2015.8.23: Wagner "Tristan und Isolde"

イゾルデが馬!注:パパーノ先生がBBCの番組で「歌手は叫んだらオケには勝てない、叫んだらただの馬」と言ったことから。

演出Katarina Wagnerはやっぱり素人。トンデモ演出以下のただの思いつき演出。注:トンデモとは、普通はこうくるけどオレはこうやるKonwitschny先生。この人はたぶん普通を学んでない。引き出しのたくさんの中身から物語をつくる上でベストなものを選んだのではなく、あるものを全部ガチャガチャ出しただけな感じ。

1幕、灰色の階段を複雑に組み合わせた巨大なセット、船の甲板を模しているわけでもないっぽい。中央部分が上下にスライドしてあがり、トリスタンとイゾルデがすれ違ったり、二人で中空で歌ったり。金かかってそー、もったいなーい。

中空でマルケ王に嫁ぎたくないイゾルデが、ブーケをびりびりに破って捨て、下の侍女が拾い集めて片付ける。

侍女がもってたピンクの液体があった三本の試験管のうち一本を、イゾルデが半分のんでトリスタンに渡し、トリスタンも少し飲んで、残りは二人で手にかけてダラダラ〜@中空舞台。

美しい愛の重唱が、馬にかき消されてトリスタン聞こえない。。。よさそうなんだがなあ。

2幕、黒い壁に囲まれた牢屋?に、鯨の骨みたいな形の金属が横たわり椅子になっている。上空に監視部屋があり、4人くらいうごめいていて、スポットライトもそこから照らされる。

その部屋にはトリスタン&イゾルデのほか計4人でいたが、侍女はすぐ逃げたが従者は逃げ遅れ、逃げようと異常にがんばる。壁の金具をつたって昇ろうとしたがはずれて落ちたり、壁から生えてきた金具に閉じ込められたり、大奮闘。こっちはそれが気になって音楽に集中できないのに、愛する二人はガン無視で、毛布でテントを作り、中に星を飾り付け♪

そのうち中央の金具が若干音をたてながら立ち上がって、トリスタンとイゾルデが鯨の骨に捕らわれるのかと思いきやそうではなく、金属の端をさわると手に血がべったりとつく。

そこへ黄色の衣装のマルケ王たちがきて、浮気現場おさえられたぁ。メロートもマルケ王も歌がいい。でも指揮がためすぎてちょっと退屈。。。

3幕、スモークをたいて舞台奥を隠しただけ。上手端がライトで浮かび上がり、深緑の衣装の人たちが椅子に座ってトリスタンの遺体を囲んでいたが、なんか生き返って歌いまくり。トリスタンのソロよかったなあ!

イゾルデが三角のライトで照らされた空間とともに現れては消える。首チョンパしたり、服だけの抜け殻になったり、糸を垂らしてみたり、愛の薬を垂れ流してみたり。トリスタンが抜け殻になった青のドレスをびりびりに破る。

深緑の人たちはトリスタンの亡骸に黒い布をかけ、十字の剣と二輪の白い花で飾る。イゾルデが動かしてしまったので、また同じ動作を繰り返し。

黄色の人たちが二人を緩そうとやってきたが、深緑の人が黄色の一人(メロート)を殺してしまったので、逆に殲滅される。

黄色の人たちは深緑の遺体は放置して、トリスタンの遺体だけ黒い介護ベッドに乗せ、苦しくないように?上半身を起こす。イゾルデが抱き起こそうとするもトリスタンは起きず。イゾルデは黄色の王に連れていかれた。トリスタンのそばには侍女が残る。。。また指揮が若干ためすぎ。

イゾルデここにきて馬枯れ!声量でかすぎてうるさかったのに枯れて全然でない。ペース半分くらいしてくれ。。。まあ、逆にうるさくなくてよかったけど。

侍女の方が歌がうまかったから、最初どちらがイゾルデかわからなかった。イゾルデはAnja Kampeが予定されていたが、いつの間にかジークリンデに交代。この演出はAnja Kampeのブロンドヘアありきだった気がするが、なんで断ったのかなあ。

このソプラノはBruennhildeもやったがよくなかったらしい。細いけど顔がすごい婆。テノールはよかった、今トリスタンを歌わせたら一番と言っている人もいた。色気はないけど。

指揮Thielemann、実は初見、有名だが、ためすぎで私はピンとこなかった。ワーグナー中毒に至らしめるという秘薬「トリスタンとイゾルデ」、また私はその毒をみたことがない。

ミュンヘンのPeter Konwitschny演出の評価が急上昇。

STAFF & CAST


目次に戻る