泊まっていたホテルからオペラ座のある王の広場に歩いて行ったら、オペラ座横のトンネルの天井に金モザイクがあったり、なかなかすごい町である。
Kongens Nytorv 王の広場 |
王立劇場 |
金モザイク |
建物は大きく壮観で、町並みにも一体感があり、清潔でゴミ一つ落ちてない。バスは混んでいて乗れないこともあるが、設備もサービスも悪くない。英語通じるし。治安は極めてよく、夜でも不安は感じない。
目抜き通りのストロイエ Stroget にはフォーマルウェアなどの店が並ぶが、物価は高いので見る気はおきない。Nyhavn という港によさげなレストランが多いが、外の席は早くに閉め出され、ビール片手に行き場をなくした若者たちが波止場に座り込んでいた。初日はデンマーク料理だったが、あとはタイ料理と韓国料理。
Nyhavn 新しい港
こういうデンマーク語?の地名はドイツ語にそっくりだから、意味は結構よくわかる。ここがドイツに近い土地だから余計かもしれないけど。
7月9日
今日はちょっと遠出をしよう。電車にのって45分、シェラン島の北、スウェーデンの目と鼻の先、エルシノアーHelsingor という町に、世界遺産のクロンボー Kronborg 城がある。シェークスピアのハムレットの舞台になった城。
10時50分、赤煉瓦の駅を下り、海沿いに北に向かって歩き出すとすぐに見えてきた。
Kronborg 城
かっこいーっ!!!突き出た半島の先端にそびえ立っている。塔は4つ。
一番高いトランペット奏者の塔:有事にはここでファンファーレが吹かれる。
左端はキングスタワー螺旋の塔:フレデリック2世が螺旋状彫刻を作る仕事場があった。
右端はカッケルボルグ鳩の塔:伝書鳩の小屋として使われていた。
手前が平屋根のテレグラフタワー:ドーム型だったがスウェーデンの攻撃でこうなった。
1420年代、エリーク7世(女王マルグレーテ1世の養子)が作って海峡税をとっていた。1574-85にオレンボー朝フレデリク2世がルネッサンス様式で再建、1629火災で礼拝堂以外が焼失。すぐクリスチャン4世が初期バロック様式で再建。いくつかの戦争を経て、1924改修。上から見るとロの字形で、黄色っぽい石造り。
回り込んで西側に入り口がある。橋を渡って外堀の半月堡、また橋を渡ってやっと城に着く。砂岩でつくられた冠要塞の門を通る。
まだ城にはたどり着けない。標識に従って、北側にぐるっと回り込む。そこからの眺めもかっこいー!
Kronborg 城
何の飾りもない「暗い門」から地下道を通るとふいに海際に出た。テトラポットの並んだ思いっきり海際。船やヨットが見える。背後に城がある。不思議なところだ。ここでのんびりするのもいいが。
来た道を戻り、少し進むと正門(1576)がある。チケットを買い(50Kr,博物館なし)、中庭に出る。
正門の向かいの壁に、シェークスピアの胸像のレリーフがある。モデルとなった王子アムレートのHを先頭にまわしてハムレットとしたらしい。
中庭の中央にイタリア製ルネッサンス調の噴水、ってこれー?すげえちゃちい。フレデリック2世時代のものがスウェーデンに持ち去られた後に設置された。
冠要塞の門 |
正門 |
シェークスピアのレリーフ |
トランペット奏者の塔 |
チケットを渡して中に入る。ハムレットの衣装のある部屋を通り、階段を上る。
王の部屋、小部屋、女王の部屋、女王のギャラリー、大広間、小広間、ゲストの部屋、クローゼット、ゲストの部屋いっぱい、天球儀のある部屋、アジア風の家具のある部屋、寝室ふたつ・・・
内装はまあまあ。白い壁が多く、天井画は部分的で、壁に絵やタペストリーがかかっている。シャンデリアとよさげな家具が品よく並んでいる。割と地味で落ち着いた感じ。
王の部屋 |
大広間11m |
アジア風の部屋 |
寝室 |
この城はほんと海の際にたっていて、城の角の部屋には見晴し台があり、海が見える。足下の外堡には大砲が並んでいる。
海側外堡
階段が上れそうだったのに見損ねたところを見ておきたくて、もう一周してしまった。中庭に戻り、別の扉から礼拝堂へ。
きたきたきたきたー!金ピカな装飾♪天井画はないが。内装はフレデリック2世時代のもの。
礼拝堂 |
祭壇 |
説教壇 |
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座席や説教壇など、木の部分に彫刻が施され、金で塗ってある。祭壇も金ピカ。床は市松模様。そういえば場内の大広間もこれだった。
別の扉から地下に下りる。ホルガーダンスクの像というでかい像があったりして、ちとこわい。伝説の英雄で、危機の時には数百年の眠りから目覚め国家を救うらしい。
ホルガーダンスクの像
城の外に出た。展望台から海を眺める。振り返って城を眺める。ハムレットはこんなところに暮らしてたのか・・・ほんと生粋の王子だな。いい、絶対いい。
時間があまりないので出発しよう。駅の方へ戻りつつ、この町の他の見所も押さえておかねば。あとどっかで昼ごはん買って行こう。
St. Olai教会。13c、エリーク3世時代では現存する唯一のもの。
赤煉瓦のシンプルな初期ゴシックだが、中はなかなかすごかった。彫刻は少ないながらもいい。とくに、どでかい祭壇の金ピカっぷりは爽快である。このへんの町って割と裕福だったんだなあ。
後方にあった、聖杯?のある立方体の小部屋みたいなのは何というのだろう?
St. Olai 教会 |
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祭壇 |
説教壇 |
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商店街みたいなとこを歩いていくと市庁舎。
市庁舎
次。別の電車で30分ほど西へ。途中にもFredensborg城もあるのだが、時間ないので寄れない。ヒレロズ Hillerodで下り、さらにバスに乗って、Frederiksborg城。
湖に面しているはずだが、バスが着いたのは陸側。10分ほどのると城が見えた。こっちもかっこいいー!
16c、フレデリック2世が買い、子クリスチャン4世がルネッサンス様式に改築、1859大火で焼失。ビール会社の社長JCヤコブセンが援助して再建、国立歴史博物館となる。日の字型で、赤茶色の煉瓦造り。
まずルネサンスな最初の門を通り、城壁に囲まれた道をまっすぐ歩く。両側にも赤茶色の建物が並ぶが、ここはほんとは橋になっていた。
建物が途切れ、また似たような門をくぐり、S字型にくねった橋を渡る。このS字橋は有名らしいが、工事中だった。左手にアラブっぽい丸い塔がみえる。
門 |
塔 |
正門 |
次の門をくぐると中庭に出る。ギリシャっぽい彫刻の噴水。その向こうに城がどーん。かっこいー!
Frederiksborg 城
また橋を渡るとやっと正門。壁にもずらっと彫刻が並んでいる。やっと煉瓦色の建物が眼前にきた。チケット(60Kr)を買って、中に入る。
騎士の間 1500-1650
まず地上階に騎士の間、クリスチャン4世(在位1588-1648)時代の復元で、貴族の居間として使われていた。ロマネスクっぽい低い天井は白くぬられ、ファンシーな柄が描いてある。左脇の階段をあがる。階段にはメダルの装飾がずらり。
あがった先は礼拝堂。これが・・・ものすごかった。
礼拝堂 1500-1650
クリスチャン4世時代に始まり、クリスチャン5世のときLambert van Havenが建築、1680年完成。この頃が一番栄えてたってほんとだなあ。これは来てよかった。
天井は金ピカ。柱も手摺も至るところに細かい彫刻が施されている。正面は戸棚の背後にステンドグラス。祭壇も金ピカ。祭壇のある地上階には降りられなかった。
祭壇 |
ステンドグラス |
柱には絵 |
壁にかかるメダル |
天井 |
背後に薄暗い小さな礼拝堂があり、陶器?に描かれた絵と銀色の祭壇がある。天井の「根」みたいのがニョキニョキ生えてる装飾が謎。
小礼拝堂
そのあと大量の部屋を見せられてわけわからん。博物館になっていて、地上階から3階まで、各時代の絵や家具が陳列されているらしい。小さい部屋が多かった。
まず、礼拝堂と直角に交わる一辺は、1500-1650年代。白い壁に絵やタペストリーがかかる。絵は肖像画が多い。午前に行った Kronborg 城にちょっと似てるかな。 天井は木で、細かい幾何学模様が描かれている。古いロマネスクの教会の平天井とかにある感じ。家系図の間もあった。
金色の天井の部屋。天井画の間が金色に埋め尽くされている。1600年代初めのドイツ・ルネッサンスでも見る感じだ。窓が半径形にせり出し、小さな天球儀があった。角の六角形の小部屋は天井に星図が描かれていた。
1500-1650
その角を曲がったもう一辺は1850-1900年代。スリースウィ戦争(1848-50,64)の絵とか。ドイツ北部シュレスウィヒは9cからデンマーク人が住んでいたが、14cにドイツ人のホルシュタインと合併。以来、デンマークにつくかドイツにつくかでもめ、戦争に至る。
あと青い部屋、赤い部屋、壁に色の塗られた部屋になった。ヴェルサイユ宮殿みたいな激しい原色じゃなくて、割と淡い、ルードビッヒちゃん作のリンダーホフみたいな感じ。天井は主に白で、とびでるスタッコ装飾が施されている。これが19世紀か。家具の彫刻もずいぶん細かい。淡い色彩の天井画もあった。
1850-1900
2階にあがる。1650-1700年代。また金色の天井の部屋。窓が多くて明るい。さっきの金の部屋より色も軽めで、ちょっと洗練されてるかな。また角の六角形の小部屋に天球儀。
1650-1700
隣もすごい金の大広間。でもこれはクリスチャン4世時代の復元。たしかに感じは違うかな。天井だけでなく壁にも金の装飾が施されている。さっきの礼拝堂と似てる。
大広間 1500-1650
また1650-1700年代に戻る。きたきた原色の部屋。真紅、深緑、濃青、これはヴェルサイユ的などぎつい原色。これがバロック絶対主義か。天井も所狭しと装飾が施されている。寝台もゴテゴテ。
1650-1700
ちょっと時代が進んで1700-1850年代。濃い原色の部屋があったり、白い部屋に楽器がおいてあったり。よくわからん。天井も木とか統一感ないし。細長い部屋はギャラリーになっている。ロココのはずなんだが。デンマークにロココってないのかな?
1700-1850
3階は現代アートの美術館だった。わからん。時間もないからさっさと歩く。
庭に行こう。来た道を戻って、城の脇から中庭の反対側に出る。湖があって、その先に階段状の庭が続いている。中央に噴水。そこまで歩きたいけど、もう疲れた。
Frederiksborg城
もう薄暗くなってしまった。バスにのって電車にのって、コペンハーゲンに戻る。夕食はさんざん探して港のイタリアンに落ち着いた。
7月10日
西のロスキレの大聖堂も見たかったのだが。夕方の飛行機だから、今日はコペンハーゲンの町を見よう。町にも城がいっぱいある。
まずホテルのそば、コペンハーゲン発祥の地、城郭の島スロッツホルメンSlotsholmen にある、クリスチャンスボー宮殿、1167創建。修理中ですっぽり幕に覆われてたので、写真は建物ぬけて中庭側から。
地下に城の原型の遺跡があるらしいが見なかった。国会議事堂とかいろいろな施設がある。旧証券取引所のうねうね尖塔が有名。
それより探してるのはキルケゴール像。銅像の名前を逐一チェックしているのだが、なかなか見つからない。おぉー、国立図書館の中庭にいた。木陰に座って考え込んで、めちゃキルケゴールだ。
Christiansborg 宮殿 |
旧証券取引所 |
国会議事堂の「四痛」像 |
キルケゴール像 |
王立図書館 |
国立博物館 |
川岸に出たので思わずボートに乗ってしまった。バスの回数券で乗れちゃうもんで。これで歩かずにポイントを押さえられるぞー。
新オペラ座
びみょー。モダン建築ってなあ。シドニーのオペラ座はかっちょよかったけど。これは上にかぶってる板が明らかにヘン。
1往復半して北端で船を下りる。星形の城郭カステレット Kastellet、有名なアンデルセンの人魚の像があるとこ。その前に入り口付近にあった教会。
Skt.Albans 聖アルバニ教会
カステレット、門を入ってすぐにゲフィオンの泉。4頭の雄牛を制する女神はともかく、噴水のそばでとぐろまいてる蛇が……。
ゲフィオンの泉
星形の城郭カステレット、といっても建築物はなく、チャーチル公園になっている。海辺で景色がいい。豪華客船も泊まってる。陸側はのどかで風車とかみえる。花もや彫刻もいっぱい。
海際をずーっと歩いていくと、前に首チョンパされて有名になった人魚。人がひっきりなしに一緒に記念撮影してるので、なかなか人魚だけの写真が撮れない。
人魚の像
そこからちょい南に歩いて、アメリエンボー宮殿。女王が住んでるらしい。18c末にクリスチャンスボー宮殿が炎上したので、4人の貴族のマンションだったここを取り上げたらしい。
Amelienborg 宮殿 (1750s ロココ)
その広場から、東には新オペラ座がみえて、西にみえてるのが、フレデリック教会。こういう丸っこい教会すきーっ。ベネチアの S. Maria Salute 教会とか。大理石の教会で、18cに作られたが、財政難で一時中断、1894完成。内装も新しかった。周囲にキルケゴールなど12体の銅像。
フレデリック教会
バスを使って、ストロイエ通り。乗り間違えて無駄に歩いてしまった。何度も歩いた目抜き通りだが、教会は入ってなかったので。寄り道しつつ、西の市庁舎の方へ。
ニコライ教会、中はなんか施設だった
Amagertorv 広場、噴水は鶴
聖霊教会、入れず
聖母教会
Rundetarn 円塔、初日にみた
Nytorv広場、金のお皿の下にへんなのいる
市庁舎、修理中、塔106m
また噴水にへんな生き物がはりついてる……。へんな像が気になって仕方がない。実際はこんなうまく歩けなくてもっと行ったり来たりした。
コインロッカーから荷物を取って、6時、電車で空港へ。ずいぶん早く着いてしまったが、もう歩き疲れた。ローゼンボー宮殿もあったのだが。飛行機は9時頃に飛んだ。