2005.5.13-16: インスブルック&フィレンツェ 観光編

5月13日(金)

というわけでイタリア国鉄のストにより、唐突にインスブルック観光〜

と今は呑気に書いていられるが、その時はしばらく呆然として、なかなか観光モードにシフトできなかった。

で、インスブルックってなんだ? オーストリアのガイドブックなんて持ってないし。駅にあったインフォで地図をもらう。

とりあえず Inn 川の方へ歩いてみよう。Innsbruck とはイン川の橋という意味。イン川はドナウ川の支流。

Landhaus 広場。町からも雪山が見えてなにげにいい町だ。

凱旋門 (1765) をみて、Maximilianstr。

Herz-Jesu 教会の中に入る。無名だが、意外と中がすごい。

なかなか川に出られず、大学のあたりでちょっと迷う。やっと川に出られた! 雪山が目の前! 水もきれいだ。ベンチに座って、途中で買ったケーキを食す。だいぶ雲が出てきてしまった。

川沿いを歩く。大学生たちがのどかにたたずんでいる。絵を書いている人もいる。大学橋をすぎると木が高くなって写真映りはいまいち。町中の Inn 橋に近づくとまた視界が開けて、対岸にもカラフルな建物が並ぶ。橋から振り返ると、後ろも雪山ーっ。

Ottoburg (1494 後期ゴシック) は中央右寄りの窓がちょっとヘンな建物で、同市最古。後ろに見えている二本の尖塔は大聖堂で、一本のは市の塔。ここから町中に入る。

王宮 Hofburg (1460, 1754-73 バロック改築) と 宮廷教会 Hofkirche に囲まれた広場。奥の白いのが教会。広場の左側にある州立劇場 Landestheater (1654, 1844-46 古典主義) の建物は綺麗そうだが、修理中ですっぽり幕をかぶっていた。

大聖堂に向かって歩く。なんか珍しくて写真とったら、黄金の小屋根 (1494-96) という観光名所で、2657枚の金箔瓦でできているらしい。

市の塔 Stadturm (1442-1560, 51m)。塔に上がると景色が綺麗らしいが、時間が遅くて閉まっていた。

大聖堂 Dom St. Jakob

これも閉まってるー。しまった、町観光は時間が限られているのだから、川より先にこっちにくるべきだった。そんないきなり観光モードつったって頭働かないさー。

中はバロックの内装にCD Asamの天井画、なかなかすごそうで見たかったなあ。

観光はこれで終わり。歩き疲れたのでバスに乗って駅に戻る。夜11時の寝台車でバトルだ。

5月15日(日)

San Lorenzo 教会、昨日の早朝ついてホテルに行く途中で見た。

結婚式にもなんとか出られて、今日は7時半に起きて9時からばりばり観光。

まずはDuomoの一角。2002年に初めて来た時に感動して、今回はこの近くに宿を取った。

Santa Maria del Fiore 大聖堂 Duomo (1296-1471 ルネサンス)、大建築家ブルネレスキ設計のクーポラ(円蓋, 1420-34)。ファザード(正面, 1871-87)は未完でその後に取り壊されて作り直された。このファザードがでかした!という感じである。

右隣に鐘楼 Campanile (1334-, 82m)、フレスコ画で有名なジョットが建築。

その向かいに洗礼堂 Battistero (11-13c)。扉の彫刻が有名で、南のピサーノはジョットの次の建築責任者で、北はコンテストで選ばれたギベルティでテーマは新約聖書、東も任されテーマは旧約聖書。

Duomoの中は1時半から4時でまだ入れない。ので、Duomoの周りを一周したのち、次のスポットへ。

Santa Maria Novella 教会を目指して、Cerettani通りからPanzani通りを歩く。よさげな店がたくさんあって、ナイスな青のワンピースを見つけたが、店が開いてなーい。

駅に着いてしまった。教会らしきものがあるが、入り口がわからない。インフォに入ってしまった。建物の脇にそって歩くと広場に出た。

Santa Maria Novella 教会 (1278-1360 ゴシック)

振り返ると大理石のファザード (1456-70)、でもDuomoみちゃったからまあまあだな。中はまた1時半からで入れない。マザッチョの壁画「三位一体」などがある。

Arno川の方へ行く。Fossi通りでGoldoni広場に出たはず。像があるだけで小さくてここでいいのかわからなかった。Carraita橋を渡って南側に行く。川岸に丸屋根の教会らしきものがみえる。Cestello 教会か??

古い建物の並ぶ細い道、Spirit通りを通って Santa Maria del Carmine 教会。

建物は全然大したことなかったが中はかなりよかった。祭壇右の礼拝堂にマザッチョとマザリーノのフレスコ画「楽園追放」など。捕まってるキリストとか。透視画法や明暗による肉付け法で、人が立体的にみえる、のが画期的らしい。

団体客がいたからか、司教らしき人が中に入れてくれて、電気をつけて解説をしてくれた。イタリア語だから全然わからなかったけど。親切〜

淡いピンク系統の天井画も綺麗だし、円蓋にも青っぽいフレスコ画。主祭壇は謎だが、左の副祭壇の彫刻もいい感じ。どこも天井画で埋め尽くされている。ステンドグラスは後にひとつだけ。

S.Spirito 教会 (1436-87 ルネサンス)

来た道を戻ってCoverelliという細道を右に曲がって S.Spirito 教会 (15c)、晩年のブルネレスキ作。まあまあ。係員の男がいじわるで祭壇の横には入れず。遠くから祭壇右の礼拝堂にフィリッポ・リッピ「聖母」をみる。じきに閉めると追い出された。

ピッティPitti宮 (15c)

たしかPitti通りからPitti広場に出てPitti宮。中はPalatina美術館になっていて、ラファエロとか。チケット売り場にものすごい行列。庭もチケットがないと入れない。ので、さくっと諦める。左に折れて東に歩く。柵越しに見えたのはバッカスの噴水か?

Guicciardini通り。ここもいい店がある。革ものが多くて布ものは少ない。水晶だがおしゃれなペンダントを購入。結局フィレンツェで買物はこれしかしなかった。

道を右にちょっと入ったところに名もないS.Felicita教会。まだ時間になってないのに閉まってて中には入れず。

12時半、お昼にしよう。そのそばのイタリア料理の店が安くてよさげだが食べたいボンゴレがないのでやめる。

ヴェッキオ Vecchio 橋

Vecchio橋の宝石屋がいくつか開いてる。いい店もあるが安くはない。劣悪な店もある。いかんいかんトラップされてお昼を忘れるところだった。

ちょっと高いが、川沿いの店にした。窓際に座れたし、眺めもいい。で、ボンゴレと白ワイン。あーやっぱドイツ人とちがってイタリア人はゆですぎないからいいね(そんなレベル)。おいしかった。

Vecchio橋を渡って北側に戻る。橋の真ん中、ヴァザーリの回廊からの眺めが素晴らしい。川を渡った後、少し川沿いを歩く。

ウフィツィ Uffizi 美術館 (1534)

P.le d'uffiziを左折してUffizi美術館の脇を通る。ボッティチェリ、ラファエロ、ダビンチ、ミケランジェロ、メディチ家の財力を結集したルネサンス美術のすべてがここにある、らしー。

Vecchio宮 (13c末) Loggia dei Lanzi (14c末)

シニョリーア Signoria 広場に出る。特徴的な形の高い塔(94m)があるのは Vecchio宮 (13c末 ゴシック)。その前の白い像、左がネプチューンの噴水、右がダビデ像のコピー。玄関をのぞいたら、やたら細かい壁画がびっしり。

右手の工事中のは Loggia dei Lanzi (14c末)、野外彫刻ギャラリー。柱が全部白い幕で覆われているから前にも来たのに気づかなかった。あがってみと、古代とルネサンスの彫刻、ペルセウスとか。写真不可。

Duomoに出ようと広場を西に渡る。屋台の並ぶ新市場のロッジア (16c)、猪の金色の鼻に触る。

新市場のロッジア (16c)

もう一つの教会に行きたかったことを思い出して戻る。Condotta通り、服屋は開いてたがいまいち。

道端にオルサンミケーレ Orsanmichele 教会。入り口に係員が座っているのに中には入れず人だかりができている。中をちらと覗くと豪華そうだった。もとは穀物倉庫らしい。外壁に守護聖人の像がずらりと並んでいる。ドナッテロ、ギベルティなど。どれがどれだかわからん、彫刻がなくて空席のところもあった。

オルサンミケーレ Orsanmichele 教会

裁判所とバルジェロ Bargello 国立美術館の並びに出る。ルネサンスの彫刻らしー。

裁判所

細くて汚いAnguillara通りを通り、二股を右にいくと広場に出る。S. Croce 教会!

S. Croce 教会

ファザードはなかなかいい。後ろの尖塔は補修中。4EUROで中に入る。

主祭壇は修理中。両脇と両側面にはいくつもの礼拝堂が並んでいて、絵、彫刻、ステンドグラスにぐるっと囲まれている。左側は修理中。多すぎでわけわからん。内部に一体感はなく、美術館みたいだ。

主祭壇から右回りにまわろう。右横にジョットのフレスコ画のある Bardi礼拝堂、Peruzzi礼拝堂、ほか3つ。右翼にブルネレスキのPazzi家礼拝堂、これはすごい。

右翼に別の部屋が続き、中央に棺のある聖具室、礼拝堂、展示室、土産物屋も通る。

戻って回覧の続き。ドナッテロの「受胎告知」のレリーフ、いたー! 後ろは彫刻が二体とステンドグラスの丸窓。 左側はほとんど工事中で、前方の祭壇左横は行けずよく見えず。ドナッテロの十字架もわからなかった。

出口を出て階段を降りると中庭に出て、まだまだ部屋が続く。全体に装飾のある部屋、十字架の展示など。

途中で時計をみたら4時をまわっていたので急ぎ足でまわった。出ると4時20分で、Duomoへ急げー。適当に歩いてもDuomoが見えてこないので地図みてたどり着いたが、中は4時で閉まっていた。さくっと諦めて、広場の角の店でアイス。

さて最後に、景色がいいというミケランジェロ広場に行こう。

通りがかった本屋で葉書2枚購入。近くのバス停を見るがそれらしいものがない。人にきいてもわからない。へんなおじさんもいる。こっちをじっと見ている。とりあえず駅にいこう。

駅のチケット売り場で切符を往復で購入。12番らしい。場所をきいたら裏の方だといわれたが、わからないのでまた他の人にきく。左の方に真っ直ぐいけといわれたが、まだわかないのでかなりばたばたする。結局、12番と13番は方向が逆なだけで、すぐそばにあった13番でよかったらしい。すぐバスが来て乗る。

じきに川を渡る。町を離れて広めの道に出て、渋滞の中、かなり走った。途中で通ったのはローマ門。どこで降りるのー?

ローマ門 ミケランジェロ広場のダビデ像

横に立っていたイタリア人の中年旅行者が、自分たちは降りるが次だと教えてくれた。降りるとミケランジェロ広場、緑色のダビデ像。小高い丘で、フィレンツェの町並みが見渡せる。

Arno川のむこうに、Vecchio 宮、Duomo、S. Croce 教会ほんとに全部みえるなーっ。川の手前すぐ足元にある中世ちっくな塔は Poggi 塔かしら? 川沿いからもいつも見えていて気になっていた。Velvedere 要塞の城壁もみえる。

広場の奥の建物はレストランで、ここで夕食でもいいが、明るいうちに町に戻った方が無難だろうな。

さて、ここには団体客もよく訪れるらしいが、見所はまだまだこれからである。

San Salvatore al Monte 教会、中は入れず

裏に教会があるはずで、道を探してあがると、小さな十字架だけの何の変哲もない小さな教会。閉まっていて、その前にカップルがたたずんでいた。

本に載っていたのはこれではなく、もっと奥にいったところ。ちょい山を登る。ちょうどさっきのおばさんたちが降りたバス停のところだ。

階段の上に緑と白の大理石のファザードが現れる。San Miniato al Monte 教会 (1018-62 ロマネスク)。階段からの眺めも素晴らしいが、まずは中へ入ろう。

San Miniato al Monte 教会


薄暗い中に大理石いっぱい!側壁は岩で聖者のフレスコ画。天井は木組みで平ら。床、柱、祭壇などが青と白の大理石。うー、ぞくぞくする。

祭壇の奥まであがれるようなのであがる。半円蓋にキリストのモザイク画。奥の小部屋にもフレスコ画。ここに小さいステンドグラス。祭壇付近は全部大理石で、細工がものすごく細かい。

天蓋つき主祭壇は金ピカ。他にも礼拝堂がいくつかあって、どれも装飾が美しい。左の側壁には、十字架磔刑のフレスコ画、十字架など。

外に出るとちょうど夕焼けで、広がるフィレンツェの町並みをちらと眺めて、また教会の中に戻る。神父さんらしき人が来てお祈りを始めた。 ふと前をみると、さっきまで見えなかった半円蓋の絵が明るく照らされてくっきり見えている。後方の小さな窓から夕日が差し込んでいるのか!? すぐ切れてまた元の薄暗さに戻った。上の写真は奇跡的なその瞬間のもの。

8時、教会を閉めるというので出る。親切な神父さんだ。階段の上からしばらく景色を眺める。ガードマンがきて、正面の門を閉めてしまった。裏から帰れるのでまだしばらくいる。裏も閉めるよーといわれて出る。ガードマンも親切だ。いい所だった。横の門を通ったところから、昼間は塔にもあがれるらしい。

バス通りに出る。ちょうど13番のバスが来たので乗る。ずいぶん走って、川を渡り、駅で降りる。

ホテルの方に戻りつつ、レストランを探し、ピザ屋に入り、パスタとピザを食す。昼には負けるけどおいしくて、安かった。

帰り道、Medici-Riccardi 宮でコンサートがあったのか青くライトアップされていた。11時、ホテルに戻ってすぐ就寝。

あーまた今回も、ダビンチもミケランジェロもラファエロもみんかった。

次は Duomo の中がみたい。San Marco 修道院とか、まだ見てない教会もあるし。フィレンツェにはもう一度来なきゃ。


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