2004.7.2-3: ロマンチック街道走破!

月曜の夜からともぶ(中一の時に私が命名)が遊びに来ている。火曜は一緒に出勤してLidiaに会った後、昼すぎからミュンヘン観光に行って、夜はビアガーデン。水曜は一人でノイシュバンシュタイン城へのバスツアーに行ってもらった。木曜の夜は一緒にオペラ。今日から一泊二日でロマンチック街道へドライブに行く。

7月2日(金)

朝食をゆっくりとっていたら家を出たのが11時になってしまった。まずガソリンを入れる。高速8号に乗るにはいったんミュンヘン市内へ行かないといけないのだが、ちょっと迷って時間をくう。(ほんとは99号経由で直接行けた。)

12時半、Augsburgで降りる。なかなか中心地にたどりつけない。Jakob教会(1348)の近くに路駐できたのでここから歩くことにする。名もないロマネスクの教会だが、なんかありそな気がして覗いてみたら。ステンドグラスあったー。

世界最古の福祉住宅Fuggereiをちらと見る。中にも入れるけど。1516-1521建築、家賃年間1.72DM、今も人が住んでるらしい。時間もないのでさくさくと。まだこれから300kmくらい走らないといけないし。

Barrfuesser教会(1243)。さっきのより大きいけど、ステンドグラスなーい。

Rathausplに出た。Rathaus(1615-20)はドイツ・ルネサンスの最高傑作らしい。3階の黄金のホールは見学できるが、時間がないので割愛。左隣にPerlach 塔、11-12cの土台に鐘楼は16c。

Maximillianstrを北上して大聖堂(904)へ。見所は完全な形で現存する世界最古(11c)のステンドグラス!でも扉は閉ざされ看板がかかっていて、2時15分まで中には入れないらしい。扉の前でうろうろしていたら、へんなおばあさんに声をかけられた。片言のドイツ語で応じていたら、おもむろに怪しげな薬を差し出され、急に英語でぎゃーぎゃー断って逃げる。

でも大聖堂の中はどうしても見たいので、大聖堂の裏手(北側)をぶらついて時間をつぶす。Hofgartenをのぞくと優雅に読書している女性がいて、ともぶが珍しがっていた。さらに歩いて、市立劇場とその隣に隣接する教会をのぞく。ステンドグラスあったー(そればっかり)。

再び大聖堂。横の扉の外には人々が並んで開くのを待っている。いよいよ入り口を通り、振り返ると、、、いきなり扉の上のステンドグラスがすげーっ。黄色中心で黄金にみえる。内部も広くて、祭壇にもステンドグラスがどばーっ。全体的に幾何学的で色のバランスも私好みーっ。なんか受胎告知とかストーリーもあるらしい。

あーでも世界最古なのはこれじゃなくて横の預言者のだと思われる。うーむ。

Augsburgには、ロココのSchaezler宮殿(1765-70)、ルターも来たSt.Anna教会(1509)、新教旧教の二つのSt.Ulrich教会、などもあるが割愛。これからまだ300kmくらい走らないといけないし。道端のパン屋で買って私は歩きながら食す。

3時発。Lech川を渡り、国道2号にのったつもりが、分岐を間違え、北東の田舎町をうろうろする。Langweidでようやく2号に戻れた。Meitingenあたりで渋滞に巻き込まれDonauwoerthまで続く。町を抜けて25号に移る。

トンネルに入る直前、山際に堅牢な城ーって感じの城が一瞬見えた。これがHarbugの城か?戻ってもう一度よく見たかったけれど、ちょうどスコールが降ってきてできなかった。

Noerdlingenは城壁に囲まれた丸い町で、上から見るときれいらしいが、街道からちょっと離れているので割愛。1500万年前に直径1kmの隕石が落下した跡にできた直径25kmのリース盆地にある。リースクレーター博物館は見たかったー。

ロマンチック街道は日本では有名だが、こちらでは全く知られていなくて、英語や独度で言っても通じない。一本の道というわけでなく、複数の国道を適当につないでいて、道端に「ロマンチック街道」とカタカナで書かれた茶色の看板がたまに現れるだけ。看板は曲がり角毎にあるわけでもないので、たまに間違えて逸れて町中に入ってしまい、Uターンして戻る。私はロマンチック街道をきっちり辿りたいのだ。とりあえず北のRotenburgに向かって走る。

と、おもむろに道路標識のRotenburgのところに赤色の×印が現れた。え、道がないの!?でも迂回路なんてないよ、と思っていたら、本当に道がなくなってしまった。土砂崩れかなにかの事故で通行止めのようだ。行き止まって車を停め、どうしようかと思っていると、すぐに別の車が後ろに止まった。Rotenburgに行きたいんですが、と尋ねると、そのまた後ろの車の人がしってると言われ、その人に尋ねるとついてこいと言われた。

なんだかよくわからないが、ついていく。えらく細い抜け道をぐるぐる通って25号に戻った。これ、一人じゃとてもわからないや。しってる人がいてよかったー。

Dinkelsbuehlに着く。今日はRotenburgに泊まろうと思うが、宿など取っていないので、観光案内所が閉まる前に手配しておこう。が、公衆電話が故障中でまごまごするうちに6時半の閉まる時間になってしまったので諦める。ま、なんとかなるだろ。

さくっと観光モードにシフトする。ここも小さくてかわいい感じの町だ。南ドイツで最も美しいゴシック教会とされるSt.Georg教会(1448-99)がある。ドイツで発達したハレルンキルヒェという形式で、身廊と側廊の高さを同じにして聖堂内に単一空間をつくり、窓が高く明るい。たしかに柱とかきれー。

教会を出たところでまたスコールが降り、車まで走ってずぶぬれになってしまった。

それからは黙々と運転して8時にRotenburgに着く。調子よく走りすぎて一度通り過ぎてしまい、戻ってきた。日が長いので明るいうちに着けてよかった。城壁の中へは許可がないと車では入れないとガイドブックに書いてあったので、南端のSpital稜堡の外の駐車場に車を置き、歩いて宿を探しに行く。小雨が降っている。

Spital稜堡には石造りの堀と門と塔があった。稜堡というのは西洋の城で星形に突き出した角のところをいい、ここから大砲を撃つと死角がないらしい。日本でも五稜郭がその形式。

門を入って北にのびる道を進みながら順番にきいていき、二軒目のRinghotel Glockeで空室が見つかった。二人で89.5E。迷っている時間はないのですぐに決める。路駐は高いが、駐車場に入れていいというので、車を移動する。8時15分、チェックイン。二部屋空きがあるというので両方見させてもらい、バスタブはないけれどかわいい感じの部屋に入る。もう探し歩くのは面倒なので、45分にここのレストランの予約を入れた。

北バイエルンの郷土料理は肝が多いとはきいていたが、レバーのクリームマスタードソース煮をあててしまい、一口二口はおいしかったけれど、しつこくてちょっと辛かった。もう一本のキノコのパイ包みはおいしかった。あとここの自家製フランケンワインがむちゃむちゃおいしかった。フランケンワインは甘ったるいのが珍しいだけでおいしいものではないと思っていたが。ここのはコクがあっておいしい。買って帰ろう。

11時、部屋に戻る。ともぶはコドモなので昨日も話の途中で電池が切れて眠ってしまった。今日も話の途中でひゅんと電池が切れて眠ってしまった。私もすぐに就寝。

7月3日(土)

6時半起床。7時15分に朝食に行く。9時にチェックアウトし、12時まで車と荷物を駐車場に置かさせてもらって、散策にでかける。

Rotenburgは第二次世界大戦で4割が焼失して再建らしい。そう言われなければわからないほど、赤褐色の石造りの町並みは中世の趣を伝えてくれる。日本人に一番人気というだけあって、なるほど美しい町だ。

朝の町はまだ人が出ていなくて気持ちいい。ホテルの前の噴水のあたりがなんか綺麗で写真を撮る。あとで調べたら、これがProenleinというこの町で一番美しい一角だった。南端のSiebers塔を入ってすぐ。

北に向かって歩く。道は上り坂になる。左右の細い路地を覗くと、右は上り坂で赤茶色の町並みが続き、左はすぐ城壁で遠くの緑の森がみえた。早くも日本人団体客の集団に遭遇し、足を早めて逃げる。

Markt広場に着く。屋台は少ししか出ていない。左手に黄褐色のRathausがあり、この60mの塔には後で登る。正面の赤褐色のは市議宴会館Ratstrinkstube、11-15時は仕掛け時計が鳴る、と後で知った。St.Georgの泉ってどれ?

そこで西に曲がって、西端のBurg門に向かって歩く。Franziskaner教会がまだ開いていないので、Burg門を通ってBurg公園に出る。ここからの眺めが素晴らしい。町はここで西に突き出ているので、南北の城壁と町並みが見渡せる。ここには城があったらしいが、地震で崩壊し、小さなBlasius礼拝堂だけが残る。戦没者慰霊碑もあった。中国人団体客がやってきたので退散する。しっかり記念写真は撮ってもらってから。


Siebers塔のあたりと、Doppel橋

このDoppel橋(14cの二重石橋)からの眺めも素晴らしいらしい。近くにはDetwangというもっと古い10cの町があって、そこの教会にもリーメンシュナイダーの「十字架磔刑の祭壇」があるらしい。今回は時間がないので割愛。リーメンシュナイダーは15-16cのドイツの彫刻家で、ロマンチック街道あたりに頻繁に出てくる。

来た道を戻って、ちょうど10時なのでRathausの塔に登る(1EURO)。階段は急で最後は梯子になり、上階は立つ場所もないほど狭く、強風で吹き飛ばされそうだった。でも眺めは最高。Rotenburgの町並みがぐるっと見渡せる。西と南は森だが、東には城壁の外にも現代的な町が続いていた。ねばって360度写真を撮る。北はSt.Jacob教会で北端のKlingen稜堡は死角になっている。

西:Burg門

南:Siebers塔とSpital稜堡

東:Markus塔とRoeder門

北東:白い塔とGalgen門

混雑していて降りるのもなかなか降りられない。下に降りたら人がたまっていて、信号で入場制限していた。早いうちに登ってしまってよかった。

もう開いているのでFranziskaner教会(1285)に行く。この町で最古の教会。何度も来ようとした割には何の変哲もない教会だった。さっきまで晴れていたのに、急に雨がふってきたので、慌てて土産物屋にかけこんだ。

奥のはリーメンシュナイダー作

ともぶは雨に濡れるのを嫌っていつも傘を持ち歩いているのに、こんな時に限って車に置いてきたらしい。私の雨合羽を着て傘を取りに行く間、私は土産物屋でワイングラスと、地球儀の置物と、カード2枚を購入していた。ともぶが戻った時には晴れていた。まあそんなもんだ。

St.Jakob教会へ行く。1.5EURO払って前の方まで入る。1311-1490年建築のゴシック教会だが、1544年にプロテスタント化。・・・思いっきり偶像がある気が。ステンドグラムもど派手だし。祭壇には十字架のキリスト像まである。祭壇の右には預言者の像、左には三位一体を表す彫刻。ここでデジカメの電池が切れた。

私は日本語のパンフレットを見ながら勉強しているのに、ともぶは別のグループの解説のおにーさんがかっこいいなどと言っている。そんなのどこで習ったんだ!

後ろの階段をあがったところに、リーメンシュナイダーの「聖血の祭壇」がある。最後の晩餐の場面らしい。解説の人が話していてずらっと並んだ客に睨まれてしまったのでそそくさと退散する。

白い塔Weissertrumを通って北東のGalgen門を見る。来た道を戻って、Markus塔を通り、東のRoeder門を見る。Markt広場に戻って解散し、ともぶは買物、私は北端のKlingen稜堡にいき、城壁に上がってほんの少し歩いてみた。ここから東半分、南端のSpital稜堡まで城壁を歩けるらしい。門をぬけてすぐのWolfgans教会には時間がなくて行けなかった(リーメンシュナイダーの祭壇があった)。

ホテルの人に12時に出ると言ってしまったので、12時半に再集合する。車はまだ大丈夫そうなので、デジカメの電池をとって、またでかける。私が電池がなくなりそうと言っていたので、さっき傘を取りに来たときに探してくれていたらしい。

近くの店で昼食にソーセージパンを食す。おいしかったー。店を出たときまた雨に降られた。ホテルの一階の売店で、フランケンワインをじっくり試飲し、二本購入した。Beerenausleseはブランデーみたいで重すぎ、甘いけどEisweinが好き。

車を出してRoeder門のあたりに路駐する。交代で買物に行ったりしていたので、時間をくって結局出たのは3時になってしまった。ともぶは有名な家型キャンドル立てが欲しいとわざわざでかけたが、バカ高くて断念したもよう。あれはミュンヘンのクリスマスマーケットでも売っている。

ロマンチック街道の終点はWuerzburg。Rotenburgから高速もつながっているが、私はロマンチック街道にこだわって、国道290号などを走る。私、もう別にいいんだけど、というともぶの声は無視。道は走りきることに意義があるのだ。丘道で景色がきれーだったー。

次の町CreglingenでHergott教会(1505-10)を見るの忘れた。リーメンシュナイダーの最高傑作のひとつ「聖母マリアの祭壇」があった。なにか見所があったような気がして、ガイドブックを確認してもらったのだが。

WeikersheimのMarkt広場で教会と城をみてアイスを食す。この城の中はいいらしいが、入り口まで行っただけ、塀の向こうのフランス庭園だけジャンプして見てきた。城の屋根は工事中で緑のビニールシートに覆われているのがいただけない。

Georg教会はプロテスタント教会で、祭壇には絵が飾ってあるだけ、ステンドグラスも質素。入り口の扉の上のステンドグラスがかわいかった。

Bad Mergentheimの町を通り、町中に路駐して騎士団の城をみようとするが、わからなかった。

ともぶは人に車を運転してもらう時は眠らないと言っていたが、ついに睡魔におそわれ、Tauberbischofsheimまで意識を失っていた。このあたりではたまに森を通る。

6時すぎ、Wuerzburg着。町の中心の地下駐車場に停める(4.5EURO)。道の向こうにある銀色の大きな丸屋根の教会が大聖堂かと思って歩いて行ったら、Haug教会というらしい。中は工事中。えらく質素で、プロテスタント教会なのか?

Wuerzburgは大きな町だ。デパートもあり、普通の若者もたくさんいる。でもそんな 町中からも川向こうの丘のぶどう畑がのぞけたりするのがちょっと不思議。

地図はともぶにお任せで、そこから一番近いAugstiner教会に行くという。こっちじゃんと適当に入ろうとしたら、ちょっと雰囲気が悪いのをともぶが嫌がって迂回したらわからなくなってしまった。人に聞いたら間違えてMarienkapelle(1377-1481)に着く。

思いっきりゴシックのハレルンキルヒェだが、赤茶色の素材が真新しい感じに見える。ステンドグラスも現代的。絵だけなのでこれもプロテスタント教会か?Markt広場に面した入り口にリーメンシュナイダー「アダムとイブの彫像」のコピーがある。

Markt広場からは丘の上のMarienburg要塞が望める。こういう町の造りはSalzburgやHeidelbergに似ている。市場はすっかり閉まっていて閑散としている。

Neumuenster教会に着き、閉まる直前で中を見られた。11cのロマネスクだが、18cにバロック化、ドーム屋根と赤い砂岩のファサードをつけた。なんか天井が華麗とばかばか写真を撮っていたら、中はヴィース教会のツィンマーマン兄弟の作。右の祭壇上部がリーメンシュナイダー「美しいマリア像」。

その隣の面白みのない、とその時は思っていた、ロマネスクの教会が大聖堂(11-12c)。正面の入り口が閉まっていて看板がかかっていたのでもう入れないかと思ったら、横の扉は開いていた。ドイツで4番目に大きいロマネスクの教会というだけあって中はやたら広い。彫刻が多く、リーメンシュナイダー「ロレンツ・フォン・ビブラの墓碑」も有名。

第二次世界大戦で破壊されて再建らしい。そうかこの町の教会がみんなテラテラしてるのは再建が多いからなのか。ミュンヘンと同じ、ドイツでは大きな町はだめだな。ステンドグラスもかなりいまいち。

またもう閉めると追い出された。Augstiner教会に着いたがもう中へは入れなかった。この町に着いたのが6時だったし。その前を通り過ぎて大通りに戻ったら、そこはさっき私が入ろうとした角で、「小林さんの言うこと聞いとけばよかったー」と嘆いていた。そうみな私の言うことを聞いておけばよいのです。

7時半、教会めぐりは終わって、次はレストラン探しだ。なかなかいい店が見つからず、Alte Main橋(1473-1543)に出てしまった。Main川を渡る石橋で、両側に石像が並んでいる。そこからのMarienberg要塞の眺めが素晴らしい。この町で重要なSt.Kilianの像と一緒に。

川を渡ったところのカフェで軽めの夕食にした。チキンサラダにラテマキアート。ここのおねーさんが綺麗で手際がよくてファンになる。だからそんなのどこで習ったんだ!

橋からは大聖堂、市庁舎、Marienkapelleなどの尖塔が見え、夕日に染まって美しかった。

大聖堂の向こうにResidenz(1720-44)もあるのだが、行けなかった。後でみたら世界遺産じゃないかー!ドイツの天才建築家バルタザール・ノイマンの作。今回は教会制覇ばかりに燃えてしまって……。もう一回来よう。

リーメンシュナイダーものはあとBambergの「ハインリヒ2世夫妻の墓碑」。バルタザール・ノイマン作のフィアツェーンハイリゲン教会。次のターゲットはこれだな。

車に戻り、9時に出る。最初のパーキングでガソリンを入れ、高速3号、9号をひたすら走って一気に300km南下。一度、間違えてつるっと降りてしまったがすぐ元に戻れた。9号に入ってパーキングでエスプレッソ注入。ともぶはもうすっかり寝ているが、私は気合いでがんばる。

12時15分に家に着く。ラーメン食べたい!とさっとワカメラーメンを作って、片膝ついてかっくらっていたら、「男らしい…、なんで惚れないんだろ」と言われた。運転してる時からずーっとラーメンが食べたかったんだもん。


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