2019.3.27: Haendel "Berenice"

改装したLinbury Theatre。宣伝にあった通りの派手な白塗りメイクの10人が、緑の台にピンクのカバーがついた派手な長いソファーに座ってお茶を飲んでいる。中央にいる黄色いドレスの女がベレニーチェ、もう一人の女は妹セレーネ。ドレスの形は古典的だが、柄は現代的。男達もスーツの色が派手で、靴下が縞だったり現代的。この美的センスは好みではないが、そう悪くもない。ソファーの奥の中央にカラフルなバラの花束がどーん。

音楽が始まると人々がスローモーションで動き出す。まず全員が前に出て並んで立ち、三人は座って楽器を弾く。弦もあり弾いてるように見えたが演技だったもよう。他は設定を演じているようだがわからん。この前奏長い。

ようやく歌が始まる。ベレニーチェはいい声をしている。ローマの士官アレッサンドロ(背の低いメゾ)がおじさんと仕事でやってきて、彼女に一目惚れ。でも彼女はデメトリオが好きなのであっさりふる。その男もまんざらでもなさそう。彼女の脇には二人の家来がいて、ギャグキャラのアルサーチェとおじさん。

ローマのおじさんはアレッサンドロにセレーネを落とせと作戦変更、ソファーの奥で新聞よんでる。場面かわると、人々はソファーの奥で舞台に背を向ける、典型的な演劇の手法。セレーネがきて、デメトリオと抱き合う。二人で王座を狙っているらしい。白ロン毛カツラのカウンターテナーはやっぱり悪人。それを知らないベレニーチェだが、アルサーチェにローマの作戦阻止のためあんたがセレーネと結婚しなさいと。元々片思いしてたので大喜び。ややこしい。

エジプトに攻撃されてアレッサンドロが助ける、というのはわからんかった。歌詞は英語で字幕なし。舞台はソファーとバラと小さな小道具(剣と指輪と手紙)のみ。

暗転のち、2幕。ベレニーチェがドレスをまくりあげ、その前にデメトリオが跪き、彼女が押し倒してまたがる・・・セレーネがアルサーチェと結婚したと誤解したかららしい。ベレニーチェがその様子をみて、彼は牢獄へ。

一方、ローマとの戦争を懸念して、アルサーチェがセレーネをアレッサンドロに譲ろうとするも、アレッサンドロはベレニーチェが好きなので断る。

休憩のち3幕。おじさんがベレニーチェに手紙を渡し、二人が王座を狙ってたことを知る。デメトリオが顔を殴られシャツをはだけて転がっている。彼女はローマのおじさんに指輪を渡した、はず。これで二人がくっつくはず。

ここのオーボエとソプラノのアリア「Chi t'intende」が非常によかった。

一方、セレーネはデメトリオを助けとアルサーチェに頼む。こっちの歌はまあまあ。なぜかアレッサンドロが指輪をアルサーチェに譲り、それを使って救出成功。

アレッサンドロは仕事としてでなく、指輪なしでベレニーチェが欲しかったのだ。それを知ったベレニーチェがついに陥落、セレーネとデメトリオも許されて、二つのカップルが誕生。

また全員が舞台前に並び、アルサーチェが相手を求めておじさんと手をつなぐ。ヘンデルのいつもの大団円。

なるほど〜、ヘンデルの四角関係の恋愛喜劇はシェイクスピアを踏襲していて、だからイギリスで受けたんだなあ。大がかりなセットはいらなくて、シェイクスピア風に舞台劇でできてしまう。元々話がトンデモなので、その方がいい。ミュンヘンは大がかりなトンデモ演出でやってたのと真逆。このシリーズ続けてほしいなあ。

STAFF & CAST


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