかった。指揮は音楽監督のRobin Ticciatiだったが交代になっていた。そういえば、昨日の日本人指揮者も交代だった。

ま、敗因はLaurent Pellyの演出だ。この人はなんでこう出来の差が大きいのだろう。狙いすぎなのかな?「連隊」「愛の妙薬」に続き、「puritani」も最高だった。が、失敗作の「オリー」はカラフルな古い映画を狙ったらしく、モノトーンの今回は何を狙ったのだろう。自分のアートじゃなくて、物語を生かす方法を考えてよー・・・

STAFF & CAST


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