2022.5.26: Saint-Saens "Samson et Dalila"

Richard Jonesの世界。元々、演劇的であらすじ読む必要がないほど物語を詳細に伝えてくれる。以前は舞台を区切ってごちゃごちゃ演出してたのが、舞台をダイナミックに動かすようになって一皮むけたというか、カタルシスが生まれるようになった。もうちょっと美的センスがあると最高なのだが、、、

幕が上がるとほとんど素舞台で、奥に大きく窓の開いた木の家がある。登場人物が通り過ぎた後、サムソンが遠近法で奥行きを出した階段舞台を下手から引っ張り出す。合唱隊がそこにあがってイスラエルを讃美。その前に横並びの細長い机の上に、六芒星の巻紙が広げられる。

板幕が下りて、小さな窓枠内で金スキンヘッド(ペリシテ人のガザの太守アビメレク)が殺され、仲間の男(ダゴンの大祭司)が発見する。ここ最初、映像なのかと思ったが、生だった!板幕があがると殺害現場は階段の踊り場で、階段の上にサムソンが立っていてゆっくりと降りてくる。このシーンかっこいい。

下手手前にいるサムソンに、女たちが白と赤の花束を次々と渡す。ペリシテ人の美女デリラが出てきて、腰をくねらせサムソンを誘惑する。独特なカラフルなロングスカートで、ゴージャスでもないのだが妙に妖艶。これはほとんどElina Garancaのおかげ。ダンスも8人のダンサーと一緒にステップ踏むだけだか、妙に躍動感がある。

ついにサムソンがデリラに抱きついてキス!暗転。

小休止のち幕があがると冒頭に出ていた木の家、窓枠にデリラが座っている。家が回転すると壁紙がはってあり、真ん中に机がある。大祭司が家来たちと白い布に包んだ台を運び込む。デリラが開けると金スキンヘッドの死体で嘆く。大祭司にサムソンの力の秘密を探れと言われ、デリラは自分は三回失敗してるがまたやると。

また家が回転するとサムソンがきて、家の外でデリラと話す。デリラ曰く、神に嫉妬してるので、せめてその力の秘密を共有したいと、若干無理があるのだが歌いまくって、しまいには逆ギレして一人家の中へ。ついにサムソンが意を決して家の中へ。折々で照明が雷や嵐を表現する。

大祭司の家来たちがヘブライの長老が冒頭からついていた杖を持って家の中へ。ここで暗示されているのだが。

家が回転すると机の上にヘブライの長老の死体が横たわっていて、サムソンが嘆く。ここで休憩。

板幕の窓舞台で髪を切られ目をえぐられたサムソンが悔いる。板幕があがると階段の上で白のピカピラロングドレスを来たデリラがいてゆっくり降りてくる。デリラは下手手前の椅子に座り、民衆が青と紫の花束を次々と渡す。1幕といい対比。扇みたいな冠が落ちそうで若干落ち着かなそう。

有名なバッカナール、ダンサーは8人のみで、合唱団が一緒にステップをふみ手を動かして踊る!こういう合唱団の使い方はいい。演出に組み込まれるで歌の説得力も増すような。場が開くとダンサーカップル2人が踊る。

青いどでかい像が出てきた。金スキンヘッドのアビメレク。。。スロットマシーンとカジノコインを抱えている。二人のおねーさんが台を押して回す。この像は若干やっちまった感があるが。

続いて遠近法の階段舞台もでてくる。内装が若干かわっている、ダゴンの寺院だからか。合唱団がその中に上がって青の扇を出す。細長い机も出てきて、ダンサーたちがでかいマッチで六芒星旗を燃やす。

一方、サムソンは上手手前に引きずり出され、大祭司に罵られている。デリラはずっと無表情。なんか表情つけてもいい気もするが。

サムソンが階段をはいあがり、神の最後の力をくれと歌うと、天井がばらばらと落ちてきて幕!!!ここすごいカタルシスだったので、青像でどんびきした人はもったいないぞ。

2年2ヶ月半ぶりのROH!遠い・・・バスと地下鉄乗り継いで、3時間前に出たのにぎりぎり。短いオペラで9時半終演なのに帰宅は11時半すぎ。こんなん毎週のようにやってたとは信じがたい。いまや家から出るだけでも大変なのに。今年はもうFlorezのロドルフォとENOのLoy演出しか来ないかも。

レビューみたらGurdian3/5星とか他も4/5とか期待したほどよくない。サムソンとデリラが恋人の気がしない、ってそりゃそうだ、Garancaが若い韓国人テノールをガン無視してたもんなあ。彼女はInsightでも偉そうだった。美人だが恰幅よくなり。。。愛はなかった。

STAFF & CAST


目次に戻る