舞台の幕の下の方がちぎれていて、土の地面がみえている。幕があがると、草まで生えてる入念に作られた舞台で、背景に海が広がっている。井戸が二つ、地下壕もあり、そこが舞台への出入り口となる。
この手の込んだ舞台はGraham Vickの1994年作。さすが頭角表すって感じか。
上手手前のベンチでジャガイモを剥きながら、炭坑長のタルボットが姪と話す。実は彼女は数年前に小舟で漂着した公爵の夫人イザベッラで、公爵は友人に彼女が不貞を働いたと騙されて流してしまったと。
軍人をつれてベルトランド公爵が視察にやってくる。友人オルモンドとその手下のバトーネも。みな青っぽい衣装だが、公爵は黒い大きい帽子をかぶっている。下手手前にキャンプが組まれ、公爵のビュローが置かれる。イザベッラと瓜二つな娘をみつけて驚くが、タルボットが自分の姪だと主張。
この後、バス・バリトン祭り!オルモンドはバトーネに彼女を夜に誘拐しろと命じ、バトーネとタラボットが探り合い、夜になってオルモンドがイザベッラを誘拐に来て、公爵がバトーネを脅し、公爵は隠れて、オルモンドが過去の嘘をばらすのを聞き、一気にタイホ!
軍人が銃をむけたので、井戸に落とすのか、そのための井戸だろとワクワクしたが、下手に退場しただけだった。。。
朝になり、金のドレスに着替えたイザベッラは公爵を許し、めでたしめでたし。背後の海から朝日がくるかと思ったがこれもこなかった。。。
公爵のキャンプが取り払われ、井戸の囲いも設置され、物語開始前と同じ状態に戻る。冒頭からいた赤い帽子の男の子もやってくる。
作り込まれた舞台だが、もう一つカタルシスがほしかったな。
海の背後に小さい船の影絵があり、それが下手から上手にゆっくり移動するのがよかった。夜になって船に灯りがついた時にその存在に気づいた。
歌手はみなよかった。ソプラノMariangela Siciliaも割といい、「アルジェのイタリア女」でヒロインよりも声でてた侍女。 ロッシーニ初期なので、音楽はまあまあ。5つの1幕ものの後にかかれた最初のシリアスものらしい。