2013.8.4: Jean-Philippe Rameau "Hippolyte et Aricie" イポリトとアリシー

去年に続いて今年もGlyndebourne、まだ見たことないジャン=フィリップ・ラモーを選択。ENOでみたシャルパンティエに続くフレンチ・バロック。

リッチでアートなイギリス人のステイタス的なお祭り。開演前や休憩には広いお庭でピクニックがステイタス。レストランも三つあって、今回はSunday small dinnerにしてみたのだが、ちょうどいいサイズだった。

寄付ありまくりなのにチケット代が高くて、それは舞台装置につぎこまれている、ようだ。開演前から幕に大きく苦悩するおやじの顔が映し出され、幕があがると舞台いっぱいにでっかい冷蔵庫!!!でっかい上手にオレンジジュース、卵、バターみたいな箱と、チューブ。下手は缶詰、ソーセージ、ブロッコリーなどの野菜、右上の一角は冷凍庫でステージっぽい。

オレンジジュースの隙間やら、ソーセージを押しのけてわらわらと、白い毛皮のジャケットをきた女たち、的を描いたTシャツの男たちが出てきて踊る!冷凍庫のステージに白塗りに白いドレスの女神Dianaが現れて歌う。卵を割ってでてきた赤い鳥の衣装のCupidと議論。主神Jupiterが仲裁して、年に一度は森の乙女たちをCupidに任せることに。

ダンサーたちは、毛皮とTシャツを脱がせあって半裸になり、ブロッコリーを立てて森にみたて、レタスをチューブにひいて丘にみたて、空色のパッケージを開いて空にみたて、クリーム?を雲にみたて、輪切りレモンを太陽にみたてて、全く意味はわからないが、なんか圧巻のプロローグ。前の方に金色のミニドレスの乙女と赤いハートを描いたTシャツの男がいて、HippolytusとAriciaの象徴か。

1幕。冷蔵庫は神殿のアナロジー。シカが宙づりになっているのは狩りの女神Dianaの象徴か。Aricia(白い服)がやってきて、アテナのTheseus王に破れたPallas家の生き残りで、生涯純潔を強制されているが、Hippolytus(これも白い服)に恋していると。そこにHippolytusが現れてラブラブ。このHippolytusくん、左側からみるとまあまあなんだが、右側からみると老け顔でなんだかなあ。

そこにTheseus王の妻Phaedraが、オケピの中央からつかつかやってきて、激怒。一人、真っ赤なドレスで特別待遇なのは、イギリスで有名なSarah Connollyだから。リングのフリッカでも、ENOのメデイアも、激怒ぶりがよく、私も彼女めあて。

Phaedraが激怒するのは義理の息子であるHippolytusに恋しているから〜。のっけから胸熱な展開だ。ダンサーたちが追加で二匹くらい出てきたシカの喉を割き、バケツに血をしたたらせ、手につけて床や壁にぬりたくる。なんのこっちゃ。

そこへTheseus王が黄泉の国に降りたという知らせが入る。Phaedraの侍女Enoneが、なら息子と結婚してもオッケーじゃん、あなたなら愛だけじゃなく王位も与えられる、とたきつける。

2幕。幕のおやじの口が割れてなんか覗いている。Theseus王は、Neptuneの子で、父は三回願いをきいてくれるらしい。一度目は、同志Pirithousを助けるため、黄泉の国に行くこと。復讐の三女神の一人Tisiphoneと戦って、中に入る。

幕があがるとPlutoの王宮。って冷蔵庫の裏?黄泉の国の二人は赤と緑の衣装とメイク、Plutoは白っぽい糸人形を操りながらなんか歌う。その傍らに蛾っぽい緑のスカートはいたダンサーと、黒っぱいエリマキトカゲみたいな歌手三人(三重唱がよかった)、それに赤塗りの合唱団が冷蔵庫の裏のじゃばらから顔を手だけ出して歌う。Theseus王は死ぬことも叶わず、Neptuneに祈って地上に戻ることに。Tisiphone曰く、地上に戻っていいけど、そこで地獄をみるだろうと。

3幕。Theseus王の宮殿。冷蔵庫が部屋になっている!下手二階がPhaedraの寝室、黒いドレスでベットに座っている。下手一階のリビングにEnoneがいて、中央二階がHippolytusの子供部屋。最初は机で勉強してたがベットに移動、服とかギターとかあって、ほんと子供の部屋。中央一階にあるアクアリウムが意味深で、上手の螺旋階段で二階へとつながる。これも全く意味はわからないが、圧巻。

PhaedraのところへHippolytusが謝りに来たので、Phaedraは告って、Hippolytusにどん引きされる。自殺しようとしたPhaedraをHippolytusが馬乗りになって止めたところで、Theseus王帰宅。熱いわあ。Theseus王は最後の願いを使ってHippolytusを追放する。Hippolytusは何も言わず荷物をまとめて退散。

休憩のち4幕。冷蔵庫の一部?の四角い箱に、草の生えたベットから木が一本突き出ていて、Hippolytusがたたずむ。Ariciaがやってきて、傍らの大きめの椅子に座ってなぐさめる。花柄の服を着たダンサーが踊る。でかい白いカツラに赤いスカートの合唱団がわらわら出てきて歌う。シカとかのかぶりものをしたのが何人かまざっている。狩人たちがDianaを賛美して踊るってとこか。そのあと怪獣が現れてHippolytusが戦って倒れる、ってとこあったっけ?

5幕。下手に大きめの引き出しがいっぱい。Theseus王がなぜか半裸でロン毛のNeptuneに目隠しをされる。息子を信じなかったので会うことを許されないから。

引き出しからAricia、Hippolytusが引き出されて横たわる。死んだのかと思いきや、宙づりのDianaのご加護で生きてて、起き上がる。

また中央からPhaedraが出てきて、Hippolytusに向かって手を伸ばしたところで、幕。え、Ariciaと結ばれるんじゃないの?宙づりのCupidも死んだように見えたらしいし(見てなかった!)、全然ハッピーエンドじゃない謎なエンディングだった。

前半に比べて、後半はセットも派手じゃないし、ダンスも見飽きて、退屈して、なんか不完全燃焼。Sarah Connollyにももっと歌ってほしかったなあ。

STAFF & CAST


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